中編3
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コンビニレジ前に立つ女

 夜中に小腹が空いたので、カップ麺でも食べようと、近くのコンビニに出掛けた。

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 二車線の道路の片側の歩道を歩いていると、右手にいつものコンビニの看板が見えてくる。

それとなく、道路の反対側に目をやると、いつの間にか、新しいコンビニがオープンしていた。店舗の色やデザインから、あまり見たことのないマイナーなお店のようだ。

いつものコンビニの駐車場には、結構な台数の車が停まっているが、新しい方には一台も停まっていなかった。俺はボサボサ頭に部屋着という恰好だったから、人気のない新しい方に入ろうと、道路を渡った。

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 ─ピンポーン

よくあるチャイムが鳴り響く、自動ドアから中に入る。昔懐かしい八十年代のBGMが聞こえてくる。

白い床はこれ以上ないくらいにピカピカに磨かれている。どこにでもあるコンビニの様子だ。

店内はガランとしていた。

目的の商品がある棚を探しだし、適当なカップ麺を一つ手に持って、まっすぐレジに向かった。

一カ所しかないレジの前には、既に女性が一人、立っている。俺は、その後ろに並んだ。

四十代くらいのその女性は一月も半ばだというのに、ノースリーブの青いワンピースにナマ足にサンダルという季節外れの出で立ちで、頭にはツバの広い黒い帽子を被っている。片側に持つ買い物かごの中には、何も入ってない。

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 レジの前に立って数分経つが、店員は現れない。キョロキョロと周囲を見回すが、店員らしき人は見当たらない。

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─おいおい、どうなってるんだ?

少しイラつきながら、前の女性を見る。

女性は何のリアクションも見せずに、ただじっと

前を見ながら立っている。

……

五分が経った。

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「いい加減にしてくれよ!何時まで待たせるんだよ」

我慢出来ずとうとう俺は、声を出した。

だが、状況はさっきと全く変わらず、レジ前には、俺と女性だけが立っているだけで、他の誰も現れない。

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「いったい、どうなってるんだ?店員はいないのかよ」

少し大きな声で言うと、前の女性がいきなり振り返り、狂ったように笑い出した。

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「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

その両目は大きく見開かれ、焦点は合っておらず、血走っている。

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─な、何なんだ、この女は?

俺は恐ろしくなり、商品を元の棚に戻すと、急いで店を出た。

そして走って道路を渡り、いつもの向かい側のコンビニに入り、カップ麺を買った。

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 家に帰る前に初めのコンビニの前まで行って、

中を覗くと、レジの前には、あの女がまだ立っている。

……

店員の姿はやはりなかった。

Concrete
コメント怖い
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久し振りに
なんか女性が怖い・・・・

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@珍味 様
怖ポチ、コメントありがとうございます。
人間というのは、生の日常をそのまま受け取るのではなく、自分の脳のフィルターを通して、意味付けを行い、受け入れているようです。
普段起こってくる日常の現実は何の問題もなく、受け入れられるのですが、ごくたまに、フィルターでは処理しきれないものが現れます。それがまさに恐怖を呼び起こしているのだと思っています。

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@怖守 様
怖ポチ、コメントありがとうございます。
コンビニという、日頃みなさんが利用するところでの、恐怖というものを考えてみました。

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お...怖い
相変わらず怖い話あざっす
でもコンビニの話か
コンビニ行こうとしたけど
行けんくなった

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