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短編2
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神様

私は高校を卒業して就職しました。

実家を離れて初めての一人暮らし。社員寮は少し古い建物でしたが、とてもワクワクしていました。

場所は良く言えば自然豊かな、悪く言えば何も無い田舎でした。

部屋の片付けをある程度済ませ、私は周辺を探索しました。すると、すぐ近くに小さな神社がありました。

鳥居をくぐると、なんだかゆったりとした雰囲気で私はその小さな神社が気に入り、休みの日は度々来るようになりました。

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自分の部屋が気になりだしたのは、仕事に慣れてきた頃でした。

なんとなく、誰かがいるような気配がするようになったのです。

角部屋で、しかも隣は空き部屋。真上の部屋も空き部屋です。最初は気のせいだろうと思っていました。

しかし、ある日。

トントン、トントン

壁からノックするような音が聞こえてきました。

規則正しく、何回も鳴るのです。

家鳴りではない音が何日も鳴るので寝不足になってきました。音が鳴るだけで他に何かするわけではないし、と我慢していましたが、寮の裏手を掃除していた時です。

古井戸がありました。完全に塞がれている古井戸です。

怖くなった私は部屋を変えてくれるように、管理人に相談しました。

「空き部屋はあるけど、放ったらかしですぐに変えることはできない」

仕方なく、待つことになりました。

待っているうちに仕事が忙しくなり、部屋変えのことは後回しになってしまっていました。

しかし、部屋の音は毎日聞こえていました。

仕事の疲れと部屋の音による不眠。

倒れるはずです。

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寮を出ての一人暮らしは経済的にできないので会社自体を辞めました。

最後に荷物を取りに行った時、帰り道であの小さな神社を見ました。

鳥居のしめ縄が切れていました。

しめ縄の切れた神社には入らない方がいいので、入らなかったのですが、鳥居の前で手を合わせることはしました。

完全に塞がれた古井戸が近くにあっても、壁からノック音がしても、部屋の中で何も起こらなかったのはもしかしたら…。

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