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短編1
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愛犬

と、と、と、と、と、

かり、かり、かり、

コタツで寝落ちかけていた俺の意識の隅で、今日もそんな音が聞こえる。

いつものように廊下を走ってきた愛犬のクーが、開けてくれーって襖をかりかりと引っ掻くのだ。

でも俺はそれを無視してコタツ布団を頭からかぶる。

「クー、お前はもう死んだんだよ」

クーが死んでからというもの自分の部屋で寝にくくなってしまった。布団の中に、いるはずのないクーが入りこんでくるからだ。

13年も連れ添った愛犬だから、怖いという感覚はないけれど、やはり朝まで布団の中でガサゴソされては安眠できない。

でも不思議な事に、インコのいるこの部屋にはなぜかクーも入ってこれないらしく、襖をカリカリ、カリカリ。実際は「入れてくれー」なのか、「出てきてくれー」なのかはクーにしか分からない事だけれど、短い睡眠時間確保のために、俺は今日もコタツで眠る。

あー、いつまでもこんな生活を続けていたらいつかは風邪をひいちまうな。明日からはこの部屋に布団を持ってくるとしようか。

Concrete
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