今日から、私の会社に新入社員が入ってくることになった。
「Aといいます。今日から、宜しくお願いします。」
彼女は自己紹介を済ませると、私の隣に座った。
デスクが空いてたのはそのためか。
「OL同士、頑張りましょう!」
彼女は私に言った。
その後、隣で仕事をしているせいか、私とAさんは親しくなっていった。
その過程で彼女の事を少しずつ知っていった。
彼女がいわゆる霊感体質ということ。
また、借金を背負っていることも…
「Aさんは前までどんな仕事してたの?」
「ウ〜ン…あんまり言いたく無いんですけど…家政婦やってました。雇い主の人がかなりの偏食で困っちゃいますよ。」
「そうだったの。」
そんな、なんでも無い話をしていると、急に彼女の目が厳しくなった。
「どうしたの…急に…」
怖くなって聞いてみた。
「あの…気分悪くしたらすみません。〇〇さんの家に変な霊いますよ…。〇〇さんから変な感覚します…。そうだ!今度、〇〇さんの家に行ってもいいですか?簡単な除霊くらいできるので…。アッ、図々しくてすみません!」
彼女はオドオドしながら言った。
「分かった。今週の日曜日、空いてる?来なよ。」
彼女が言ったことが怖いのもあったが、彼女の必死な言い方を見て、断れなくなってしまった。
日曜日。
彼女は至って普通の格好で来た。
すぐに除霊するのかと思いきや、彼女はお土産を渡してきた。
そのまま、昼食を済ませ、彼女は帰ろうとした。
これでは何のために来たのか分からない。
「除霊とかはしないの?」
私はおもわず聞いてしまった。
彼女はゆっくりと口を開いた。
「あの霊は手に負えません。専門の人を呼びます。絶対に気づいたような仕草したらダメですよ。じゃあ、何かあったらここに…」
彼女は電話番号の書いたメモを置いていった。
その日から、おかしなことが度々起こるようになった。
家具が揺れたり、変な声が聞こえたり。
始めは偶然だと思っていたけれど、とうとう我慢できなくなり、メモに書いてあった番号に電話した。
電話にはAさんが出た。
用件を話すと、彼女はすぐに行くと言った。
ピンポーン
彼女と見知らぬ男性が来た。
「Aさん!お願い、助け…」
言い終わる前に彼女は家の中に入り、ベットの前に屈んだ。
彼女はベットの裏側に手を伸ばし、何かを掴んだ。
それは機械だった。
あっけに取られていると、頭にすごい衝撃を感じた。
separator
気がつくと、真っ暗な所にいた。
いや、目隠しをされているのだ。
「こんk…うま…」
しわがれた男の声が聞こえる。
声が少しずつ、はっきりと聞こえるようになっていった。
「今回も上質な肉を取り寄せたのか?」
「はい。二十代前半の…」
その声を聞いた時、私はとても驚いた。
その声は紛れもなく、彼女の、Aさんのものだった。
「で?どんな捕獲方法を?」
「いつもの心霊の方法で」
「あれか。機械で再現する。引っかかるものだな。」
男の高笑いが聞こえ、それと同時にAさんの言った言葉が蘇る。
『雇い主の人がかなりの偏食で困っちゃいますよ。』
そういうことか…
「さあて、早速調理に取り掛かろう。あ、後お前の報酬は弾んでおくよA。」
金属のような物が触れるのが分かった。
作者山サン
遊びみたいな話です。