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短編2
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幼い日の恐怖の正体

幼い頃、暗い所が怖かったり夜そのものが怖かったり誰も居ない空間が何故か怖かったと言ったら共感する人も居るのではないかと思う。

私自身がそうだったように何か理由の無い怖さを実際に感じていたのかもしれない。

あるいは見えなくても聞こえなくてもその恐怖を捉えていた可能性もあるのだろうと思う。

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少なくても私にはそういうものを理由も無く恐怖していた時期があった。

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静寂が何だか怖い。

そこに誰も居ないのが怖い。

お留守番が怖い。

誰も見てくれないのが怖い。

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私はそういうものが怖かった。

幼い頃なんてそんなもので中学に上がる頃にはそんなものは虚構だったのだとさえ思うようになった。

実際一番怖いのは人間というありきたりな答えに辿り着いていた。

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だが私は当時霊感の絶頂期だった事もありそれだけでは終わらなかった。

人間の方がよっぽど怖いけど幽霊も怖い時があった。

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幼い頃の恐怖はなんだかんだ本能的なレベルで当たっていたのだと思った時があった。

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塾がある平日に両親は帰宅しておらず二階で1人だけでいる事が多かった。

そこは静寂や誰も居ないという事や暗いという事が重なった場所だった。

私だけがそこには居た。

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母のよく使う姿見を見ていた。

おそらく髪を整える為だった。

正面から見ると真ん中に私がおり少し暗くなってきた事もあり電気を着けようと紐に手を伸ばした時鏡の中に私以外の人物が映った。

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髪の長い女の子。

真っ黒な髪に古ぼけた白い服のその子は一瞬はっきりと見え宙に浮かんでいた。

私が伸ばした手は電気の紐を握っても着ける事は叶わなかった。

電気の紐を引くのと女の子が鏡に映るのと紐が切れたのはほぼ同じ一瞬の出来事だった。

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shake

『ブチッ』

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その女の子が何だったのかは結局今も分からず仕舞いだ。

その後除霊をしたから今そこにいるという事はないだろう。

それでもその出来事は幼い頃の恐怖の正体を突き止めたように思う。

その後その部屋にはもう一体幽霊がいる事が明らかになりその霊も鏡によく映った。

私は暫くの間鏡を見るのが怖くなり中学生の間中それは続いた。

今はもう怖くないけれど鏡は真っ正面から見るのを個人的に勧めることはない。

鏡の中にもしもこの世のものではないものが映ったらそれはもしかしたら貴方にはどうにも出来ないものかもしれないから。

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