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中編3
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復讐

ずっと好きだった社内のアイドルに思い切って告白した結果、まさかの大成功。同僚の冷たい視線や態度にも負けず、なんとか同棲にまでこぎつけた。

もちろんゆくゆくは彼女とは結婚して仕事もやめてもらい、専業主婦として僕を支えて貰えたらなーなんて夢もあったんだけど、その妄想は一緒に住みだしてから僅か一週間で消えてしまった。

天使だった彼女の言葉遣いは日増しにどんどんと悪化していった。今なんてもうやくざみたいな話し口調だ。

炊事洗濯は全て僕。いつ見ても誰かと電話で話しているので二人の会話なんてほとんどない。料理が口に合わないと裏拳で殴ってくるし、入浴剤を切らした時なんて、廊下で一時間も正座をさせられた。

僕が稀にみる超ドMだったから良かったものの、もしそうじゃなかったら今ごろ逆DVで訴えられている所だ。いや、彼女はもしかしたら僕が天性のドMだということを初めから見抜いていて付き合ったのかもしれない。もしそうだとしたら敵としてなかなか天晴れ、やるじゃないか。

なんて、ギリギリ冗談ですませられるくらいの生活を過ごしていたんだけど、この日も風呂がぬるいといきなり尻を蹴られた。

僕はその日、朝から機嫌が悪くて仕事でもヘマばかり。夜には相当むしゃくしゃしていた。

そんな時にこの仕打ちだから、いつもならすぐに謝って追い焚きするところを、咄嗟に蹴ってきた足をひっ掴んで彼女を後ろ手にひっくり返してしまったんだ。

激昂した彼女はぎゃーぎゃーと喚き散らしながら散々僕に物を投げつけた挙句、そのまま家を飛び出していった。

数日後、彼女はいかつい顔をした男二人組と帰ってきた。最初の男が僕の腹や足にアイスピックを突き刺し、動けなくなったところをもう一人の男が凄い力で首を絞めてきた。

抵抗なんてする暇もない、僕が最後に見たこの世の映像は、男の肩口から僕を見下ろして嘲笑う、小憎たらしい顔をした彼女だった。

僕は恐らく、あの後バラバラに解体されて部屋の真下に埋められた。それに気づいたのも、あの彼女の馬鹿笑いが僕の頭上から何度も聴こえてくるからだ。

僕は暗い床下を這って、這って、浴室の下まで辿りついた。たぶん激しいこの怒りのせいで、僕は成仏も出来ずにいつまでもこんな暗くて寒い場所に取り残されているのだろう。

シャワーの音に混じって彼女の鼻歌が聞こえる。ふん、呑気なもんだ、人の気も知らないで。でもよーく考えて見たら僕みたいなモテない人間が高嶺の花である彼女に手を出した事自体が、そもそもの間違いだったのかもね。

でも今となってはそんな事どうでもいい。僕は彼女に復讐して、復讐して、この世に残した未練を一つ残らず断ち切って、成仏するのだ。

浴槽の下からコンコンとノックをすると彼女の鼻歌が止まった。もう一度ノックしてみると彼女の叫び声が。

あはは、気持ちがいい。

どうせ僕を殺したあの男どものどちらかと暮らしているんだろう?そんな事は絶対に許さない。僕の買ったベッドを勝手に使うんじゃない。

そうだ、僕の復讐はこれから始まるのだ。見てろよ、こんなものじゃないぞ。

Concrete
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珍味お兄様、トイレ怪談は沢山ありますが、いざ書こうとするとなかなか難しいですね…ひ…

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