中編5
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修学旅行

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私が中学2年生の時の話です。

修学旅行で大阪、京都に2泊3日で行くことになりました。関西に行ったことがなかった私はとても楽しみにしていました。

修学旅行当日、飛行機で大阪まで移動。飛行機に乗るのも初めてで私はテンションが上がりまくっていました。大阪に着き、電車で京都まで移動。そこからは4人グループで京都市内を自由に巡りました。清水寺に行ったり、八つ橋を食べたりととても楽しい時間を過ごしました。

自由時間も終わり、旅館に移動になりました。旅館については記憶が曖昧なのですが、古びた感じで少しどんよりしていた感じでした。友達と『気味悪いな。なんか出るんじゃね笑』などと会話しました。しかし、修学旅行と言えば1番楽しみなのは夜の時間。普段起きれない時間まで起きて友達と話すのが楽しみでしたので、旅館についてはそこまで気にしていませんでした。

いざ、旅館に入り自分の部屋に向かいました。部屋は4人部屋で和室でした。部屋に荷物を起き、今日の観光について友達と話していると、いきなり部屋のドアが開けられました。

ドアの方を見ると別の部屋の友達が立っていました。『お?どうしたん?』と声をかけると友達は『実は部屋で少し変なことが起こってるんだよね。ちょっと来てくれよ。』と言われました。

気になった私たちはその部屋に向かいました。すでにその部屋には10数人の生徒が集まっていました。友達に話を聞いたところ

"壁にノックするとノックした数だけ壁からノックが帰ってくる"と言うことでした。半信半疑でしたが、友達が『今から実践するから見とけよ』と言って、2回ノックをしました。すると本当に壁から2回ノックが帰ってくるのです。次に友達が3回ノックをしました。すると3回帰ってきました。何度やっても結果は同じでした。ノックした数だけノックが帰ってくるのです。明らかに異常な状況に周りは騒つき始はじめました。

その後騒ぎに気付いた先生が駆けつけて来ました。『どうしたんだ?』と聞かれたのでこう言うことなんですけどと説明すると、『本当か?先生がやってみるぞ』と言って、壁をノックしました。するとノックが帰ってこないのです。『何もならないじゃないか』という先生に対し、私たちは集団で必死に本当に起こったと伝えていました。

すると先生はいきなり笑いはじめ、しゃべりはじめました。『実はこの部屋と先生の部屋が接してるんだよ。それで部屋に入ったら壁からノックする音が聞こえたからノックを返したんだよ。そしたら、お前らが幽霊だって騒ぐから楽しくなっちゃって悪ノリしたんだ、すまなかったな。』

それを聞いて私は一層凍りつきました。なぜなら先生が騒ぎに気づきこの部屋に来るまでの間に一度ノックをしたのですが、ノックが帰ってきてしまっていたのです。そのことに気づいてたのは壁の近くにいた数人でした。先生のネタバラシにより、騒ぎは沈静化していたのでそのことは口にはしませんでした。

とりあえず、その場は収まり夕食の時間になりました。夕食を取り、お風呂に入りました。お風呂では友達と騒ぎまくっていたので先ほどのことを忘れていました。きっと自分の部屋で起こったことではないという事実が大きかったのでしょうね。

8時くらいになり、自分の部屋で友達とプロレスごっこやトランプなどをして遊んでいました。すると友達が『思い出に写真撮ろうぜ!』と言いました。その部屋では私だけがカメラを持っていたので、『最初は俺が取るよ』と言って友達を並ばせ、写真を撮りました。すると写真がおかしいのです。

オーブのようなも白くて丸いのが3.4個宙に浮いているのです。『ごめん。もう一回撮る。』と言ってもう一度撮りましたが結果は同じ。試しに部屋の外で撮ると綺麗に撮れるのですが、部屋の中では必ず写ってしまいました。友達にも見せましたが『うわ、オーブじゃん。初めて見たわ。』と驚いていました。先ほどのノックの件もあり少し恐怖も感じました。

時間は経ち、就寝時間の10時になりました。しかし、寝るはずもなく友達と4人で固まって話していました。見回りに来る先生の足跡を聞きつけると、それぞれの布団に戻り、寝たふりをしてやり過ごしていました。先生は1時間おきに見回りに来ましたが、12時を最後に来なくなりました。念のために電気はつけず私たちはずっと話していました。

1時半頃にそろそろ寝るかということになり、それぞれの布団に戻りました。私が寝ていたのは窓側の1番端でした。10分も経つと友達の寝息が聞こえて来ました。私も寝たかったのですが、先ほどの怖い出来事が頭をよぎりなかなか寝つけませんでした。

2時頃でしょうか、寝付けずに友達の寝息に耳を立てていると、廊下から足音が聞こえて来ました。『こんな時間に先生の見回りかぁ、先生も用心深いな。』と私は思っていました。すると足音は私たちの部屋の前で止まりました。しかし、なかなかドアを開けないのです。先生ならすぐにドアを開け、様子を見るとすぐにドアを閉め、出て行ったのですが、全く動く気配がないのです。この私は恐怖に震えました。確実に先生ではない何かがドアの前に立っている気がしたのです。

しかし、間の悪いことに私に便意が走りました。修学旅行で漏らしてしまうという羞恥心と恐怖心。羞恥心に軍配が上がり、怖かったですが意を決してトイレに向かいました。ドアを開けましたが、そこには誰もいませんでした。よかったというべきなのかは分かりませんがとりあえず急いでトイレに走りました。

トイレに着き、個室に入り用を足しました。極限状態から解放された私が"ふぅー"とを息をついたとき、"キィー"とドアが開く音がしました。足音は隣の個室に入りましたが、ドアを閉める音が聞こえないのです。私は便意の極限状態から解放されたのに次は恐怖の極限状態にいました。そして次の瞬間隣から"コンコン"と壁をノックする音が聞こえて来ました。私は後始末をして、すぐさまトイレから出て部屋に戻りました。もちろん隣の個室の確認などはできませんでした。

自分の部屋に戻り、布団に入り、隣の友達に密着する形で寝ようとしました。すると、次は窓を"コンコン"と叩く音が聞こえるのです。今までの現象は先生や友達が私を怖がらせるためにやったと考えることが出来た、むしろそう自分に言い聞かせていたのですが今回ばかりはそうはいきませんでした。

私たちの部屋は二階にあったのです。私は布団にくるまり、耳を塞ぎ目を閉じて震えていました。知らないうちに私は寝ていて、気づくと朝を迎えていました。よかったと心底安心しました。朝食を取り、旅館を出る時間になりました。荷物をまとめ入り口に集合ということでした。私は班長だったので最後に忘れ物のチェックをしなければいけませんでした。みんなが出て、一通り見回し部屋を立ち去ろうとした瞬間でした。後方から"コンコン"という音が聞こえました。

その後2日目、3日目は特に何も起こることなく修学旅行旅行を楽しむことはできました。

今でも、私は京都が好きで年に2回ほどは訪れるのですが、その度にこの話を思い出します。

Concrete
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