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短編2
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畳の音

今住んでいる家の、前の前の家に居た頃の話。

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午前授業で、おまけにテスト前と言うことで部活もなく、かなり早めに帰れた日があった。

インドア派かつ、あまり陽の光が好きでは無いので、友達と遊ぶよりも家の中に居る方が好きだった。

暗い性格であったとかそう言う訳ではなく、どちらかと言えば真逆。

単純に、寝るのが何より好きだったのだ。

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当時住んでいたその家は、所謂貸家で、そこそこに広くかつ駐車場と庭がついていた。

一見すると2階建てに見える物件だったが、実は3階建てと言う作りで、

1階にリビング、

2階に和室、

3階に仕切りを伸ばせば二部屋になる洋風の部屋があった。

私の部屋は1階のリビングの前の部屋で、床は畳。

真上は和室で、そこで両親が寝ていたから、

足音だとか上の音はよく聞こえていた。

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特によく聞こえたのが、布団を敷く音。

畳に擦れる、

ズズッ ズズッ ズズッ

と言う音。

あれが聞こえると、両親が寝る合図で、

どうしてそこまで聞いていたかと言えば、

夜中にゲームをやっているのをバレたくなかったと言う、実に子供らしい理由だった。

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その日も私は帰ってきて、速攻布団に潜り込んだ。

時刻は確か、まだ14時か15時。

外はいい天気で、太陽は嫌いだが、快晴の時に少し香る日の匂いは好きだったので、

その香りを吸い込みながら微睡んでいた。

どう例えて良いのか分からないが、

全てが霞みがかっていくような、感覚が遠くの方にいってしまう、眠る直前の感じ。

鳥の声だとか風の音だとか、その音を聞いていた時、

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ズズッ ズズッ ズズッ

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布団を敷く音が聞こえた。

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いい昼寝日和だから、親も眠くなったのだろうなと思って、

特に気にしていなかったが、

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ズズッ ズズッ ズズッ

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妙に布団を敷くのに時間が掛かっていた。

と言うよりは、

敷いては戻す。

敷いては戻す。

を、繰り返しているようだった。

変な遊びをしてるなぁと思ったし、そこそこ煩かったのだが、

睡魔には勝てなかったのでそのまま再び寝に入って、

そこで気付いた。

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父は仕事に出ていて、帰ってくるのは夕方頃。

母は用があり、その日は実家に帰省していた。

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その時間、家には私しかいなかったのに、

いったい誰が2階で布団を敷いていたのだろう?

Concrete
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