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中編6
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【三題怪談】君の為に

四年前のあの日もこんな茹だる様な暑い日だったな、、、

ふと思い出す、君の事を

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あの日、僕はいつもの駄菓子屋にアイスを買いに行ったんだっけ

『こんにちはー!おばさーん!』

お店は開いているのにおばさんが出てこない

『いないんですかー!』

もう一度呼んでみた

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トントントン、、、

階段を降りる音、良かった、居たみたいだ

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「あれぇ?ささき、、、くん、、、?」

『えっ?橋本さん?おばさんは?って、君の家だったの?』

「うん、お母さん暑さでバテちゃって、2階で寝てる(笑)」

『そっかー、アイス欲しかったんだけど、、、』

「店番くらい出来るよぅ!(笑)たまにやってるし」

、、、クラスでは他の子に隠れて目立たないけど、橋本さんってこんなに可愛く笑うんだ、、、

『じゃ、じゃあコレ下さい、、、』「はーい、60円でーす(笑)」

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僕はふたつに割れる棒アイスのソーダ味のアイスクリームを買った

ポキッ

『あげる、、、』

「ええ?お客さんに貰えないよぉ(笑)」

『1人だけ食べるの気まずいんだよ!』

「うん、、、じゃあ貰う!ありがと!」

そうして僕らはたまにこの駄菓子屋で会う様になった、お客さんだけど

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「交換日記しない、、、?」

彼女から唐突に言われた、女子と学校以外で会うなんてここだけだし、耐性のない僕は真っ赤になっていたと思う

『、、、クラスのみんなに知られたら恥ずかしいから嫌だ、、、』

違う!僕の馬鹿!本当は橋本さんともっと喋りたいんだろ!嫌なわけないだろ!

「ここで交換すればいいじゃん(笑)」

『えっ、ああ、そっか、、、うんそうだね(笑)』

その日の僕は正に有頂天だった、君が好きだったんだ、まだ幼くてその気持ちに気付かないまま、、、

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交換日記にはたわいもない事、テレビの話、クラスの子の話、そんな話ばかり

まぁ彼女が店番をする時だけしか交換出来ないからそれでも僕は浮かれていた

夏ももう終わり秋になっていた

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その知らせは突然だった

初冬に入る頃

彼女は死んだ、殺された

認めたくなかった

だから葬式には行かなかった

交換日記を抱いて僕は泣いた

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彼女が生きていたら同じ様に高校受験をひかえて塾に通っていただろうか?

同じクラスにまたなれただろうか

同じ高校へ行っていただろうか

何故今更、、、

帰り道、近所のおばさん達が井戸端会議に夢中になってる

よくある光景だ

「ホント!臭いが酷いの!」『でもあの人良いお医者様よ?』

「道挟んだ向かいなのにうちにまで臭いが来るのよ!?」『開業医さんだし夜中でも来てくれるしそんな言い方、、、』

「お宅にはわからないのよ!ゴミ屋敷みたいだし!本当に医者なのかもあやしいわ!」『、、、、、、』

へえ、、、井戸端会議にしちゃシリアスだな、なんて他人事の様に考える

ゴミ屋敷、、、ゴミ屋敷、、、こんな新興住宅地だとあそこしかないじゃないか、全く、主婦って自分で個人情報大声で漏らすんだな、馬鹿だな(笑)

まだ日も高いし見に行ってみようかな、受験生にも息抜きくらい必要だしね、こんな息抜き嫌だろ(笑)とか思いながら件の家へ向かっていた

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『うわ、、、マジかよ、、、』

しまった、余りの酷さに心の声が漏れてしまった、、、

この夏の暑さが相まってそれ程臭い、庭は草とも木とも言えないジャングル状態、そこに家を隠すバリケードみたいにブラウン管テレビやら何やら積まれてる

確かにこんな家が側にあったら嫌過ぎる、なにやってるんだよ行政は

《福島内科・外科・小児科 ¥&$%#€%€$?£%#~*¥@(←掠れて読めない)》

マジで医院なのか!?嘘だろ!?

ああ、だから『夜中でも来てくれるし』って、医院がこんなだから外回り専門医なのか

これじゃ患者なんか来ないよな(笑)

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こんなの見たらちょっとしたイタズラ心が湧いてきた

探検?冒険?廃墟探索?、、、むしろホラースポット!(笑)窓に板とか打ち付けてあるし!

庭から瓦礫や繁みを掻い潜って慎重に、、、慎重に、、、それからまた表門に戻り

『すいませーん!!!怪我しちゃってー!!!』

中に人がいたら絶対聴こえるだろうというくらい大声で呼んでみた

、、、、、誰もいない様だ、、、

まだ中三だし患者だって言えば良いし僕は侵入することにした、ここ看板出してるくらいだしね

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先ずは正面玄関から、駄目、鍵掛かってる、当たり前か、今時出掛ける時に鍵開けっぱなしとかありえないって

周り込んで勝手口、開いてる、、、

『こんにちわ〜、お邪魔しまーす!』

よし、留守だ、しかしなんだこの臭い、、、獣臭いっていうのか、、、

手前から順に見ていく

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shake

ガチャリ

何もない

次の部屋

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shake

何もない、ゴミ

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shake

何もない、臭いし暑いし、ここもゴミ

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shake

ガチャリ

!!!!!

『、、、奈美子ちゃん、、、!??』

まさか、そんな、でも

見間違うはずが無い!

「、、、さ、、、さき、く、ん、、、、?」

痩せてて四年前と余り変わっていない、奈美子ちゃんだ!

奈美子ちゃんの横にヒトであったような酷い腐臭を放つナニカがある、ヒトって死体を放置したら溶けるって本当なんだな

、、、とにかく奈美子ちゃんだ!助けないと、、、!

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奈美子ちゃんの点滴を外す為、毛布を捲る、

ー奈美子ちゃんは裸の状態で手足は付け根から切り取られ、切断面は綺麗に縫合されていたー

おそらく陵辱もされ続けたのだろう、、、

「み、ないで、、、わたし、、、こんな、にな、、、ちゃ、った、、、、、、みにくい、、よ、ね、、、」

彼女の頬を涙がつたう

『どんな姿でも!僕は君と一生一緒にいるから!醜くなんてない!』

「でも、、、ね、ここ、だと、優、ちゃん、、、より、やさし、くされ、、る、、、」

、、、隣の腐ったのは優子か、、、

『良いから逃げるんだよ!早く!』

「こん、な、、、すがた、で、かえ、れないよ、いきたくない、よ、、、あのひと、がかえるまえに、さ、さきく、んにげ、、、て、、、」

『ダメだ!絶対に君を見捨てない!一生!!!手足なんてどうでもいい!』

抱き上げた彼女は驚くほど軽かった

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ーとある関東地方の新興住宅地で放火による住宅一棟全焼の火災が発生したー

幸い家主である医師は外出中であったが、全焼した家屋の中から10代と思われる少女2人の焼死体が発見された

死亡した少女の四肢は切断されており、四年前の連続少女誘拐殺人事件との関連を家主である医師に・・・・・・・・・・・・・・・

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「本当にわたしと絶対に一生いてくれるの?」

『絶対に!四年待ったんだ!この後4〜50年だっておんなじだよ!』

「、、、、、そう、、、じゃあこの家とわたしを焼いて、、、四年前のわたしのままでいさせて、、、

あの夏のままのわたしで、、、初恋だったの、、、友達じゃない 、、、だから、、、

わたしを心から思ってくれるなら、、、焼いて欲しいの、、、!」

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ボクモハツコイダッタ、リョウオモイダッタノニ、、、、、、

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ガソリンは兄貴のバイクのタンクから抜いた

真夏にも関わらず火の周りは早く、彼女もろとも灰となった

周り行く火の中、彼女は笑ってくれたんだ

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日記帳は未だ僕のところにある

いつか返事を貰う為に。

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おはり。

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よ、よよ、吉井兄さんが真面目な怪談を書いてる!…ひ…ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘にげろー

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