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第三回リレー怪談 鬼灯の巫女 第十一話

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第三回リレー怪談 鬼灯の巫女 第十一話

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第三回リレー怪談 鬼灯の巫女 第十一話

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記憶の糸をたどり、渚がハッとし

「そうだ!園さんが園さんと話していたの!」

「どういうこと?」

八月はよく理解できないといった様子で聞き返した。

「だから!園さんが二人いたんだよ!」

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「喉乾いた・・・」

冷蔵庫を求め私(渚)は台所へとやってきた。

冷蔵庫発見!食器棚からグラスを取り出し、冷蔵庫からミネラルウォーターの入ったペットボトルを取り出しグラスへと注いだ。

ゴクッ・・・ゴクッ・・・。乾いた喉をミネラルウォーターが潤す。

ぷはぁ~。美味しい。もう一杯飲もうと、再度グラスに注ぎペットボトルを冷蔵庫へと戻したとき

「あらぁ。渚ちゃん。」

園さんが台所へとやってきた。

「園さん・・・。」

園さんは私と同じように食器棚からグラスを取り出すと、冷蔵庫からペットボトルを取り出した。

「お婆さんのことあまり気にしたらいけないよ。」

「でも・・・。私たちのせいなのかな・・・って。」

大方の流れをどこからか聞きつけたのか。園さんは気にかけてくれているのだろう。

「渚ちゃん。一緒に来てほしいところがあるの。」

「来てほしいとこ?どこ?」

「曲津島。」

「え!?曲津島!?それなら、みんなも一緒に!」

「みんなもちゃんと来るよ。ただ、事態は私が想像していたよりも早く進んでいる。今は詳しく話す時間がないの。だけど、これだけは言えるの。渚ちゃんは今晩、ここにいてはいけないの。」

どうして?そう聞きたかったが、今までの園さんとはまるで別人のような威圧感に私は

「・・・はい。」そう答えることしかできなかった。

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魚船が多く停泊する港とは別のこじんまりとした港にまるで隠すように停めてある小型船舶。これは園さんが所有しているものらしい。

「さぁ、乗って。」

園さんに促されるままに船へと乗り込み曲津島へと向かった。

道中、園さんは何も語らなかった。

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島にたどり着くと、神社へまっすぐに進んだ。

迎えてくれたのは双子の巫女。通された部屋で座っていると。

「私ちょっとトイレに行ってくるね。」そう言い園さんは部屋を出て行ってしまった。

待っているうちに私もトイレへと行きたくなり、部屋を出てトイレを探しながら建物内を歩いていると

「そう・・・。渚ちゃんを連れて来たのね。雅人は?」

部屋の中から二人の話し声が聞こえた。そっと、小さく障子を開き部屋の中を覗くと

え?!園さんと・・・園さん?!

思いもよらない光景に唖然としたが、トイレに行くつもりだったことも忘れ部屋へと急いで戻った。

園さんも双子だったの?でも、そんなこと一言も・・・。

園さんが言わなかった以上、今見たことも伏せておいたほうがいいだろうと考え、私は何も言わなかった。

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「こういうことがあったの。たぶん園さんは双子。」

「なるほど・・・もしかしたら俺は考え違いを・・・」

意味深な反応をする東野。その様子に気付いた潮が問いかける。

「なんすか東野さん?なにかわかったんすか?」

潮の言葉にあえて返事をせず、問い返す。

「なぁ、潮。俺には弟がいるんだがいくつだと思う?」

「え?東野さん弟いるんすか?ん~、1つ下!」

「三人はどう思う?」

「私は3つ下かな?」

「私は5つ」

「じゃあ、10!・・・正解は?」

七月、八月、渚は思いつき次第回答したが、

「正解は3分下。」

「え?どういうことすか?」

「俺は双子なんだよ。俺が3分だけ兄になる。」

意外な言葉に潮は驚きを隠せず、

「東野さん双子だったんですか?!」

「嘘だよ。俺に弟はいない。」

「え?意味が分かんないんすけど・・・」

まったくもって意味が分からない。眉をひそめて潮は考え込む。そんな潮をしり目に東野は続ける。

「まぁ、聞いてくれ。この中に、俺が双子で、兄ではないか?と思ったやつはいるか?」

4人は顔を見合わせて首を横に振った。

「そこなんだ、俺たちは勘違いをしていたのかもしれない。

“弟”と聞けばいくつか歳が離れている。

そう考えてしまう。理由は簡単だ“双子”というのが珍しいからだ。色々調査の仕方によってバラツキはあるが双子の生まれる確率は一卵性・二卵性あわせて1/1000つまり0.1%だともいわれている。

それだけ珍しい。俺たちの持つ常識の盲点だ。0.1%の確率をものにした北嶋姉妹でさえ思いつかなかった。」

「すいません東野さん。話が見えないんですけど・・・」

次々と話していく東野についていけず、潮の頭はパンク寸前だった。

ほか3人は口を挟まず、ずっと考えている。

「すまない。話が少しそれてしまったな。西浦が見た二人の園さん。そして俺たちの前に現れた園さんの弟だと言った雅人さん。3人が三つ子だったら?それに覚えているか?

『曲津島に渡るしかない。双子の妹が埋葬されているあの島へ。』俺たちがここへ行けるように準備を整えたのはあの人だ。確かに前日、俺は『曲津島へ行こう』といったが船の手配などは何もできていなかった。そんなときに1週間や2週間連絡が全く取れないならまだしも、1日、2日連絡が取れないからって東京から帰ってくるのは少々不自然だ。しかも、俺たちが来ていて曲津島に渡ろうとするタイミングで。だが、一つ加えると不自然がなくなる。」

八月が口を開いた。

「・・・園さんが雅人さんを呼んだ。」

少し間を置き「・・・そうだ。」

話を自分なりに把握するため、4人は頭を整理しているようだ。

「北嶋妹には“七月”という名と“鬼灯”の関係については簡単な話をしたが、みんなにも聞いてほしい。もう少しだけ詳しく話そう。」

「何の話ですか?」

八月と二人で話した内容を知らない七月が不思議そうにする。

「東野さん!?」

「北嶋妹、すまない。姿を消した園さん、雅人さん。もう、お堂は目の前にある。下手な隠し事は事態の進行に支障をきたしかねない。俺らみんないつまで無事でいられるかもわからないんだ。」

「はい・・・。」

何か言いたそうにする八月だが口をつぐみじっと東野の言葉を待つ。

「学説的には弱いが鬼灯は方言で全国的に「ふずき」と呼ばれることが多々ある。このことから陰暦の7月「ふずき・ふみずき」から「ほおずき」と呼ばれるようになったという話がある。

別の説では鬼灯は「あかがち」と呼ばれたりもする。「あか=”赤”」「がち=病気”がち”」を意味していてな、人の体で赤くなるのはどこだ?・・・顔だ。鬼灯は顔、すなわち”頭部”を指したりもする。

今まで幾度となく使った言葉だが、あくまでこれは俺の仮説 “7月”“頭”、今この場において伝承の鬼灯は“北嶋姉の頭部”を指している気がしてならないんだ。

もし、今お堂の中に鬼灯が無かったら・・・鬼灯を求めるかもしれない。二人の巫女が決して北嶋姉妹は鬼灯を納めたお堂には近づくなといった理由はここにあるのだろう。」

言葉を失う七月。東野の言葉に食って掛かる潮。

「東野さん何言ってんすか!?」

東野はみんなの様子を無視し、続けた。

「これも先ほど北嶋妹に話したことだが。偽物の西浦が初めて俺たちの前に現れ。

黒いフジツボ女を見たと言った後、取り乱した偽物に北嶋姉が近寄ろうとしたとき、北嶋妹は止めた。

あの時点では、西浦が偽物だなんてことは誰も知るはずもなかった。にもかかわらず、なぜ止めたんだ?・・・北嶋妹は、気付いていたんじゃないか?

西浦が偽物であることに・・・。この場でもう一度聞く。北嶋妹、本当に何も隠していないのか?」

八月は目を閉じて答える。

「・・・もう少しだけ、時間をください。私の中でちゃんと整理ができたら話しますから。」

「八月・・・」

心配している七月。

「わかった。・・・北嶋姉はどうだ?あの声以降何も異変や気付いたことはないか?」

「私は、夢か現実かわかりませんが宿で寝ているときに誰かが・・・何人かの人が私を取り囲んでいた気がしたんです。東野さんの話を踏まえるのなら、私の頭を・・・」

「七月!?どうして黙っていたの?!」

取り乱した八月が七月の腕を強く握る。

「八月・・・痛い・・・」

「あ・・・ごめんね」

八月は七月の腕を話した。

「そうか・・・。この話はいったんここまでにしよう。」

鬼灯残して瓜食った・・・3つ子のことだと仮定すると。鬼灯は“頭”、瓜は“双子の体”を。すなわち“1人の頭を残して双子の体を食べた。”

頭を残す・・・生かしておく?

生き残った西浦と亡くなった2人の姉。

はたまた、園さんが3つ子だったなら・・・3人とも生き残っている。

西浦家は、厳田家の分家。分家は僧を疎んでいたとしたら。

何故、園さんたちは生きていて、西浦の2人の姉は死んだ?

園さんたちの時には分家のおばあさんが因果を断つために手をまわし守れたが、西浦の時にはそれができなかった?

それに、もし園さんが西浦を一足早く曲津島へ連れて来ていなかったら、西浦はフジツボ女、西浦の姉と直接対峙してしまっていた。もしそうなっていたら・・・?

園さんは、もしかしたらこちら側の人なんじゃ・・・

“しゃべったなという声”“3種の伝承”この場にいる“北嶋姉妹がいる理由に因果”・・・謎はまだまだあるが、ここで考えても想像に過ぎないし答えなんて、結局は何もわからない。

「みんな、ここにいたところで事態は何も変わらない。真実を知るためには行動を起こさなければならない。今がその時だと俺は考えている・・・何かを知っている園さんたちを探すか。俺たち自ら調べるためにお堂へと向かうか。決を執りたいと思うんだがどうだ?」

東野はみんなへと提案した。

To be continued →next runner こげ

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