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キャバ嬢ユカの高貴な性癖

中編4
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キャバ嬢ユカの高貴な性癖

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「えー!もう別れたの!?ユカ

まだ1カ月くらいじゃなかった?タカシくん、

まあまあかわいかったじゃん、

ギターも上手だったし………」

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「うん、初めはそう思って、服とかも買い揃えてやったりしてたんだけど。

あいつ、だんだん調子乗ってきてね……」

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 背中が触れ合うくらいの狭いロッカールームの蛍光灯の下で、二人の若い女が着替えながらしゃべっている。

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「だいたい、ユカは飽きっぽいのよね。

その前のドクターも1カ月もったっけ?

今年入って、いったい何人と付き合ったの?」

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 薄いピンクのドレスに肩までの茶髪の方が、手鏡でルージュを塗りながら、もう一人に言った。

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「うるさい!あんたには言われたくないわ。

そんなことより、もっと指名増やすこと考えたら?

あんた今月、ヤバイんじゃないの?」

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 シルクのベージュ色のドレスを着たユカが長いストレートの黒髪をブラッシングしながら、返す。

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「はいはい 

さて、今日もあほヅラのハゲオヤジにヨイショしてきましょうかね!」

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 そう言って、茶髪の女はロッカールームから出て行った

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ユカはキャバクラLのナンバーワンの嬢だ。

今年24歳の彼女は、ストレートの長い黒髪に、子供っぽい顔立ちなのだが、顔とはアンバランスな肉感的な肢体をしている。

小気味よい会話のキャッチボールも上手く、若い者から年配まで、幅広い層に人気があった。

月の収入は常に軽く100万を越えていて、都内の5LDKの高級マンションで、暮らしている。

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─お疲れさまでしたー

深夜1時……。

今日も仕事を終えた嬢たちが、思い思いの場所を求めて夜のとばりの中に消えていく。

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 ユカは私服に着替え、クラブLを出ると、店前に横付けしている黒塗りのアウディに乗り込んだ。

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「ユカさん、これから、もう1杯、俺に付き合わないっすか?」

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ボウズ頭にピアスをした運転手がバックミラーに映るユカに言う。

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「今日は疲れてるの また今度ね」

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流れていく煌びやかな景色をぼんやり眺めながら、ユカは静かに呟いた。

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 10階建ての瀟洒なマンションのエントランスで降りたユカは、10階までエレベーターで一気に上がり、少しよろめきながら、1005号室の玄関ドアを開けた。

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「クラブL一番人気の嬢、ユカ、ただいま到着しました~」

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ピンヒールのパンプスを脱ぎ捨て、廊下の電気を点けると、倒れ込むようにしながら上がり込む。

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 広めの玄関口には、いくつかの女ものの華やかな靴に混ざり、黒の男もののエンジニアブーツがある。

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「お~い、タカシ~!いるか~」

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現代的な抽象画が壁に飾ってあるフローリングの廊下を進み、一番奥のドアを開ける。

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 同時にルームライトが点灯して、部屋の中がパッと明るくなった。

10畳はある広いリビングの中央には、西欧風の大きめのウッドテーブル。

少し離れたところには、巨大なプラズマテレビがある。

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「もう!タカシ、いるじゃないの!

だったら、返事くらいしろよな~」

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 星形の鋲がいくつも刺してあるヘビメタ調の黒の革ジャンに、穴あきGパンの男が長い足を投げ出して、右手の壁にもたれかかり、座っていた。

男の横には、黒のエレキギターが無造作に置かれ、傍らの床には、飲みかけの缶ビールが倒れており、中身がこぼれている。

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「た、だ、い、ま!」

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ユカは男の前に座り込むと、そのまま胸に顔を埋めた。

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「タカシのバーカ、、タカシがいけないんだぞ!

あんたが、あの部屋を勝手に開けるから……」

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ユカは男の胸を愛おしげにさすりながら呟いた。

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 しかし、男は返事をしなかった。

というか、できなかった。

なぜなら、男の首から上には何もなかったから。

……

……

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 ユカはシャワーを浴び、ガウンを着ると缶ビール片手に、バスルーム横手の洗面所にある姿見の前に立つ。

そして端に手を掛け手前に引くと、姿見はドアのように開いた。

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 中は8畳くらいの縦長の部屋で、一番奥には縦横3メートルくらいの巨大な水槽があった。

赤や緑の鮮やかな鱗をした、15センチくらいのたくさんの魚たちが水中を素早く動き回っている。

水槽の前には、二人掛け用の白いソファと小さなテーブルが置かれていた。

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 右手の壁には、高さ2メートルくらいの縦型の業務用冷蔵庫が2台、並んで置かれている。

左手の壁には、腰の高さくらいのステンレスの台があり、その上には白い布が敷かれ、外科手術用の大小のメス、ハンディな電動ノコ、チェーンソーなどが、きちんと並べられている。

ユカは右側手前の冷蔵庫を開けた。

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 白い冷気が上気した顔をくすぐり、同時に生臭い獣臭が漂う。

奥行き50センチくらいの棚が何段かあり、上から2段めまで、あるモノが並べられていた。

それはビニールに入ったパイナップルのようにも見える。

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それは、ビニール袋に入れられた人の首であった。

全て男性で、年齢も容姿もバラバラである。

スキンヘッドにピアスの若い男、

オールバックで口ひげの紳士風の男性、

ロングヘアにあごひげのちょい悪風オヤジ、

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 ユカはその中の一つを無造作に取り、鼻歌を歌いながら、奥の水槽まで持って行き、ビニールから出す。

それから、床の昇降台に上がると、いってらっしゃ~い!と言って、水槽の上の方から手を離した。

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「ありがとう、タカシ。

また、いつかどこかで会おうね」

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 金髪のロン毛にピアスをした男の首は、大きく両目を開いたままゆっくりと沈んでいき、やがて、静かに底まで落ちていった。

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 鮮やかな色をした魚たちは、一斉に男の首をついばみだし、

ものの5分程で、それは骨と皮だけの肉塊になった。

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 その一部始終をユカは、水槽の前のソファに座り缶ビールを片手に、少女のようなわくわくした目で見ていた。

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@おーいお茶 様
コメントありがとうございます。
また日頃から私の作品を読んでいただき、感謝感謝です。
今回は皆様の応援と運に恵まれて、アワード受賞となりました。
アワードというのは、実力というよりは、かなり運やタイミングに左右されるような気がします。 
というのは、私よりも優れた作家さんが未だに受賞されていないということが事実としてあるからです。
おーいお茶さんも、今のペースで作品を投稿されていますと、いづれ受賞になるように思います。
これにめげず、これからも頑張って投稿してください!

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おーいお茶です。
3年前位からねこじろうさん見てます!ファンです!
貴方は話がすごすぎでレパートリーもすごいです😂
僕も毎回楽しみにしてます!

今回僕も初投稿で負けましたが
いつか貴方にアワード勝ちたいです!

また読んで下さい!
僕もねこじろうさん🐈‍⬛応援してます😂

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