separator
一週間後
…
希「 ねえねえ美穂ー。今日の帰りにお家遊びに行ってもいい? 久しぶりに猫ちゃんたちにも会いたいし」
美「 うんいいよ、おいでおいで。ちょうど良かった。希美に見てもらいたい物があるの」
希「 え、なに? 」
美「 ぬいぐるみよぬいぐるみ。熊のね。
買った記憶がないのに、なんで私の部屋にあるのか不思議なの。私ぬいぐるみとか全く興味無いのにさ…
でも希美はぬいぐるみとか好きでしょ?良かったら希美にあげようかなって思って」
希「 えっ、ほんとに? 欲しい欲しい! やったー!
もしかして、テディとか?」
美「 ふふ、残念でしたー」
separator
翌日
プルルル、プルルル
ピッ
希「 あ、もしもし美穂? 遅くにゴメンね、まだ起きてた? 」
美「 うん大丈夫起きてたよ。
最近なんか寝付きが悪くてさ。今、相棒シーズン8見てたのよ」
希「相棒って…うちのパパがよく見てるやつかしら?
美穂ったら夜中に凄いの見てるね!とても女子高生の見る物とは思えないわ 」
美「 うふふ。私、最近ミッチーにハマってるの」
希「そ、そうなんだ。パパは寺脇さんが降板してからなんか納得いかないって怒ってたけど…」
美「 そんな事よりどうしたの希美?」
希「 あ、うんそれがさ… 昨日、美穂に貰ったぬいぐるみあるじゃん?プーさんの。
あれなんだけど背中の所が少しほつれててさ、よく見たら縦に縫った後があったの」
美「へえ、あれって新品じゃ無かったんだ」
希「 うん。で、綺麗に縫い直そうと思って全部ほどいてみたのよ。そしたらさぁ…
何か中からたまごっちみたいな形の、機械みたいのが出てきたの」
美「たまごっち?」
希「そ。で、パパに見せたらこれもしかしたら盗聴器なんじゃないか?って言うのよね」
美「 盗聴器? ふふ、希美のパパったら相棒とか見過ぎなんじゃないの?そんなものが私の部屋にあるわけないじゃん。
まぁ私が言うのもなんだけどさ…」
希「うん、勿論まだわかんないけど、とりあえずパパが調べてみるって言ってるんだよね。
美穂、あのぬいぐるみどこで買ったとか、誰かに貰ったとか、ほんとうに覚えてないの? 」
美「 うん、それが全く思い出せないのよ。私達って優人達が消えた日の一週間前ぐらいまでの記憶が消えちゃってるじゃん?
多分その辺りで手に入れてるような気はするんだけど…」
希「 そうだ!おばさんに聞いてみたら?もしかしたら何か知ってるかも!」
美「 ダメよ。お母さんあれ以来すごく落ち込んじゃってるの。今はとてもじゃないけど何かを聞けるような状態じゃないわ」
希「 おばさんそんなに酷いの?」
美「 うん。だって自分の娘が何日も意識無かった上に優人まで消えちゃって。
しかも、光代お婆ちゃんまであんな事になっちゃったから。最近はほとんどまともに会話すらも出来てないの」
希「 そうなんだ。そりゃそうだよね、早く秋田くん達見つかっておばさん元気になるといいね… 」
美「そうね。でも肝心の私達が何も思い出せないってのが本当にもどかしいし、腹が立つわ。無理に思い出そうとしたら頭が割れそうなぐらいにガンガン響くし!」
希「 うん、そだね。じゃとりあえずたまごっちの件はパパに調べてもらうからさ…美穂も元気出してね」
美「 うんありがと。
あっ、ちなみにお母さんの前では絶対に「おばさん」って言わない方がいいわよ。 あなたの命の保証が出来ないから。くす 」
希「 あ、う、うん分かったー。じゃまた明日ね美穂。おやすみ! 」
separator
数日後
キーンコーンカーンコーン
希「ねえねえ!」
美「………… 」
希「あれ美穂、聞こえてる?おーい」
美「 …… えっ、あっ、希美。どうしたの?」
希「ちょっと大丈夫?今完全に目が逝っちゃってたけど」
美「 うん。ちょっと大丈夫じゃないかも 」
希「えーちょっとしっかりてよ!最近げっそりしちゃって、なんか別人みたいだよ 」
美「そ、そう?
最近ほとんど寝れてないのよ。へんな夢ばっか見ちゃってさ」
希「 へんな夢? 」
美「 そう。毎回見る夢は同じなんだけどね。なんか暗ーい夜の学校で誰かに追いかけられてる夢なの」
希「えー、やだー」
美「それがいつも後一歩のところで転んじゃってさ。痛ったーい!って顔をあげたら目の前にトイレがあるの。
で、隙間から中を覗いてみたら、優人と亮輔くんがこっち向いて並んで立ってるの」
希「 えっ、秋田くん達が?」
美「 そう、二人とも私に向かって何か言ってるみたいなんだけど、なんて言ってるのか全然聞き取れなくてさ。近寄ろうとしたら決まってそこで目が醒めちゃうのよ。
おかげで今日も寝不足…」
希「 それってさ美穂。
もしかして正夢とかじゃないの?」
美「 正夢? 」
希「 うん、それか秋田くん達がどこかで動けなくなってて、夢を通じて感の強い美穂に助けを求めてるとか? 」
美「 まーた希美のオカルトが始まった。
実際にそんな「ほん怖」みたいな事が起こるはずないじゃん」
希「 いやいや分からないわよ。
多分、秋田くんと亮輔くんが私たちに見つけて欲しくて出てきてるんだわ絶対。だって同じ夢を毎日見るなんて普通に考えたらおかしくない?」
美「 そ、そうかしら? なんか私もそんな気がしてきた… 」
希「 一応調べてみる価値はあると思うんだけどな。ねえ、夜の学校って事しか分からないの?」
美「 うん。でも相当汚らしい所なのは確かよ… 教室のガラスなんかもバリバリに割れてたし、落書きやゴミもひどい。とにかく荒れ放題って感じだった。
ああ、もしかしたらどこかの廃校かもしれないわね!」
希「 …廃校か」
separator
翌日
希「ねえねえ美穂ー。
こないだ言ってた、たまごっちの件なんだけどさ」
美「 あ、うん。どうだった?」
希「 パパが言うにはやっぱりあれは盗聴器だったらしいの。びっくりよね、なんかネットでしか手に入んない高性能なやつらしくて、盗聴器でまず間違いないらしいの 」
美「 や〜だ嘘でしょ!やめてよ、なんで私の家にそんなもんがあんのよ?私って誰かに盗聴されてたの? 」
希「 そんなの私にもわかんないよー。でも誰かがアレを仕込んで美穂を盗聴してたのは確かじゃない?
パパが警察に持っていくかどうか聞いてたけど、どうする? 」
美「 …警察か。警察はもうちょっと待ってくれない?
今夜お母さんに聞いてみる。やっぱり何か知ってるかも知れないしね 」
希「 うん、分かった」
…
「 ごめん。ちょっといいかな? 」
美「 え?あっあなたは確か、優人とおんなじクラスの川口くんだよね?」
川「 うんそうだよ。
君たち昨日の休み時間に廊下で立ち話してたよね?」
美「 立ち話? ああ、うんしてたけど…
てか、毎日してるけどそれがどうかしたの? 」
川「 確か古い廃校がどうのこうのって言ってなかった?
もしかしたら優人達の事を話してんのかな?って思ってさぁ… 」
美「 そ、そうだけど…
えっ?もしかして川口くん、優人達の事なんか知ってるの?」
優「 知ってるっつうか、あの話って君たちが四人で行った廃校の事じゃないの?
てっきりそうだと思ってたんだけど 」
「「 よ、四人で行った?! 」」
川「 うん。ああそうか! 君たち記憶が無くなっちゃってたんだよね?
そう、あの日は君たち四人で廃校に肝試しに行ってる筈なんだ… セッティングしたのは俺だからよく覚えてる 」
美「 そ、それほんとうなの川口くん?
四人て事は、優人と亮輔くんと私と希美で廃校に肝試しに行ったって事かしら? 」
川「 そうだよ。優人に頼まれて俺が亮輔に声をかけたんだ。廃校に行くって言ってたから間違いないよ、優人やたら嬉しそうにしてたし」
美「 な、なんでその事をもっと早く教えてくれなかったの?
私たち気づいたら病院で、何にも覚えてなくて、警察にアレコレ質問攻めにされて大変だったのに… 」
川「 ごめん。なんか凄い事件になってたから、巻き込まれんのが嫌でずっと黙ってたんだ。
だけど優人達いつまでたっても見つかんねーし。俺、もう黙ってんのが辛くなってきちゃって… 」
美「 そうだったの。
ねえ、私達が発見された場所は離◯公園だって聞いてるけど、近くには廃校なんてないはず。
おかしいわ。なんで私と希美だけが助かったのかしら? 川口くんにも分からない?」
川「……ぐす 」
希「 川口くん」
川「 ごめんやっぱり俺のせいだ!ほんとにごめん!! 」
美「 何っどうしたの?もしかしてまだ何か隠してる事があるの?
ねえ川口くん。もう知ってる事は全て話してくれない?これはあの子達の命がかかってるの!」
川「 ああ、あの廃校を教えたのも俺なんだ。先輩から聞いたんだ。入ったら二度と帰って来れなくなるトイレがあるって…
でもまさか、ほんとにそうなるなんて思わねーもん!まさかほんとに!」
美「 ねえ川口くん。その話、もうちょっと詳しく聞かせてくれる? 」
separator
⑥に続く
作者ロビンⓂ︎
幼馴染み④
http://kowabana.jp/stories/30011
幼馴染み ⑥
http://kowabana.jp/stories/30093
まだまだ続くよー٩( 'ω' )و って、誰が興味あんねん!…ひ…
登場人物
秋田優人
吉岡美穂と幼馴染みの高校生。
中学生の時に両親を亡くし、以後、祖母と二人暮らし。
吉岡美穂
美人で優等生だが、絵が下手。
家で猫を10匹飼っている。
親友は永田希美。
永田希美
天真爛漫で何事にも興味津々な性格。
官僚の父を持つお嬢様。
趣味はヌイグルミ集め。
川口拓海
秋田優人のクラスメート。
真面目で読書家。
オカルトサークルの会長である兄の影響で、霊能者の稲河淳太と交流を持つ。
石原亮輔
秋田優人や川口拓海と同級生で、陸上部主将のスポーツマン。
優しくてイケメンだが、体育会系に有りがちな「どこか間抜けな一面」を持っている。
稲河淳太
肩書きは自らの体験談を語る初老の怪談師だが、確かなその実力から霊能者としても活躍している。
怪談を通じて川口拓海の兄と親交がある。
金と名誉に異常な執着がある一面も。
北野真子
稲河淳太の助手。
36歳、バツイチ子無し。
学生時代に火の玉を見て開花し、霊界に興味を持つ。