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長編9
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数獲るー石封じの譚ー

神社の境内、木漏れ日の中、由奈はある男へ神社の案内をしていた。

神職の装束の下、腕に巻いた包帯の傷が疼く。今穏やかに時が過ぎていくこの場所で、数週間前に起きた惨劇を思い起こす。

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頰を伝う涙と手の震えが止まらない。

目の前には幾多の屍が横たわり、むせ返る程の鉄の匂いが充満している。その臭気に嗅覚が反応し、逆流した胃の内容物が境内の石畳を汚す。

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(うぅ、恐ろしい……鬼だ。ここまでとは……クソ! )

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装束が赤く染まり、自らも打撲、裂傷、亀裂骨折と満身創痍の状態の由奈は、仲間たちの死を悼み“禍鬼(かき)”の力の一端に触れ、恐怖心と何もできなかった自分への焦燥感により茫然自失をしていた。

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(これからどうすればいいのか……? )

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縋る様に思考を巡らすが、頭の中では今しがた体感した絶望が幾度もフラッシュバックをするだけであった。

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「暫くだねぇ、佐久間さんところのお嬢さん。今日はね、“数獲る”の最後の章が記された文献を拝借しに来たよ。

でも、どうもおかしいんだよねぇ。その文献だけいっくら探しても見つからないんだ。もうコソコソとしているのも億劫だから、あはっ、こうして堂々といただきに参りました」

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神社の境内へ松が訪ねて来る。

この地の上役達が数獲るの呪いにかかったという話は、いち早く由奈の耳に届いていた。それにより由奈は松の今後の動向や、数獲るの伝承から彼女の今の“状態”を予測する。

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戯けて振る舞う松だが、数獲るの文献から忌石、怨塊を厳重に保管していたにも関わらず、怨のなせる技か見事に奪って見せた。

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由奈は数獲るの呪術にとって最も重要な、“石封じ”の譚が記された文献だけは何としても死守しなければという想いから、文献を神社とは別の場所に隠し、奪われたものを取り戻すため、町の有志と神職の仲間達で松を迎え撃っていた。

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「よくぞお越しになられました。わざわざ御足労いただかなくとも、ワタクシどもからお伺い致しましたのに。

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貴女様のお探しである文献とやらは、この神社には御座いませんし、そもそも貴女様へ献上する様なものなど持ち合わせてはおりません。

ところで、この神社に祀ってあった物がいくつか盗み出されており、犯行の痕跡から貴女様のお名前が浮上しております。寧ろ盗まれた物をお返しいただきたく存じます」

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毅然とした態度の由奈に対し、松は動揺するどころか余計に挑発的な姿勢を見せる。

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「警察には連絡したのかい〜? あーすまんすまん、出来なかったんだっけかなぁ! この土地自体が大罪を起こしているんだからなぁ。

だからあだしがきっちり粛清して終わらせてやるから。ほれ、寄越しな」

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由奈の背後からゾロゾロと男衆が出て来る。

屈強な男の集団と老婆が対峙するという、異様な構図となった。土地の有志、力仕事を生業とする男達を呼び寄せ武力行使に出ざるを得ない理由は、松が既に“禍鬼”の力を色濃く宿していると由奈が予感していての事であった。

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「コラババア! テメェこの野郎! 誰がこれからオレらを殺そうとしている奴に手を貸すんだぁ? とっとと盗んだ物返せや! 」

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男衆の中から一際身体が大きく、若く威勢が良い男が松に凄み、詰め寄る。

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「ほっ……随分口の悪いのがいるんだねぇ。あらあら、こんなに大勢の若い男を従えちゃって、お嬢ちゃんもなんだね……お盛んなこったねぇ! カカカカ!

おーすまんすまん、アンタさんの事忘れとったわ。年取るとボケちゃって仕方ないさねーあそうだ! アンタさんあだしを介護して下さいな! ハハハッ! 」

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松は男の顔をペシペシと何度も叩き尚も挑発を繰り返す。見る見る内に男の顔が赤く怒りで満たされ、顔を叩く松の枯れ枝の様な前腕が掴まれる。

その刹那、グチィッ! という鈍い音がした。

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「うわぁ! お、おい……お前」

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周囲にいる男達が口々に驚きと奇異なる反応を示すと、え!? と松の腕を握っていた男が振り返った。その腕は歪にねじ曲がり、骨が折れ皮膚を突き破って動脈を傷つけたのか、腕からは血液が噴水の様に噴き出している。

男が自らの腕の状態に気付き声を上げる前に、彼の首が周りの人間の視界から消えた。

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「ほれ……こレだロぅ? 」

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目の前の老婆が、ちぎり取られた様な男の首を突き出していた事よりも、その老婆の、いや“老婆であった者”の姿に一同は驚愕していた。

赤黒く変色した肌に、その場にいた男達の誰もが見上げる程の巨躯、衣服を突き破る身体は人のそれではなく、手足の爪は鋭利な程伸び松の面影のない顔面は微かに嗤っている。

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その化け物は視界が定まらず獣の様にヨダレを垂らし、低く地鳴りの様な唸り声を上げていた。

次の瞬間、化け物は忽然とその場から姿を消す。同時に一人、また一人と呻き声や叫び声、怒号などと共に、血飛沫や肉片が辺り一面を赤く染めていった。

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由奈は人集りの背後に匿われていたが、この惨事に足が震え、膝をつきその場から動けずにいた。およそ人間の視覚では捉えられない程に高速で移動する化け物は、いつしか動きを止め由奈の前に立ちはだかる。

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視界を覆い尽くす赤、黒、肌色の塊の数々に囲まれながら、由奈は只々戦慄するしかない。

ドンッ! という重く鋭利な衝撃により、気がつくと由奈は数メートル後方へ吹き飛ばされていた。反射的に出した腕は衝撃で動かなくなり、後頭部を強打し仰向けに倒れる。

朦朧とした頭で視界に広がる曇天をボンヤリ眺めていると、横から老婆の顔が覗いて来る。

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「加減がわからなくてねぇ。危なく全員殺すとこだったわ。ククク……お嬢ちゃんだけは最後まで生かしておくでな。文献のありかをまた聞きに来るからねぇ。それじゃ、お暇するよ」

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「あのー……由奈さん? 」

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先程から遠くを見つめ、想いを馳せている様子の由奈へ遠慮がちに声をかける阿部は、神社に着いてすぐに早苗と再会が出来た。

悪いが積もる話も多くてなと桂二に言われ、早々に早苗と桂二、阿部と由奈の二手に別れる事となった。

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(由奈さん……綺麗過ぎる。ヤバイ……完全に惚れた! )

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恋の成就の少ない純朴な青年である阿部にとって、由奈は数少ない一目惚れの対象となっていた。

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「あっ! 申し訳御座いません。ワタクシとした事が……ここのところ、色々と立て込んでおりまして。当神社の御案内を続けさせていただきます。こちらへ」

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阿部と由奈はお互いに思惑は違えど上の空に境内を歩く。

一通り案内が終わり、客間で阿部と由奈が二人きりとなる。阿部は浮ついた気持ちを振り払い、神社まで来る道中に松と対峙し、石を見た事を話した。

由奈は阿部の目にした石が怨塊であること、数獲るの歴史的背景と禍鬼についてを説明した。阿部は半信半疑ではあったが、目の前の美しい女性の語る内容を真剣に聞いている。

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「その上で、貴方様へお伺いしたい事がございます。数獲るは、今いくつを数えて御座いますか? 」

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「あ、えーと、確か51だったと思います。あれから2日程経ちますが、数字は進んでいませんね。桂二さんへはこの事は伏せてありますが、早苗さんにもまだ話せていません」

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「承知致しました。先ずは早苗様と桂二様を待ちましょう。長旅お疲れ様で御座いました。気の利いた御構いも出来ませんが、どうぞお寛ぎ下さいませ」

ワタクシはこれでと去っていく由奈を見送り、阿部は自分なりに数獲るについて、松の動向についての考えを巡らせる事にした。

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「おーいたいた! 早苗、久しぶりだな。心配して来ちゃったよー。迷惑だったよな……ただな、すぐに話したい事があるんだ。ここじゃアレだから、ちょっと二人でアレしよう! あーお前さん達! 俺達は二人積もる話も多いから、少し外すよ。また後でなー! 」

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桂二は早苗との再会後直ぐに二手に別れるかたちを取った。そうしなければならない理由があったのだ。

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(よし、バレていない。強引だったけどなんとか行けそうだ)

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ちょっと! という早苗に目配せと、小声で一言伝えると彼女は大人しくなる。

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「弟は無事だ」

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やっとここまで来れたと胸を撫で下ろす“男”は、自らの定めに逆らうべくこの地へ足を運んでいた。

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「ちょっと、アンタどういうつもりなの!? “桂一さん”! 意味がわからない。髪型や服装まで真似て何なの? 」

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早苗に軽蔑に近い眼差しを向けられる桂一はそれを意に介さずに返答する。

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「早苗ちゃん、出来のいい弟と背の高さしか似ていない俺だって、こんな恥ずかしい事までしているワケがあるんだよ。まぁ少し話を聞いてくれよ」

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桂一は急に勝手な行動をした事の弁明として、話を整理して進めるため二人になる必要がある事、桂二は無事でこの件に関しては寧ろ協力してくれている事を早苗に説明をした。お茶でも飲みながらと提案するが、そこでいいでしょと早苗は神社近くの公園のベンチを指差す。

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「で?」

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ベンチの端に座り腕組みをする早苗は、冷たく一言だけ吐き捨てる。

桂一にとって早苗は弟である桂二の妻、義妹という関係ではあるが、過去における桂一の振る舞いが彼自身を他人以下の、忌み嫌われる存在としていた。

桂一は早苗に向かい深々と頭を下げ、申し訳ない! と言い話し始める。

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「俺が今まで桂二や早苗ちゃんに迷惑をかけたのは悪いと思っている。自分で言うのも何だが、女と金にだらしなく、桂二だけに留まらず、早苗ちゃんにも金の無心をしていた事、借金の保証人に桂二の名前を勝手に使った事、あとは……まぁアレだ! とにかくすまない! 」

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桂一は俯き、こんな俺でも……と自らの掌に視線を落とし、早苗に向き直る。

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「こんな俺でも、お前さん達の力になれるかも知れないんだ。

俺の仕事、知っているだろ? ジャーナリストとして十数年前からこの土地の事を調べていたんだ。そう、ちょうど桂二が医療過誤で病院を追われた頃からな……」

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早苗は桂一に向き直ると、嘘でしょ……? と静かに呟いた。

桂一は弟が職を失い、失意に暮れる様子を目の当たりにし違和感を感じ、病院の事務長へ取材と称して聞き込みを行なっていた。

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「最初こそ俺の得意なタカリを武器に、下衆なやり口で脅しをかけ仕返ししてやろうって、そんな単純な考えしかなかった。だが事務長の反応は意外なものだったよ。

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『ある土地の人達に、責任は持つから患者は末期症状って事にしてくれと頼まれた。まったく、鬼畜な考えの集団だよ。あんな連中とは金輪際関わりたく無いね。君が伊藤君の親族だと言うからここまでは教えてやる。奴等に筋は通してある。君がこの病院におかしな事をする様なら、わかっているね? 』

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ははっ、こんな具合だよ。苦労はしたけど、本筋の仕事の傍ら、時間をかけてなんとかこの土地を突き止め、土地の掟やら習わしやらをコツコツと調べていたんだ。

そうして鈴木家に行き着いた時には、正直複雑な気持ちだったよ。やりきれない想いからの復讐ってやつは、分からなくもないからなぁ。ただそれも自分が数獲るの呪いにかかるまでだけどな……」

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早苗は目を見開き言葉を失っていた。

「俺がお前さん達の力になれるのはここからだ。

実は三ヶ月前、この土地の上役とされる爺さんが数獲るの呪いにかかったんだ。

松の動きを追っていた俺はある日、奴が呪いを発動するのを目にした。

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町長とされる爺さんの家にソワソワしながら尋ねる松を見て、これは何かあるなって物陰から監視をしていたんだよ。そうしたら案の定、奴はさりげなく爺さんへ怨塊を見せていた。

松によって人知れず遂行された呪いは、呪われた本人には気付かれてはいなかったよ。

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呪われた人に聞こえる数字は、呪われた人の人数或いは呪いにかかっている人の死の数だけ。その爺さんは耄碌していることもあって、“1”っていう数が聴こえても分からない様子だった。

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でも俺もその場にいて怨塊を見てしまったから、数獲るの呪いにかかってしまったんだ。勿論数獲るについての情報は把握しているからその先どうなるかも分かる訳で、直ぐに“2”って聴こえた時には、何だが笑えてきてな……俺の人生終わったってね。

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少しして早苗ちゃんがこの件に深く関わっている事が分かったのが事の経緯だ。こんな事で罪滅ぼしになるとは思っていないけど、死んだら何も出来ないだろう? 」

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はははっと笑う桂一を見て早苗は、『恐ろしいのは猶予期間を知るのは呪術者のみで……』という由奈の語った言葉を思い出していた。

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「桂一さん、アンタまさか数獲るの残された猶予期間が正確にわかるの? 」

早苗の質問に桂一は、右手の人差し指と中指を立てピースサインをしながら答える。

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「あと二日だ」

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早苗、桂一、由奈、阿部は神社の客間で合流し、桂一が由奈と阿部に早苗に話した内容を説明する。

「由奈ちゃん、お前さんの事も良く知っているよ。あ、いや変な意味じゃなくてな、ははっ! 」

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桂一が由奈に片目を瞑り目配せし、その意味深な合図に由奈も微かに眉を上げ反応していた。阿部は桂一に騙されていた事はさして気にしてはいなかったが、桂一と由奈のやり取りを見て嫉妬心と対抗心が芽生えていた。

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「由奈さん、皆さん揃いました。これからすべき事を僕らに教えて下さい」

阿部の言葉に由奈はゆっくりと頷き、それではと話し始めた。

Concrete
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続きがものすごく気になります!笑
これぞまさに焦らしプレイというやつですかね…笑

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