俺はアルバイトをしながら
ドラマ、映画の役者を目指してる。
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しかし俺も今年で30歳
毎日居酒屋で演技論を熱く語りあった仲間達も
結婚したり就職したりで
役者を目指してるのはとうとう俺一人だけになってしまった。
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周りも「いい加減目を覚ませ!」と
最近はあまり眠れてもいない。
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そんなどん底の中
俺にもやっと運が向いてきたらしい
なんと昔所属してた劇団仲間から
映画オファーが・・・
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しかも主役待遇で話が進んでるとの事!!
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マジか?
演技には絶対的自信を持ってた俺にとって願ってもないチャンスだった。
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これで借金取りから逃げ回る毎日も
何ヶ月も滞納したままの家賃も
転々とするアルバイト生活も
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全てオサラバできる。
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そして今、俺はオーディション会場の控室で居るところだ。
一点を見つめながら
「必ず合格する!!」と自分に言い聞かせ
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演技の最終チェックをし
心の準備もし
大きな深呼吸をして
「さあ行こう!!」と席を立った瞬間
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劇団仲間からの電話が・・・
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劇団仲間:「もう会場着いてる?」
俺:「うん、いるけど。」
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劇団仲間:「ごめ~ん、場所間違えてた。(笑)」
俺:「えっ何?」
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劇団仲間:「だから~場所が違うの。(笑)」
俺:「だから何の?」
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劇団仲間:「オーディションをや・る・と・こ・ろ!(笑)」
俺:「はぁ?じゃ、じゃあどうすんの?」
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劇団仲間:「もう無理だよ、オーディション始まってるし。(笑)」
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全然悪びれる様子のない劇団仲間に
俺:「お前なめてんのか?」
劇団仲間:「・・・・・・・・・(笑)」
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俺:「どう責任取るんだよ!」
劇団仲間:「・・・・・・・・・(笑)」
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俺:「先から何笑ってんだ!」
劇団仲間:「・・・・・・・・・(笑)」
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俺:「じゃあ、俺はおろされるの?」
劇団仲間:「・・・・・・・・・(笑)」
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俺:「なんかしゃべれやーッ!!(怒)」
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劇団仲間:「お前は堕ろさせた方だろ!!(怒)」
その声は10年前自殺した元カノの声だった。
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そしてこの会場は取り立て屋のヤクザビルだ。
作者DQ