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中編3
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どストーカー

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「お姉ちゃん、どうやら私の行動、筒抜けみたいなのよ」

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東京で一人暮らしをしている今年29歳になる妹からライン電話があったのは、昨晩のことだ。

どうやら最近元カレによるストーカー被害を受けているみたいということだった。

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私は尋ねた。

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「筒抜けって、いったい、どういうことよ?」

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「あのね、先日仕事から帰った時アパートの集合ポストを覗くと奇妙な白い封筒が入っててね。

宛名を見ると、なんと去年別れた篤志からのもので、中の便箋には、最近お前ちゃんと晩飯食べてるのか?インスタントじゃあ栄養つかないぞって書かれてて、、、

確かに私、その日の前日の晩御飯は疲れていたからカップ麺だったのよ。

それまでも無言電話とかはあったんだけど、今回のはさすがに度を越してると思ってね。

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あいつ、私の部屋に盗聴機とか仕掛けてるのかな?

それともまさか天井裏に潜んでいるとか?

ああ、気持ち悪い、気持ち悪い、、、

お姉ちゃん、私どうしたらいいのかな?」

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妹の元カレは板前だったそうなのだが、異常に粘着質で短気な性格だったようで、3年ほど前、当時勤めていた店の大将と口論のあげく包丁でケガを負わせ、しばらく刑務所に入っていたそうだ。

そんなこともあって去年の始め、最終的には別れたそうなのだが、それからもちょくちょく連絡があって復縁を迫られていたようだ。

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「弘毅さんには相談した?」

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弘毅さんというのは、妹の新しい彼氏だ。

最近お付き合いしだしたようで、私はまだ会ったことがない。

とても優しい彼氏らしく、妹が仕事で疲れている時とかは代わりに掃除とか晩御飯の準備とかまでしてくれたりするそうだ。

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「うん、昨日うちに来た時、話した。

そしたら、今度一緒に警察署に相談に行こうって言ってくれた」

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「それが良いと思うよ」

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最後に妹はこう言った。

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「ねぇ、お姉ちゃん、他にも相談したいことあるから、今度うちに来ない?」

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ということで私は翌日の日曜日、東京のアパートで独り暮らしをしている妹に会いに行くことにした。

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 東京駅に着いたのは午後5時過ぎだった。

それから地下鉄に乗り換え、妹の住むアパート最寄りの駅に着いたのは午後6時。

その日、妹は夕方から用事があるので少し遅れるかもしれないが、彼氏はいるはずだから部屋に入って待っていて欲しいということだった。

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 入口ドア横の呼び鈴を押す。

しばらくすると鍵を開ける音が聞こえ、静かにドアが開いた。

隙間から妹の彼氏の顔がのぞく。

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「こんにちは。あの、、妹がいつもお世話に……」

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突然色白で吊目の若い男の顔が現れたので、私はドギマギしながら頭をさげる。

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「ああ、お姉さんですね、はじめまして。

僕今、妹さんとお付き合いさせてもらってる上條弘毅と言います。あいつ、もうちょっとしたら帰ってくると思うので、どうぞ中で待ってて下さい」

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上條は爽やかに微笑みながらドアを大きく開いた。

私は奥の居間のソファに座りテレビを見ながら、妹の帰りを待っていた。

しばらくすると煮魚の良い香りと包丁の音がしだしたので振り向いて見ると、上條は奥のキッチンでなにやら料理の最中のようだ。

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「あの、、どうぞ、お構い無く!」

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私は上條の背中に声をかける。

すると彼は振り向くと肩越しにこちらを見ながら、

「いやいや、どうせ今晩は僕が晩御飯作るつもりだったから、ついでにお姉さんの分まで作ってますよ。」と言ってニッコリ微笑んだ。

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私が恐縮しながら「どうもすみません」と頭を下げると、上條はまた振り返り、

「なんだか、あいつ最近忙しいようで、まともに晩飯食ってないみたいでね。たまには良いもの食わせてやろうと思って、今日は奮発して金目鯛の煮付けをね」と言って笑った。

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 そうしているうちに、ラインの着信を伝えるチャイムが鳴る。

私は傍らのバッグから携帯を出した。

妹からだ。

そしてディスプレイに並ぶ文字を読み終えた途端に「え?」と目を疑い、もう一度改めて読んだ後、一瞬で背筋が凍りついた。

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お姉ちゃん、ごめん(´`:)

用事が早く終わって時間があったから彼氏と買い物出たんだけど、長引いてしまって、、、

あと5分くらいで一緒に家戻るから、アパート玄関の前で待っててね(^^)

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携帯を持つ右手が震えている。

画面からゆっくり顔を上げた時だ。

突然部屋の電気が消えた。

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