中編3
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人形の森 X-3

人形の森 X-3

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「君達を歓迎するよ」

テーブルから離れた男は椅子に座り話し出す

「で?なんのようで、ここに来たんだ?」

アーロンは葉巻に火を点ける

「バジリスク退治に必要な道具を調達したい」

アルは部屋の絵を眺めながら

「変わった趣味をしてるな、ゴールドマン」

ゴールドマンは微笑みながら

「あれは幽霊屋敷で有名なボーリー牧師館で飾られていた最も歪な怪画だよ。見た目は普通だがね」

アーロンは話を遮り

「それで?バジリスク退治をするための道具はあるのか?」ゴールドマンは少し悩みながら

「あるにはあるが…金はあるのか?」

アルは鞄を漁りながら

「現金?小切手?」

ゴールドマンは笑いながら

「いやいや違う…GOLDだよ。金など信用できんからなGOLDは裏切らない」

アーロンは呆れた表情で

「そんなものは用意していない。」

ゴールドマンは手を組み

「怪物と人間の間で同盟が結ばれた時から在庫を確保するのが大変でね」

需要と供給のバランスが壊れていてね…

大体の怪物退治には怪物の素材が用いることがほとんどだ。

だが…新たな同盟協定の影響で狩ること自体、難しくなってきてる。怪物を狩るのに許可が必要になったわけだ。過激派ハンター集団「髑髏星」は反対していたがね。

人間に被害を出している怪物を狩るのに必要なアルミラージの角が必要だとする。

しかし、アルミラージは狩ることが禁じられている。それがどういうことかはわかると思う。

邪悪な怪物は数万種といるが、その半数は同盟の指定保護対象となっている。

要するに、この同盟には裏がある。

ゴールドマンが指を鳴らすと部屋の奥から目が紅く光る男が紅茶を運んできた。

「飲むかい?アールグレイ、ダージリンがあるが」

アーロンは紅茶を運んできた男を眺め

「アールグレイで頼む」

アルは書類を読みながら

「俺はいらない」

ゴールドマンが自らグラスに紅茶を注ぎ砂糖を入れかき混ぜる。

「まあ、金じゃなくてもいいが…」

アーロンは紅茶を息で冷ましながら

「何が欲しい?」

ゴールドマンはニコっと笑い

「今すぐとは言わないが…さっき話したアルミラージの角だ」

アーロンは呆れた表情で

「それだけか?」

ゴールドマンは頷きながら紅茶を飲む

「ああ、それだけでいい。もう道具の用意は出来ている。仕事が終わり次第、送ってくれ。」

アーロンは紅茶を飲み干し

「忘れたら?どうする?」

ゴールドマンは椅子から立ち上がり

「いや、君は約束を守る男だと知っているからな」

アルは資料を読みながら親指でアーロンを差し

「こいつを買いかぶりすぎだ。」

アーロンは親指を強く握り

「うるせぇ。さっさと道具を受け取って出発するぞ」

そしてあれから2時間後…

「よし、道具は揃ったな。情報も十分…」

アーロンはレイモンドの後ろにいるバーキン博士に気付く

「そのチンチクリンは誰だ?」

バーキン博士は眼鏡をあげて

「バジリスク保護調査本部長のバーキンです」

アルは鞄の中を漁りながら

「俺は知ってたぜ。バジリスクを保護して繁殖までしてる世界有数の博士の一人だ。」

アーロンは葉巻に火を点け

「じゃあ、なんで居場所を知らなかったんだよ」

アルは笑いながら肩を竦める

アイボリーは作戦内容を話し始める

「人形の森と呼ばれる場所に向かい、バジリスクの退治が今回の任務です。しかし、バジリスクだけが人形の森にいるわけではなく、サハギン、野生化したグール、トロールが生息してる可能性があります」

人形の森

その名の意味は生きたまま毒に侵され生物が石灰化し、風化することなく人形の如く森に飾られている。その森で採れる毒仙花は万能薬として有名であり、傷を瞬く間に直す効能がある。

しかし、毒仙花と言われる所以は傷を直す効能は全身の麻痺と同時に起きるからである。

そして毒仙花は生物の死体にのみ自生する。

花を咲かせた毒仙花は神経毒が含まれる花粉を周囲に撒き散らす。

アーロンがカフマンが言っていた毒仙花のことを思い出し頭を掻きながら

「俺達は沼地に向かう。もしかしたらバジリスクの痕跡を見つけられるかもしれないからな」

To be continued…

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