短編2
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どストーカー

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 東京で独り暮らしをしている29歳の妹が心配で、私は先週日曜日に会いに行った。

というのは、妹は今ストーカー被害に会っているらしいのだ。

連日の無言電話、

意味不明の手紙……。

犯人は2年間付き合っていた元カレらしい。

妹は今同じ年の新しい彼と同棲していて、結婚まで考えているらしく本当に困っているらしい。

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 東京駅に着いたのは昼過ぎで、地下鉄、バスと乗り継ぎ、郊外の妹のアパートに着いたとき、午後6時を過ぎていた。

その日、妹は夕方から用事があるので少し遅れるかもしれないが、彼氏はいるはずだから部屋に入って待っていて欲しいということだった。

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 入口ドア横の呼び鈴を押す。

しばらくすると鍵を開ける音が聞こえ、静かにドアが開いた。

隙間から彼氏であろう若い男の顔がのぞく。

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「こんにちは。あの妹は……」

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突然男の顔が現れたので、私はドギマギしながら聞いた。

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「ああ、お姉さんですね、はじめまして。

僕今、妹さんとお付き合いさせてもらってる上條と言います。もうちょっとしたら帰ってくると思うので、どうぞ中で待ってて下さい」

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男は爽やかに微笑みながら、ドアを大きく開いた。

私は奥の居間のソファに座りテレビを見ながら、妹の帰りを待っていた。

上條は台所で口笛を吹きながら、コーヒーを作っている。

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 突然、ラインの着信を伝えるチャイムが鳴った。

私は傍らのバッグから携帯を出した。

そしてディスプレイの文字を読んだ瞬間、背中を冷たいものが走った。

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お姉ちゃん、ごめん(´`:)

用事が早く終わって時間があったから彼氏と買い物出たんだけど、長引いてしまって。

もうすぐ一緒に家戻るから、入口の前で待っててね(^^)

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