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短編2
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せんぱい

「先輩、もうすぐで現場着きますよ。コンビニでも寄って行きませんか?」

ああここか。いやここはやめた方がいい。実は子供の頃に友達とここを歩いてたらさ、前からぎこちない動きで補助輪付きの自転車をこいでくる男の子がいたんだ。

道を開けてやろうとその子の目を見た瞬間、この子はどう見ても生きてる人間じゃないってそう思ったよ。

それに気づいたとたん男の子はふっと消えちまってな、ベタだけどその先のガードレールにオモチャやヒビの入った花瓶なんかが置いてあってさ。ああ、あの子はここで自転車こいでて事故にでもあったんだなー、なんて一人で納得したもんさ。

「せ、先輩、なんすか急に?」

んっ?ああ、夜に走ってる貨物列車あるだろ。あれもタクシーなんかと同じで霊が憑きやすいんだと思うよ。

これも子供の頃の話なんだけど、目の前を貨物列車が通り過ぎた瞬間、背中どころか身体中が痺れるくらいに寒くなったんだ。まあその時に見た映像は思い出したくもないから言わないけどな。ははは。

「ははは、じゃないですよ。朝からやめて下さいよまったく。」

ん?ああ、わりーわりー。でも最近はあまり見ないんだ。多分、大人になるにつれてそういう怖いモノを見たくないっていう思いがだんだん強くなってきたから無意識に自分の力で見えないようにしてるんだと思うよ。

「先輩、もうすぐ現場…」

うおーーー!!!

お、おい!今人轢いただろ!あれ?誰もいねえ、おかしいな、いま確かに道路の真ん中におばさんが立ってたんだけどな… お、おまえも見ただろ?

「……………… 」

Concrete
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