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昔、正直者で働き者のT男と呼ばれる木コリがいました。
しかし妻が病気のため働いても働いても
お金は妻の薬代に消え二人の生活は常に貧乏でした。
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それでもT男は妻のため家族のためと
妻からの「いつもゴメンね」の言葉を背に受け
朝早くから夜遅くまで毎日毎日必死で木を切っていました。
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そんなある日
いつもの様に大木を切り落としてると
汗で握りしめてた斧が滑り勢い良く木立の中へ
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「しまった!家にはあの斧しかないのに!」
と必死で斧を探すT男
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すると目の前に湖が
「こんな場所にあった?」
そう思いながらも必死で斧を探してると
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湖の中から綺麗な女性の姿が・・・
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そして
女神:「お前が落とした物はこの金の斧か?」
T男:「いえ違います。」
驚きながらも正直に答えるT男
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女神:「ではこの銀の斧か?」
T男:「いえ違います。私が落としたのは鉄の斧です。」
そう答えると
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女神:「その正直な心がみんなを幸せにするだろう」
と、女神はニッコリと笑い
鉄の斧と一緒に金の斧と銀の斧をT男に渡し湖の中に消えていきました。
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それを家に持ち帰ると妻は大喜びし
「でもこれは私達のお守りにしましょ」
「神様からの贈り物をお金にかえるなんて私には出来ない。」
その謙虚な姿に思わず妻を抱きしめるT男・・・
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しかしそれを物陰からこっそり見ていた隣に住むS男が
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次の日
家にあったボロボロの斧を片手に急いでT男が話してた湖へ・・・
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そして鉄の斧を投げ込みしくしくと嘘泣きをしてると湖から女神の姿が
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女神:「お前が落とした物はこの金の斧か?」
S男:「ハイその通りです。後、銀の斧も落としました。」
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女神:「私はお前の様な嘘つきは嫌いです。」
とだけ告げると湖の中に消え
結局、金の斧も銀の斧もそして湖に投げ捨てた鉄の斧さえも
S男は手にする事が出来ませんでした。
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するとS男から
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「よし!これで証拠隠滅!!」と
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大喜びしているS男が大事に持っていた物は
T男から奪った「金の斧」と「銀の斧」
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そして湖に捨てた
血だらけになってた鉄の斧と
血だらけになってたT男の死体は永遠に見つかる事はありませんでした。
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T男の妻:「薬代と斧は彼(S男)との結婚資金に使うわ(笑)」
作者DQ