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短編2
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ついてきた

バイト帰り、その日はいつになく静かな夜だった。

何時もは煩いくらいの蛙の声も、虫の音も何も聞こえない。静かな夜だった。

街灯の少ない田んぼ道を一人歩く。自分の足音がやけに大きく聞こえた。

ふと後ろが気になった。振り向いてはいけないような、でも確認しておきたいような。人は不思議な生き物だと思う。怖いのに見たい。見て安心したいという感情に支配された私は後ろを振り返った。

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そこには何もいなかった。見えなかった。

今まで張り詰めていた緊張感がふと和らいで私はまた家までの道を歩く。

家の門を開けて階段を上り玄関に向かう。何事もなく家についた事で安心した私はほっと息を付いてドアノブに手を掛けた。

その時、視界の隅に白いものが映った。一瞬動きが止まる。視線はドアノブに向けたまま視界の隅にそれを捉える。

手すりの向こう側にそれはいた。女の人だった。頬杖を付いてそれは私の事を見ていた。下からここまでは2m程高さがある。あの体勢は普通の人間には無理だ。

嫌な汗が一瞬にして溢れ出す。

ーいつから?ー

ー見えた事、気付かれた?ー

青白い顔の女はニヤニヤした顔でこちらを見ている。

―これは不味いー

気付かないふりをして家へ入る。気付かれていなければ多分、入ってきてはいないはず。ああいうのは見なかった事にして、早く忘れてしまった方が良い。

いつものように家族と会話をしてお風呂に入って寝る。布団に入ろうとしたタイミングで携帯が鳴った。

「もしもし。」

「もしもし詩音?今電話できる?」

「うん、大丈夫。」

「あ、でも家族といるなら後でいいよ?」

「今一人だから大丈夫。」

「あ、何だテレビの音!」

「え?あたしの部屋テレビないけど…」

「…ごめん。今のは無し。」

「何?気になるから言って!」

「なんか…後ろで女の人の笑い声がしてるんだよね。今も。」

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