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初めて投稿させていただきます。
怖いと言うより不思議な話になるのかもしれません。
これは、2017年6月に体験したお話です。
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2017年5月30日。
主人が細菌性髄膜炎で埼玉県K市
F川沿いにある病院に入院することになりました。
結婚10年目。
主人の入院というのは初めてでしたが
長男は高校1年生
(結婚期間とズレがありますが、それはまたの機会にお話できたらと思います)
二男は小学3年生と、すでにあまり手もかかりませんし
私の両親と同居ということもあり
日常の生活に不安はあまりありませんでした。
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ただ、細菌性髄膜炎という病気は
後遺症が残る確率も少なくなく
時に亡くなることもあるということは、
担当の先生から説明があり、
大変なことになったな・・とぼんやりする頭で
これからのことを考えていました。
夫婦関係はとうに破綻しておりますが
子供たちにとって大切な父親であることにかわりはないのです。
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入院して数日。熱も酷い頭痛も引かず
ベッドの上で点滴に繋がれただジリジリとする日々。
ストレスも相当なものでしょう
もともと自分本意な主人ですが
増してワガママは酷くなり 調子のよくなる夕方は
色々と悪態をつく始末。
はぁ・・
ため息混じりにふと、4Fの病室から見るF川の流れは
雨上がりのせいか、濁り
いつもの豊かさとはまた違う顔に見えました
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仕事の関係で毎日午前3時に就寝
午前5時30分に起床し
子供たちを送り出す生活をしている私にとって
日中の仮眠の時間を
主人の面会、看病にあてていることは
体力的に大変なものでした。
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寝不足と疲労で気がたっていたのもあり、
私は6月8日の面会時
義母のことで主人と軽く言い合いになり
明日は面会に来ない、と言い捨て
帰宅してしまったのです。
言い合いというのは、義母が面会時看護師に
息子は何故なかなか良くならないのか 治療方針はどうなのかと
看護師に詰め寄ったことが原因でした。
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夫婦不仲といえど、主人に最善の治療と
最善の看護をして欲しいのは言うまでもありません。
治療方針についても
あちらはプロですから、
こちらの解らない感情や焦れなども、きっとあるのだろうと思います
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ですから、看護師さんや担当の先生とも
良い関係でいたく
聞きたいことも、なるべく刺々しくならなうようにと
気をつかっていたので
義母のしたことが許せなかったのです。
今思えば、体調の悪い時に
小言を言うべきではなかったと思います
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shake
6月9日、日付が変わってすぐの
午前零時過ぎ。
まだ仕事でしたが 突然
『048-○○○-○○○』
固定電話から、携帯に電話がありました。
あぁ、この時間に固定電話からだと
病院からだ。
主人によっぽどのなにかあったのだろう。
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『ご主人、意識レベルが低下しまして
徘徊したり 点滴を抜いてしまったりで
こちらで対処が難しくなってしまいまして。
奥さんの顔をみたら安心すると思いますので
来ていただけませんか?』
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命に別状はないとのことですが
職場に断りをいれ
徒歩で病院に向かいました。
偶然、職場から病院までは徒歩5分と近く
病室から見えるF川を渡ればすぐです。
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実はもともと主人は、喧嘩をしたりすると
物にあたったり暴言を吐いたり
私に構われなくなると熱をだしたり 体調を悪くしたりと
癇癪熱(と、勝手に名前をつけております)を出す質で
今回もそんなことの延長だろう、と
面倒に思い、気だるく歩いておりました。
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深夜、病院にむかうまでの道は
人通りはなく 車の通りもまばらです。
普段から職場には徒歩で通勤しているので
暗闇も静けさも慣れたものでした。
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F川を越えれば病院、すぐ国道にあたりますし、
その通りはコンビニや飲食店などが
24時間一帯を照らし続けています。
F川は、水を満々と湛え
街灯に照らされた水面は 黒や青や赤い光を反射していました。
いつもと同じように
橋を渡りながら、その様子を眺めます
そしてふと、川の反対側を見ると・・
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shake
麦わら帽子に 白いシャツを来た
初老の男性が立っています。
明らかに、生きている人間のそれではありません。
でも・・・
まったく恐怖心はありません。
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『あぁ・・また緊急事態なんですね・・』
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・・・
実は、この男性
主人の亡くなったお祖父様なのです。
事あるごとに私の前や、夢に登場し
身内の病気を知らせてくれたり
遺産のありかを教えてくれたりするのです。
名前は
『米蔵(ヨネゾウ)』
もう40年以上前に、亡くなっています。
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主人の入院後
初めて少し焦りを覚えました。
先ほどの通り、
この通称ヨネじいさんが登場したときは
何か知らせたいことがある時なのです。
何故、血縁でない立場の私に、かは
未だにわかりませんが
もしかしたら、主人は
危ない縁に立たされているのかもしれません。
気づくとヨネじいさんは消えていましたが
私は先ほどは違い、早足で病院へと向かいました
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ピンポーン・・
『はい、どうされましたか?』
『C棟403に入院中の鈴木です。主人の体調が良くないということでお電話いただいたのですが』
『鈴木様ですね、今解錠致します。』
緊急外来用のドアがあき、
中に入ると
清潔な院内とはいえ 薄暗く
やはり気持ちの良いものではありません。
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『ご主人ですね、夜21時すぎに徘徊しはじめ
点滴も何度も抜いてしまって・・
男性スタッフも説得にあたったのですが、応じてもらえず 今点滴をやめてしまうと危険な状況なので
奥さまから説得していただけませんか?
普段の様子とも全く違いますし、ちょっとお顔をみせてあげて欲しいんです』
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その日、C棟のナースステーションには
女性看護師2名、男性看護師2名。
疲れた表情の男性看護師は私の顔をみて苦笑い・・
女性看護師は、やんわりと話してくれましたが
よほど迷惑をかけたのでしょう。
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身長180センチある主人が
なりふりかまわず暴れてたとしたら、男性二人でも
相当手を焼くことでしょう。
まして朦朧とし
こちらの言うことは全く伝わらないのですから
もう、申し訳ないやら恥ずかしいやらで
申し訳ありません、ご迷惑おかけしました!
と頭をさげ
目が離せない状況のため
ナースステーション目の前の病室に移動されてしまった
主人のもとに向かいました
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パーテションになっているカーテンを開けると
見開き血走った目を
ギョロギョロとさせた主人がベッドに座っていました。
『今、何時かわかる?』
時計をみせると
『・・ちょっとわかんないな。何か読めない。』
やはり、少し変になっているようだ・・
ろくに食事もとらず 熱や頭痛が続いたせいもあるだろう。
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少し宥め、話をしていると
顔つきも穏やかになり
点滴をする、と言いはじめたので
点滴をしてもらうことになり、ひと安心。
処置に来てくれた男性看護師は
呆れ顔な気がして・・
私もどっと疲れが出てしまっていました。
ベッドのそばで
付き添い許可証にサインをしたところで
プッツリと意識を失ってしまったようです
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どれくらい経ったでしょうか
気づけば、面会の椅子に座り
バッグを枕にしてベッドに突っ伏していました。
(何時だろう・・)
時計を見ようとしたら
身体にまったく力が入りません。
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(あれ・・これが俗に言う金縛り?
疲れていたせいかな・・)
今まで、色々な心霊体験はありましたが
金縛りを経験したことはなかったのです。
でも不思議と嫌な感じはありません。
そのままふわふわと、
心地よい眠りに入ってしまったようでした。
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気づくと、丸い石がたくさん転がる河原にいました
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(あぁ・・債の河原ね。三途の川?)
何故、そう思ったかはわかりませんが、
債の河原、三途の川、という言葉が即座に浮かびました
私のいる岸は、丸い石が転がり
荒れた大地が広がっています。
今にも嵐が来そうな、
灰色とも
緑ともいえない 空でした
少し後ろにある
寒々しい丘のような場所に
二男が立ってこちらを見ていました。
(この子にも私と同じように、色々感じたりみえたりするようです。)
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向こう岸はというと
草原がサラサラと風に揺れ
さらに奥には満面の菜の花畑。
それはどこまでもどこまでも続き
空は初夏の夕立後の空のようにまばゆく
とても魅力的で、どうしてもそちらに行ってみたくなりました。
澄んだ川の流れは緩い。踝くらいまでか。
難なく渡れるはず。
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足を一歩だそうとした時
丘の上から二男が
『ママー!!もう、お腹すいた、早く帰ろう!』
と呼ぶのです。
あぁ、そうだ、息子たちが待ってる。
ご飯作りに帰らなくっちゃ・・
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もう一度川を振り返ると
川の流れは急に膝下まで嵩を増し
ドブドブと汚い流れに変わっていたのです。
そして川の中腹で
なんと主人がバシャバシャと水遊びをしているのです。
こんなにきたない川で・・!!!
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(あぁもう!!こんなに石がごろごろしていて
汚い川。サンダルが台無しじゃない!)
その日は、下ろし立てのサンダルを履いていたのです。
ザブザブと川を真ん中まで渡り
主人の近くまで行きました。
すると
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ヨネじいさんが主人の隣にるのです。
後ろに手を組み、見守るように。
するとヨネじいさんは
うんうん、と私の顔をみて頷き 踵をかえし
そのまま川を遡ってどこかに消えてしまったのです。
『パパ!!!何してんの?
そうちゃん(二男)も待っているし、具合が悪いんだから
水遊びなんかしてたら風邪引いちゃうよ。
早く帰ろう?』
ぐいっと肘の辺りを引っ張りました
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ふと目を覚ますと空は白んでおり
時計は午前4時30分を指していました。
主人は、気持ち良さそうに寝息をたてています。
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三途の川、花畑、という予備知識がありましたし
もしかしたら、川が近いこともあり
そんな夢をみたのかもしれません。
そして
小言を言った直後体調を悪くしたという罪悪感から、
連れ戻す、という夢をみた気もしました。
そう思い込むことに決めて、
誰にもその話をしようとは思いませんでした。
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その後、主人はめきめきと回復し
6月終わりに無事退院いたしました。
心配した後遺症もなく、
7月3日から通常通り職場に復帰します。
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何故、このような
曖昧なお話をしようと思ったのかと言うと
一昨日二男が
『僕ね、パパが病院にいるときの夢で
川の近くでボールで遊んでたらママがいて、おーい!!って呼んだんだ!』
と。
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きっとお祖父様は
主人が間違って向こう側にいかないように
見守ってくれていたのでしょう。
そして、私が迎えに来るのを待っていたのでしょう
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二男と私は、色々奇妙な体験をしているのですが
またいつかお話できたらなと思います。
まとまりのない話を
最後までお読みくださりありがとうございました。
作者なつ
はじめまして鈴木と申します。
今までの実体験を書いていきたいと思います。
文章にするのは初めてで
読みづらい部分も多いと思いますが
よろしくお願いいたしますm(_ _)m