中編5
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白い猫

その日は、朝から天気が良いので日向ぼっこをしようと近所の公園へ繰り出した。

コンビニでコーヒーとサンドイッチ そして、なんとなく手にとった雑誌を買いわたしは公園へと向かった。

ゲートボールを楽しんでいる人生の先輩方の楽しそうな声をBGMにいつもの場所に座った。

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1人で家に籠っているより公園に来て、なんとなくの顔なじみとなり.、いつしかたわいない会話を交わす様にもなっていた。

ベンチでコーヒーを飲みながら雑誌に目を通すわたしの視界の片隅を白い影がよぎった。

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視線を合わせるとそれは、もっさりと優雅に歩く白い猫だった。尻尾をあげて歩く様は、なにやら風格をも感じさせる。この、白猫を見たせいで私は遠い昔に出会った白猫を思い出していた。

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もう随分と昔の話になる当時私は、猫など飼ったことが無く、猫の生態はわからなかった...

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夕方帰宅した彼が、ほらっと 空の弁当箱とともに、作業着のベストの胸のあたりからつまみ出したのは白い子猫だった。

「なんで〜 どうしたの?」思わず抱きあげた私に、「昼飯ん時、寄ってきたから弁当あげたら 帰りも居たから連れてきた。」

私は子猫を抱き上げ「へぇ〜?飼ってもいいの?」「お前 好きだっきゃ?」と彼が微笑む

「親とか飼い主居ないのかな?にゃんこ飼って大丈夫なのかな?」既に家には犬がいた。

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子猫を抱いている私の腕の中を興味津津で覗き込み子猫からは猫パンチの洗礼を受けていたところである

小さいながらも子猫は、たて続けに猫パンチをお見舞いしていた。

挙句に猫キックと無言で攻撃しているが、犬の方はもともと穏やかで優しい性格なので、相手が子猫だからなおさらのことだ。

子猫を抱いた私に尻尾を振りながら飛びついてくる

「大丈夫っきゃ !ず〜といたし、逃げないし なつっこいから」

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彼はタバコを吸いながら 着替えてる

早く見せてと飛びついてくるわんこに「チャッピー 妹いる?」と先住犬の白いマルチーズに聞いた。

チャッピーは嬉しくて待ちきれない様子で、尻尾を振り回す様な感激ぶりである

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子猫はその日から 我が家の一員となった。私には初めて飼う猫である

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「にゃんこがね?」と彼に話すたびに子猫はにゃ〜と返事をするので名前を ゆきとかバニラとか考えたのだが、どうやら本人が気に入った様なので、そのまま【にゃんこ】が名前になった。

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チャッピーは尻尾にじゃれ回られて、いくつものかさぶたをこさえながらも、すっかり打ち解けて、にゃんこにしがみつかれて一緒に眠っている。

尻尾のかさぶたが痛々しいが、まんざらでも無いようで寝顔をなめたりして、自分のベットに潜り込んでくる子猫を抱え込んでいる

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時折 爪を立てて齧り付いてくるにゃんこに「きゃんっ」と悲鳴をあげながらも決して噛み付いたり怒ったりせず 尻尾を振りながらあやしている。

揺れる尻尾は 子猫の格好のおもちゃとなるのである

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にゃんこはミルクが大好きで冷蔵庫の前でおすわりしながらミルクをねだる「にゃ〜ぉう」鳴きごえをあげる

2匹にミルクをあげながら白い犬と猫を眺めてる「あなた達 仲良しね?」

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にゃんこは1人が嫌いで 引き戸のガラス扉に手をかけて、座りだちのポーズで扉を開いて部屋に入ってくる。(残念ながら閉めてはくれない)

いきなり 音もなく開いていく扉

そこには人影もなく...

ドキッとさせられる事が度々あった。

チャッピーは開けてくれと扉をノックするのだが、にゃんこは許可なく開けてくるチャッピーが鳴けば開けてやる。

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猫を飼う様になってから、キッチンの引き戸には簡易的に鍵をつけた。料理中は油やお湯を使うので危険だからである

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それでも鍵をかけて居ない時には静かに扉を開いて入ってくるので友人達は 肝を冷やすことが度々あった。

「凄い 人間みたいね?」

お手もお座りも待ても 伏せも ちゃんbとチャッピーと並んでする様になった。教えたわけでは無い

一緒におやつを貰えるからだと思う。

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友人を交えて食事をしている時も相槌を打つ様に鳴いたり頷いたりする猫だった。

けれど 全然大きくならない。

友人達は、不気味がるところもあった。

「もしかして化け猫なの?」

首をつまんで抱き上げながら聞いていた。「にぃやぅ〜」と一声「んっ!今、違うって言ったよね?ねぇっ!」と驚かれる猫だった。

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ある日の夜中 隣の部屋からもれる明かりが

ついたり消えたりを繰り返して居た。

誰もいるはずのない部屋の照明がである...

先に気がついた彼が「なんかおかしい」そう言いながらも聞き耳をたて、ベットから起き上がる「なぁに?」と私「しっ!」 と焦る彼、時刻は夜中の3時過ぎ...

2人で目配せする様にそ〜っと襖の隙間から覗いて見た。

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蛍光灯の光に照らされ影が踊る。天井から吊るされた蛍光灯が揺れて踊る。

ゆらゆらと踊る光がミントグリーンのカーペットに影を落とす。

思わず 私達は ...吹いた!!

緊張が一気に弾け飛んだ。

こんなに笑えるものなのか?っていうくらい 2人で、笑い転げた。

そこには...

テーブルの上でたち抱っこの姿勢でフリーズしているにゃんこが居た。

私達の笑い声に驚いた様子でこちらを見てるビックリまなこで...

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私達が目にしたものは、テーブルの上から何度もジャンプを繰り返し天井から吊るされた蛍光灯の照明コードを両手で挟み引っ張っては落ち

又引っ張っては落ちを繰り返している結構必死な形相の小さなにゃんこの姿だったから...

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化け猫の正体見たり

子にゃんこ抱っこ...

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その子はいつまでたっても大きくならず

ずっと子にゃんこでした。

多分4〜6ヶ月程度の大きさのまま成長が止まった様です。

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お菓子の袋に手を入れたので私が叱ると...

チャッピーがかけよって来て、にゃんこのおつむをぺちっと叩く♪又お菓子の袋に手を入れるので私がが叱ると駆け寄るチャッピー♪そしてまたにゃんこのおつむをぺちっと叩く♪

2匹はそれが楽しいらしく、ゲームの様に遊んでいるので私もつられて楽しんだ。

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子猫1匹迎えただけで随分笑えた。

いざ!!彼とのエッチをという時にお布団の中で重なる2人のお腹の間からトンネルをくぐり抜けたと言わんばかりに「にゃぁ〜ん♪」と登場する にゃんこ

彼も怒る様な人ではなく2人で 子猫を抱きしめて笑えた。

チャッピーも混ぜて〜とベットに上がってきて夜中なのに 近所迷惑顧みず笑った。

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愛しい時間が溢れた部屋は、両隣の住人の声や明かりが漏れて来る壁で上の階の音も聞こえてくる安アパートの部屋だった。

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ずっと大きくならない白い子猫

器用な仕草 で身をこなし 押入れの天袋の扉の横で監視ごっこをしていたり目が合えば必ず会話を交わ様に鳴く

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ぶりっこする様にミルクのおねだりチーズが大好きで両手でキャッチした。

二年程で居なくなってしまった猫だけれど白い猫を見るたび思い出す。

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不思議な白い小さな猫の事を...

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