僕達三人は、目的の人物に会うことが出来た。
その人物の名前は、トメ(サクラ)。
恐るべき力を秘めたトメさんより、力試しを言い渡された紫水さんと葵さん。
そして、トメさんが過去に封じたナニカとの命掛けの腕試しが今、始まろうとしていた。
separator
数多く並ぶ石碑の一つにヒビが入った。
そしてそこから立ち昇る黒い煙の様なモノ。
トメ「ほほぉ…。
葵よ?
お主も運が悪いのぉ(笑)」
一体、あの石碑から何が出て来たと言うのだろうか?
少なくとも、僕の目には煙の様なモノしか見えない。
葵「サクラさん…。
あなたとんでもないモノを…。」
トメ「お主、まさかアタシが、人が霊体になったモノを封印しておるとでも思っておったのか?
そんな程度のヤツなら、すぐに消滅させておるわ(笑)
言ったじゃろ?
消すには惜しいと。
紫水も聞いとくがえぇ。
ここに封印されとるモノは、皆、元々そういった存在のモノじゃ。
お主らが産まれるずっと前から、怪として存在しておったモノじゃよ。
純粋な化け物とでも言うとこぉかの(笑)」
紫水「葵さん?
これはただの腕試しでは済みそうもありませんよ?」
葵「えぇ。
そうですね…。
しかし、私達の本命は、神…。
ここで躓く訳にはいきませんよ。」
紫水「カイさん?
私達はこの場から離れましょう。」
そういうと紫水さんは、葵さんから距離をとった。
僕は叔父さんとの件を思いだし、紫水さんよりも更に距離をとり、葵さんの様子を伺った。
ゆっくりと石碑へ近付く葵さん。
そして石碑にそっと手をかざす。
ガラッ。
?!
葵さんが石碑に手をかざすと、途端に石碑が崩れ落ちた。
葵「さぁ…。
これでもうアナタの帰る場所はありませんよ?
恨みも何もありませんが、アナタには消えて頂きます。」
葵さんが話し終わると、今まで穏やかだった山中に突風が吹き荒れた。
もの凄い風だ。
それは四方八方より吹き荒れる。
僕は飛ばされない様に近くの木に捕まり、葵さんを見た。
?!
吹き荒れる突風の中、佇む葵さんの頬から血が流れている!
いや…頬だけじゃない…。
葵さんの腕、足…。
服が裂け、中に見える葵さんの肌は血に染まっていた。
僕「あ、葵さん!!」
…………。
僕の呼び掛けに葵さんは反応しない。
それどころか葵さんは、血が流れる自分の腕を眺め微笑んでいた。
葵「殺し合い…ですか?
いいですねぇ…(笑)」
そう呟く葵さんの顔は、僕の知る葵さんでは無かった。
不気味に口角をあげる口とは対象に目は完全に据わっている…。
これが呪術師…葵…。
だが、そうしている間にも葵さんの体は切り刻まれていく。
葵さんの足元には血だまりが出来はじめていた。
遠目に見ている僕が思っている以上に傷は深い様だ。
このままじゃ葵さんは本当に…。
僕が葵さんの命の危険を感じ始めた時、遂に葵さんが動いた。
葵さんは血が流れる自分の腕を指先でなぞり、片膝をつき、地面に何かを書き始めた。
円?
遠目で良くは分からないが、葵さんは地面に円を描き、その周りに何やら文字の様なモノを書いている。
葵さんが、全て書き終わったとほぼ同時に、先程迄の突風が嘘の様に止んだ。
葵「ほぉ…。
オマエにも分かるのか?
俺がオマエを消すつもりがねぇって事が。
その通りだ。
オマエは消さねぇ。
闇に呑み込まれちまえよ…。
なぁ?」
葵さんの口調が変わっている…。
何時の間にか笑顔も消え、鋭い目付きで虚空を見上げる葵さん。
葵「我が血を贄とし集え闇の支配者達。
悪しき者を闇へと誘わん。」
葵さんが呪文の様な言葉を発している。
その時!
風も無いのに、木々の枝が大きく揺れ始めた。
葵「逃がすかよ!!
更なる悪しき力よ我に従え!」
そういうと葵さんは、血で描いた円の中心に両手を叩きつけた。
バンッ!
………………………………………………………………。
余りに突然の事で何が起こったのか全く分からない。
葵さんが両手を叩きつけた瞬間、辺りが闇に包まれた。
目を開けているのかさえ分からない程の闇。
少し前にいる筈の紫水さんの姿も見えない。
どれ位、その状況が続いたのだろう…。
突如、視界が元に戻る。
辺りを見回す僕。
葵さんは先程と変わらぬ場所にいた。
終わったのか?
トメ「ふん!
お主も酷な事をしよる。
素直に消してやればええ物を…。
闇に落としよったか…。
じゃが…見事じゃ。」
紫水「いやぁ(笑)
お見事です!葵さん(笑)」
葵「中々の相手でしたよ(笑)
思わず昔に戻ってしまいました(笑)」
む、昔って…。
昔、葵さんはあんなに危ない人だったのか…。
僕「でも良かったです!
葵さんが無事で何よりですよ!」
ピシッ!!
?!
その時、葵さんの少し後ろにある、別の石碑に突然ヒビが入った。
トメ「いかん!!!
葵!!!」
葵さんに向かって叫ぶサクラさん。
何が起こったんだ?!
僕「う"わぁぁ―!!」
サクラさんが叫んだ直後、眩いばかりの閃光が辺りを包んだ!
咄嗟に目を閉じた僕だが、あまりの眩しさに目がおかしい…。
ゆっくりと瞼を開け、辺りを見回す。
まだ視界がぼやけているが、何とか葵さんの姿を確認出来た。
?!
そこには、いつの間にか葵さんの背後に立つ紫水さんの姿があった。
紫水さんは葵さんに背を向けた状態で立っており、
何かを抑える様に右手を前に突き出している。
そして、その掌からは血が滴り落ちていた。
紫水「せっかちですねぇ…。
そう焦らずとも、あなたのお相手はこの紫水が致します。」
作者かい
ほんまに自己満足ですけど大丈夫ですかね?(^^;