1994年 8月──。
日本のとある島の唯一の火葬場の第二葬炉にて、七人分の遺骨が発見された。
お盆前ということで、誰も使用する予定がない期間の三日間は、施錠されていた。
にもかかわらず、鍵を壊さずに中に入り込み、使用頻度の少ない第二葬炉に七人の遺骨を遺棄したのは誰なのか。
この謎の事件は大々的に報じられ、様々な憶測を呼んだ。
事件当時、島民に行方不明になった者はおらず、改葬が疑われ、二度に渡り島内の墓地を捜索したが、掘り返された形跡は見つからなかった。
島民以外が持ち込んだとも考えられ、懸命に捜査するも、手がかりは得られなかった。
この島にはこんな民話伝承がある。
島に漂着した七人の僧侶は、島民に助けを求めるも拒否され、僧侶達は島民達に追い立てられるように山へと逃げた。
そこで僧侶達は飢えと渇きに苦しみながら亡くなったという。
僧侶が逃げた山では、度々、緑の衣を着た七人の坊主の姿が見かけられ、その山で坊主の悪口を言うと祟られると伝えられている。
この事件以前にも、山で作業していた作業員が山で坊主の悪口を言い、地滑りに巻き込まれ亡くなるという事故も起こっていた。
偶然にも死亡者は全部で七人だった。
古くからの島民は、符号する七という数字から、この事件も七人坊主の呪いだと噂する者も多い。
七人の身元不明の骨は、誰にも弔われることなく迫害死した僧侶達だったのだろうか。
現在も、この事件は未解決である。
あなたはこの話を信じますか?
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1838年7月──。
アメリカで一人の著名な小説家が、ある長編小説を発表した。
ホラー小説家として名を馳せた小説家のその作品には、こんな一節がある。
大海原にボート1隻で漂流していた四人の男達がいた。
食料も水も尽き、このままでは四人は全滅してしまう。
そこで、くじ引きによって食料になる人間を決めようとなった。
そして、一人の男がくじによって三人の食料になる。
そんなショッキングなシーンのある小説だったが、そこは長いストーリーの一部でしかなかった。
しかし、その発表から46年後に事件が起こった。
イギリス船籍の船が難破し、四人の男達がボートで逃げたした。
漂流は約1ヶ月にも及び、食料も底を尽き、飲み水は雨水だけ。
飢えと渇きの極限状態の中、一人の男がくじ引きで生贄を決めようと言い出した。
結局、それは賛同を得られず廃案になるが、衰弱が激しかった最年少の男が死んでしまい、残った三人はその男を食べることで飢えを凌いだ。
奇妙な一致はそれだけではない。
小説の中で犠牲になった男と、実際に犠牲になった男の名は、共にリチャード=パーカーだったのだ。
この事件は裁判にもなり、作品は別の意味でも有名になった。
小説が現実に起こった話は『タイタン号の悲劇』が有名だが、この作品はその前に発表されている。
架空の小説と、その後の現実に起こった事件の奇妙な一致──。
これは果たして偶然なのか、それとも小説が生まれたことで起こるべくして起こった事件だったのか。
真相は今も闇の中である。
Do you believe this story?
作者ろっこめ
懲りずにまた、都市伝説系の話を……。
まぁ、次にやる三題怪談の練習として書いてみました。
あなたの知的好奇心をくすぐれたら嬉しいです。