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短編2
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その時はいるという事

友人から聞いた話が未だに忘れられない。

人の意識というものは、実に曖昧で不誠実なものである。彼は奇妙な現象、説明のつかない事柄をこの様に結論付け、持論を展開していた。

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人の記憶は嘘をつく。

明確な意思があったとしても、時間の経過と共にその意思に歪みや変化が生じ、総じて一貫性を失っていく。この様な考えに、いわゆる“幽霊”と称するものや現象を当てはめていくと、単に“気のせい”だと片付ける事が出来る。

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気配を感じるが実体の無いもの。

部屋で起きるラップ音。

就寝中に生じる金縛り。

錯覚としか考えられない程の、朧げな姿

これは人間の脳が作り出す、事実と異なる認識であり、その認識が時に幻想を現実に変える事がある。

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という取り違えをしてはいけない。

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「いいかい?

認識を誤ると大変な事になる。」

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彼がそう語る理由は、人が世界を構築しているのでは無いという事を、わかる必要があるからだそうだ。

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「私は認識を誤った。

我々が見たり感じたりしているのでは無い。

見られているんだ。その“何か”に興味を持ったが最後、常に見られ、意にそぐわない事になれば意識ごと別の世界に持っていかれる。だから君には伝えておきたかったんだ。」

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そう語った彼はその言葉の数日後、高層ビルから飛び降り帰らぬ人となった。

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どうしようもなく原理、原則というものが存在していて、人々がそれに気付くか気付かないかの問題。

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“それ”は確実にいる。

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自分以外誰もいない空間に、“何か”の気配を背後に感じる。

そんな時、それは真後ろではなく振り返った際に少し見上げる位置ではないか?

浴室で洗髪中、その気配は自分の背後ではなく、浴室の天井にないだろうか?

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そう感じる方は、確実にその“何か”を認識している。くれぐれも慎重に対処される事をお勧めする。

そして今、この物語を読んでいるあなたの頭上に、何かを感じないだろうか?

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Concrete
コメント怖い
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