中編4
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人形の森 X-4

music:1

レイモンドは先ほど買ったドーナッツを頬張りながら首を傾げる

「あれ?今日やけにヤル気だね〜?」

アーロンは笑いながら

「そうか?いつもこんな感じだが?」

アイボリー、アルはバーキン博士と談笑していた

「君達は私が思ってるほど賢いんだね!」

バーキン博士はアイボリーと握手する

アイボリーは照れながら

「いやいや、かれこれ13年もレイモンドさんの相棒をしてると錬金術、怪物に嫌でも詳しくなるんです」

バーキン博士はアルの肩を叩きながら

「君も、バジリスクや他の種族の怪物に詳しいだね!」

アルは腕を組みながら頷く

「まあな、相方がバカだと俺が賢くないとな」

それを聞き逃さずアーロンはアルの頭を

丸めた新聞紙で叩く

「お前もバカだけどな!この呑んだくれが!」

ワイワイしながら

アイボリーが手配した車に乗り込んだ。

運転席に着いたアーロンがミラーを見ながら

「さて、道具と銃弾の再チェックをしろ」

アルが鞄を漁りながら

「アレもある、これもある、よし!大丈夫だ」

アイボリーも同じように確認する

「翡翠の短剣、強閃光玉…その他諸々…大丈夫です」

アイボリーの隣で未だにドーナッツを頬張るレイモンドに気付くアーロン

「おい、お前はいつまでドーナッツを食べてる気だ?」

満足気な顔をしたレイモンドはドーナッツが入っていた紙袋をクシャクシャに丸めアイボリーの鞄に入れる。

「うるさいよ、運転に集中しろ」

「あ、ちょっとゴミは入れないでくださいよ」

レイモンドはゴミを片手にバーキン博士のポケットに入れようとするが…

「バレてますから、自分でどうにかして下さい」

レイモンドは頬を軽く膨らませ自分のポケットにいれる。

街を離れてから2時間後…

「ほら、人形の森が見えてきたぜ」

車から眺める人形の森は歪な雰囲気を醸し出していた。

車の窓を開けると鼻にツーンと来る臭いが漂って来る…これは多分、体には害が無いほど薄まった猛毒の香りであろう。アーロンは眉間にしわを寄せて咳き込む。

「窓を閉めろ…臭い」

アルは窓のスイッチを押して閉める

ガタガタと揺られること30分後…

バーキン博士は防塵マスクをヘルシング達に配る

「気をつけて下さい…資料によれば、この辺りには神経毒を含む花があるらしいので」

アーロンはマスクを車に投げ入れ

「嗅覚の妨げになる…俺は平気だ」

アルも同じくマスクを投げ入れ

「確かにな、解毒剤はあるし、平気だろ」

バーキン博士は首を傾げ

「嗅覚?」

レイモンドは笑いながら

「こいつらは馬鹿なんだよ」

アーロンは呆れた表情で

「はいはい…お前らは傷口から毒でも入りゃいいんだ」

それから談笑を続けながら歩き出す

人形の森の入り口に辿り着くと先ほどの空気が嘘のように霞始めた。

「気を付けろよ…何が出るか分からない」

一行は身を引き締め歩み出す

「これが人形の森…。今回はヤバい匂いがプンプンする」

人形の森で死んだ生物は石灰化し、マネキンのように飾られ

ほとんどの木々は瘴気によって異常な成長をしており、毒々しいキノコや花が咲いている。

バーキン博士はレイモンドの背後から離れずに辺りを見渡す

「よし、それじゃ作戦通りに動こう。俺とアル、レイモンドとアイボリー、バーキン博士の二手に分かれる」

レイモンドはポケットに両手を入れたまま

「んで。発見次第、照明弾を撃つと…」

アーロンは軽く頷く

「ああ、今回用意した照明弾は強烈な光と音が発生するようになってる。」

アイボリーは地図を広げ

「それでは行きますか」

お互いに頷き別々の方向へと歩みを進める。

バーキン博士は辺りに広がる景色を写真に収める

「ここまで瘴気が濃いのは初めてです」

レイモンドは笑いながら

「こんなものは序の口だよ…アイボリーと地下遺跡を探検した時は、これより酷かった。」

アイボリーは辺りを警戒しながら頷く

「確かに…あれを超える瘴気は無いですね」

バーキン博士は感心するように記録していく

「その地下遺跡って?」

レイモンドは背の高い草をナイフで切りながら

「ドワーフが建造した発掘跡地だったが、放置されてから直ぐに野生グールの住処になったわけだ」

バーキン博士は笑いながら

「いつか話を聞かせてくださいね」

レイモンドは

「この仕事が片付いたら、話してあげるよ。その代わり、一杯奢ってくれよ?」

バーキン博士は笑顔で

「もちろん!」

レイモンド、アイボリーは急に立ち止まり

20メートル先にある崖を睨んでいた。

その崖に巨大な「何か」がいた…

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