【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編4
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触れてはいけない

皆様、初めまして。

私はキム・コンボと申します。

コンボというのは韓国語で「恐怖」を意味します。

いわば私は、恐怖の案内人というわけです。

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さて、皆様に私から質問です。

皆様の学校には「学校の怪談」ってありましたか?

歩き出す二宮金次郎、理科室のガイコツ。

美術室の絵が動くとか、夜中に音楽室から聞こえてくる声とか。

だいたいの人は触れたことはあるかと思います。

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さあて、古今東西まで行くかは分かりませんが、

皆様の国だけでなく、私の国、韓国にも、「学校の怪談」と言われるものがあります。

今回はそんな話の一つを、皆様にお届けしたいと思います。

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期末テストを明日に控えたとある高校。

二人の女子高生が、居残り勉強をしていた。

だが、もともと劣等生の二人。

いつの間にかおしゃべりに華が咲いていた。

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「マジでー。やっぱ泥棒はダメだね。もうデパート行きたくないわ…」

「それで、その絵を描いてた子はね…」

いつの間にやら、話題は怖い話に。

そして一人、ミヨンがこんな事を言い出した。

「ヒョンジョン、実はね…うちの学校にもあるんだよ、そういう話。」

「え?なになに?教えてよ」

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「校舎の三階にあるトイレなんだけど、昔いじめられた女子高生が自殺しちゃったらしくてね。

それから三階のトイレの一番奥の部屋を、空かずのトイレとして封印することになったの。

でも、その女の子は強い恨みを持って死んだらしくて、今でもあの世に行けず、あのトイレに留まってるらしいのね。」

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「それから、その空かずのトイレにはある噂が出来たの。」

「何何?」

「その空かずのトイレは大分年月がたっちゃって、もう板とかがダメになってて、簡単に入れちゃうらしいのね。

でも、トイレに入る時、必ずドアをノックしてから入らないと行けないの。」

「じゃあ、しなかったらどうなるの?」

ミヨンは首をかっ切る真似をした。

「やだー怖ーい!!!」

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「もう…こんな時にトイレ行きたくなってきた。行ってくるね。」

「あ、ヒョンジョン。」

「ん?」

「せっかくだから試してみれば?三階のトイレ、ここから近いでしょ?」

「え…マジで言ってんの?死ぬかもしれないんだよ?」

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「あれー?ヒョンジョンさん幽霊なんか作り話だょーっていつも言ってない?これホラ話かもしれないんだよ。」

「でもさあ…」

「怖いんだ、ヒョンジョン。」

「分かったよ、もう!」

ヒョンジョンはしぶしぶ、噂のトイレに向かった。

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三階の奥のトイレ。

確かにそこは空かずのトイレになっていた。

「じょ、冗談に決まってるじゃん。」

ヒョンジョンはゆっくり、そのトイレの扉を押した。

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「や、やっぱり誰もいないじゃん。ただの噂だよ」

「私ならここよ」

誰もいないことにヒョンジョンが安堵したのもつかの間、天井から声が聞こえた。

「ひっ!」

顔を上げる間もなく、声の主の少女がゆっくりと天井から降りてきた。

古い制服。生気のない顔。首に残る縄の跡。

間違いなく、噂の少女の幽霊だ。

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「また面白半分で私に会いにくるバカなやつが来たのね…私の姿を見たからには生きて返さないわ」

少女の幽霊は、恨みを込めた瞳でヒョンジョンを見つめた。

「ひぃぃ…ゆ、許してください…死にたくない…まだ若いし、たくさんやりたいことあるの…」

「身勝手な女ね。私だって好きで死んだわけじゃないの。噂を信じず私の姿を見た貴方が悪いのよ」

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ヒョンジョンは幽霊に土下座した。

「お願いします!許してください!なんでもします!なんでも貴方の言う事を聞きます!」

すると幽霊は言った。

「本当に何でもする気ある?」

「はい!!!」

「じゃあ、ねえ…」

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「私の姿を見た事を誰にも言わなければ許してあげるよ。

その代わり、もし誰かに言ったら、今度こそ貴方の生命はないから」

そう言うと彼女の姿は消え、扉が独りでに閉まった。

「た、助かった…」

ヒョンジョンは安堵した。

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「どうしたのヒョンジョン?顔色悪いよ!それに帰り遅くない?」

生命からがら生還したヒョンジョンは、ミヨンの質問攻めにあっていた。

「いや、何でもないよ。本当に。」

「本当に?本当に何にもなかったの?」

「ううん。ただの噂だったよ。それより、勉強しなきゃ、勉強。」

ミヨンの質問をごまかすように、ヒョンジョンは勉強をし始めた。ミヨンもしぶしぶ従った。

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やがて日も暮れ、二人は下校する事になった。

だが、帰り道が一緒のミヨンの質問は止まらない。

「ねえ、本当は何かあったんでしょう?教えてよ!」

ヒョンジョンはもうごまかすのは限界だと感じた。

だいぶ学校からも離れていた。

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(ああ言われてたけど、学校の外ならいいのかも…)

「ごめん、ミヨン。実はねえ…」

ついにヒョンジョンは耐えかねてその事を話してしまった。

「へえ、そうだったんだ…」

しかし、ふいにミヨンの顔が怒りに歪んでこう言った。

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「誰にも言うなって言ったじゃない」

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