毎年何十人も有名大学への合格者を輩出している進学校で、ひとりの女子生徒が首を吊って自殺した。
原因は友人たちによるイジメだった。
勉強によるストレスのはけ口として、たまたまその女子生徒がターゲットとなってしまったのだ。
しかし、女子生徒の両親は生徒も学校も訴えることはしなかった。
なぜなら、第一発見者となった母親の手によって、女子生徒の復讐が果たされたからだ。
女子生徒は自殺現場の自室に、遺書を残していた。
「今の私の姿を、ケータイのカメラで写真におさめてほしいの。それから、その写真をクラスのみんなに送信してほしい。細かい手順はメモに記しておきます。こんなことになって、本当にごめんなさい」
第一発見者の母親は、変わり果てた娘の遺体を前にして、怒りと憎しみで気持ちを奮い立たせながら、遺書に残された復讐計画を実行したのだった。
復讐の目的。
それは勉強することだけが生き甲斐の生徒たちに、「あるもの」に対する恐怖心を植え付けることだった。
そしてそれは、彼女の思惑通りとなった。
その恐怖症に陥った生徒たちはまともに勉強することができなくなり、成績はガタ落ち。
有名大学に進学するという、将来の希望も失い、精神病棟に入院する生徒さえいた。
進学率が落ち込んだことに加え、悲惨な事件がマスコミによって大々的に報じられたことによって、学校自体も経営に行き詰まり、廃校も時間の問題となった。
自殺した女子生徒が、母親に手伝わせてまで、クラスの全員に送信した写真。
それはただの首吊り自殺の写真ではなかった。
首にロープをかけ、ダランとぶら下がっている女子生徒の身体…。
その身体には、一本一本恨みを込めて、自ら突き刺した、無数のシャーペンやボールペンが…。
作者とっつ
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