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廃屋詛 章間 怪談の会にて

中編4
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廃屋詛 章間 怪談の会にて

 きょうは新築パーティーに呼んでいただいてありがとうございます。

 えっ、怪談の会も兼ねている?

 怖い話をするんですか? あると言えばありますが。

 でも怪談っていうのとちょっと違うんですが――ああ、かまわないですか。 

 わたしから? はい。上手く語れるかわかりませんが、では始めたいと思います。

          *

 本当にあった事件です。

 ある山中に心霊スポットと言われていた廃屋がありました。

 実際はただの廃屋で、まあ若者たちのいろんな意味での遊び場になっていたんですね。

 そこに男女五人のグループが遊びに来た。

 普通ここに来る者は大体がきゃあきゃあ騒いで一通り中を見て帰っていくだけですが、そのグループは違っていた。質の悪いいたずらをした、と言うか、もういじめですね。

 仲間のひとりを置いてきぼりにしたんです。しかも女性ですよ。

 たぶん仲間たちはすぐ引き返すつもりだったんでしょうけど、運悪くその女性はたまたま来た別の若者たちに出会い、暴行され首を絞められて殺されてしまったんです。かわいそうに、死体は床下に捨てられました。

 グループの仲間たちはしばらくして戻ってきましたが、もちろん彼女はいません。

 何が起きたかなんてわかりませんから、もう山を下りたんだろう、そう判断しかけたその時、仲間の一人がもがき苦しみ出した。まるで紐で首を絞められているかのように。

 それを外そうとして喉を掻きむしるんですが、指が皮膚を破って血と肉片まみれになっても紐に触れられない。

 当たり前ですよね、紐なんてないのですから。いくらやっても取れることはありません。

 そうやって一人また一人と死んでいったんです。

 そうです。彼女の呪いです。

 ただの廃屋が本当の心霊スポットになったんです。

 四人の死体は後日肝試しに来たカップルが発見しました。驚いたでしょうね。二人はすぐ廃屋から飛び出して警察に通報しました。

 警察が捜査に来た時、床下の死体も発見されました。

 四人の奇妙な死体と暴行され絞殺された床下の死体。謎の事件として一応報道もされたのですが、たぶんみなさん覚えてらっしゃらないと思います。じきに箝口令が敷かれましたから。

 警察は当初、『仲間の女性を何らかの理由で殺してしまった仲間たちが集団自殺を図った』と考えたんです。無理があると思いませんか? 自殺にしてはおかしいでしょう? 笑っちゃいますよね。

 でもそう決めつけようとしていた。ですが、廃屋の中で捜査していた刑事や鑑識の数人が四人と同じ苦しみ方をして死んだんです。

 外にいた人たちは何事もなかったので、屋内のどこかで有毒ガスが発生しているんではないかと調査されましたが、そうではない。何も原因がないのに中に入ったものは次々と死んでいく――

 というわけで、手に負えなくなり極秘の未解決事件になったんです。有名なお坊さんを廃屋に呼んで経を上げてもらったということも聞きました。さあ、効果があったのかなかったのか。

 マスコミ? そうですよね、こういうことにすぐ飛びつきそうな――でも、誰も騒ぎませんでした。テレビでいろんなことやってますが、本当にやばいものって放送されないんだなって思いました。

 あ、まだ終わりじゃないですよ。続きがあります。

 その廃屋は立ち入り禁止になりました。ネットの情報もすべて削除されたみたいです。警官がパトロールし、廃屋を監視していました。肝試しに来る若者たちがちらほらいたようですが、注意されるとそのうち来なくなりました。

 一年以上経ってようやく監視をやめました。

 さあ。大丈夫なのかどうか――中に入って確かめていないみたいですよ。試す人なんかいませんし。

 ふふ。だって死んだら終わりですものね。もし若者たちが肝試しに来て命を失っても、もうあずかり知らぬということなんでしょう。

 でも、どこにでもバカはいるんですね。

 来たんですよ。廃屋に。若者三人が。

 そのバカたちは女性を拉致って来ていた。やることはひとつです。

 もちろん死にましたよ。三人とも。鎮められてなんかいなかったんですね。

 ああ、女性は助かりました。あそこで呪いがかからなかったのはその女性一人だけです。

 ですが、男たちにぼこぼこにされて瀕死の重傷だったそうです。かわいそうに体だけ傷つけられたんじゃないんですよね。

 警察はまた厳重な立ち入り禁止にしました。

 くわしい場所ですか? 訊いてどうするんです? 行っちゃだめですよ。今話したの聞いてたでしょ。死にますよ。

 って、廃屋はもうありませんけどね。この話は何年も前の話です。ずっと監視していたみたいですけど、もう区切りをつけたかったんじゃないですか。

 ええ。最近取り壊されたと聞きました。

 はい? 全部本当の話ですよ。誰に聞いたのかって? そうですね、警察関係の方に聞いたとでも言っておきましょうか――

 えっ、なぜ警察の及んでないところまで知ってるのかって? さあなぜでしょう。

 そうそう、警察の知らない話をもう一つ教えましょうか。

 死んだ三人組は最初の女性を殺した若者たちです。のこのこと自分たちからやってきたんですね。

 呪いの主は図らずも復讐を遂げられたってわけです。かといって廃屋の呪いはまだ終わってませんけどね。

 えっ、わたし? いやですよ、いまごろになって「お前は誰だ」なんて。ここに呼んでおきながら――

          *

「ミンナワタシトオンナジ――」

 女がそう言うと部屋が真っ暗になり、車座から呻き声や悲鳴が上がり始めた。

Concrete
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まりか様
怖ポチ、コメントありがとうございます。
執筆にお忙しいのに読みに来ていただいて恐縮ですm(__)m
私もまりかさん含め皆さんの過去作を読みにいかねばと思いつつ自作も書かねばと、思うように行けません。
新作が入ればすぐ読みに行くのですが。
というわけで、私は自分の都合のいい時に勝手に読みに行ってるだけなので、気を遣わないでくださいね。
読みに来てくれたので読みに行くという、なんていうか義務みたいになるの嫌なんで、そこんとこでお互い辛くなるということもあるんで、気遣いなしというようにいたしましょう。
と自分に都合のいいこと言ってすみません。
たくさんみんなに不義理してるんで、いいわけですなー(-_-;)

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ふたば様
いつもありがとうございます。
これ第三章への伏線になってます。そんなたいそうなものではないのですが…

むぅ様
いつもありがとうございます。
まだ終わってません(≧◇≦)

mami様
いつもありがとうございます。
無茶な展開になってきます。ツッコミどころ満載です。

吉井様
初めまして。読んでいただいてありがとうございます。
「早く読みたい」というお言葉嬉しかったです。

月船様
いつもありがとうございます。
何か書くたびいったん終わるんですけど、ふと思いついて続き描いたろーってなります。ほんと楽しいですね!あつかましいですが、次回もよろしくお願いします。

皆さまへ 
次々駄作を投稿してしまい、てめぇ調子ぶっこいてるなと自分でも思ってますが、皆さんに怖ポチ、コメント頂いてうれしかったです。
第三章を投稿したら、しばらくは煮詰まって止まっている新作にとりかかろうと思います。相変わらずぐだぐだ作ですが厚顔無恥で楽しみたいと思ってます。
これからもよろしくお願いします。

(ちょっと愚痴っぽいかな~って先のコメント書き直しました。お返事コメントだけをコピーするつもりが全消ししてしまって、「あほかーっ!! 自分」ってなりました。もうお読みいただいていたら、先のよりちょっと変わっていますがご了承ください。ほんまマジどんくさいわ・・・(≧◇≦)ワラッテゴマカソ)

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