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長編9
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深夜の仕事

はじめに言っておくと、この話には直接なにかが出てきたりはしない

単純に今まで起こった怪奇現象を綴っていくものなので、オチとかもとくにない

しかもけっこう長い、起こったことはそれぞれが独立してるから、俺が体験した順に書いていこうと思う

その辺をわかった上で読んでいただきたい

まず俺が働いてるのは某アミューズメント施設、ゲーセンとか、ボウリング場とかが入ってるやつ

知らない人いないんじゃないかな?

そこのボウリングのメカニックとして6年勤めてる

それだけ勤めてるとやっぱりいろんなことがある

そのなかでも怪奇現象に絞ってかいていこう

建物について説明しておこう

1階から3階はゲーセン、4階から6階がボウリング、7階がカラオケで7階建て

階段が2ヶ所、普通に館内にある綺麗な階段と、裏階段って呼ばれてる些末な階段が建物の裏側、外に面したとこにある、この階段、元々は外にむき出しだったのを防音のために無理やり壁つけたものだから、雨漏りとかかなりひどい、暗いし危ないからメカニック以外使用禁止になってる

メカニックはこの階段側に作業部屋とかあるから使えないとかなり不便だからね

で、この建物には、図面上は地下のフロアがあるらしい、1階の奥にある変電室から地下にいく階段があるらしいんだが、ここに店が入った時点でコンクリートで塞がれてたらしい

俺も見に行ったことあるけど明らかに不自然だった

急いで埋めましたって見てわかるレベルで粗末

まぁ、そんな建物だ

今までいろんなバイトのやつがいたんだけど、そんなかに霊感があるって言うのも何人かいた

そいつらが言うには、ここはけっこうヤバいらしい

3階、5階、6階、7階と例の変電室が出るって言ってた

最初に聞いたとき俺は

「うわぁ、痛いこと言ってるよぉ」

て引き気味だったんだけど

そのあと来る新人とかもみんな言うんだよ

同じこと、最初に言ってたやつとは面識なんかないやつまで

みんなが言うにはとくにヤバいのが変電室と7階なんだそうだ、確かに7階は俺もちょくちょくいくけど、何て言うか妙にじめっとしてるというか、空気が重たい感じがしてあまり好きじゃなかった

俺は主に4階から6階が作業場だったからどっちにもそんなに行くことなかったけど

5階と6階も出るっていうから、正直不気味だった

そんなある日から起こり始めた

まず最初に起きたのは

俺とパートナーの親っさんとで5階の作業部屋で仕事してるときだった

お互いオカルト話が好きで作業しながら怖い話に花咲かせてた

俺たちは夜勤だったから、もう夜中の2時くらいだったとおもう

突然部屋の扉のドアノブが触れてもいないのにカチャカチャカチャカチャ鳴り出した

俺も親っさんも固まった、しばらくドアノブ見つめて親っさんが意を決して、

「誰だよ!?」

カチャカチャカチャカチャ

「イタズラしてんじゃねぇ!!!」

バーン!

ドアを勢いよく開けて回りを見回したけど誰もいなかったか

俺「マシン動いてるし、その振動じゃないっすか?」

親っさん「誰もいないし、そうだよな」

それまでこんなこと一度もなかったがこれで納得した

でもそれからしばらくして、客が帰ったあと、マシンも完全に停止した静まり返ったフロアでまた、

カチャカチャカチャカチャ

俺たちは再び固まった

ありえない、、、

マシンは停止、地震があるわけでもない

誰かがいる扉のむこうに

親っさん「いい加減にしろやぁ!」

バーン

やはり誰もいない、、、

俺たちはこのことに触れることはその後なかった

結論なんて出るわけないからだ

いまだにこれはちょくちょくある

でももう慣れたかな

その次の出来事は裏階段だった

裏階段はメカニックしか使わないため

4階から6階いがいの扉は施錠されてる

内側からも鍵がなければあけられないようになってる

俺は6階に向かって上がってた

すると、話し声が聞こえる

カラオケの部屋が階段に面したところにもあるから。そこの声が漏れることはちょくちょくあった

でもそのときは違う

あきらかに階段側から声がする

6階から7階にいく踊り場のあたりだ

ハッキリと気配も感じる

6階から7階は基本的に使わないから、電気も切れていて真っ暗、そこからあきらかな話し声、内容は聞き取れない、声的には男だと思う

作業用に常に持ち歩いてるライトで照らしてみる

誰もいない、、、

でも気のせいかも知れないけど、一瞬影が見えた気がした、、、

その次の出来事

場所は6階、閉店後の清掃やボウリングのレーンのメンテナンスも俺たちの仕事だ

その清掃中だった

館内はいつも曲が流れてる、流行りの音楽が連続で 流れるやつだ、俺はそれを聞きながら黙々と作業を続けてた、聞いてるとふっと違和感に気づいた

曲に混じってかすかに、本当にかすかにだけど

あきらかに曲とは別の、声が混ざってる

女の声だ

曲のコーラスとかじゃない、そんなのが入る曲じゃない

俺は床を拭きながら固まった、その時だった

床を見つめる俺の周りが暗くなった

ちょうどしゃがんでる俺を誰かが見下ろしてるような感じ

ハッとして飛び退いたけど、誰もいなかった、、、

その次の出来事

場所はまたしても6階

俺は閉店後、ボウリングマシンの中に入って作業してた

ボウリングのマシンって、ボールが通過したとき反応するセンサーがあるんだけど

これが反応するとバーがおりる仕組みになってる

そんでこのセンサーが反応するときに、ピーピー音がなるんだ

俺が作業してると、突然

ピー、ピー、ガシャン

て鳴り響いた

フロアには俺しかいない

センサーはそこそこの大きさがあるものにしか反応しない、誤作動したら困るからね

だから、虫とかってことは考えられない

なにかが通ったんだ

パートナーの親っさんに

俺「さっき6階にいました?」

親っさん「いや、いねぇよ」

音「なんかセンサー反応したんすよ」

親っさん「ありえないだろ、お前の手とか当たったんじゃねぇの?」

俺「いや、俺からだいぶ離れたやつでした」

そのあと、そのマシンのセンサー周り点検したけどなにも異常はなかった

その次の日、出勤して6階行ったら驚いた

「なんか臭ぇ!」

腐臭がした

ここには機械の部品とかしかない

腐るようなものはなにもないんだ

でもあきらかに異様な臭いがいてた

どうやら、昼間の連中も気づいてたらしく、開けられるところ全部解放して換気してあった

それでも臭う

俺と親っさんで、マシンから煙とかでたときに使う、排気口に直接繋いで空気吸い出すファンがついてるダクトみたいなの使ってなんとか臭いは消えた

原因探したけどさっぱりだったよ

次の出来事

これは3階だった

3階はアーケードゲームのコーナーだ

そこにスタッフの事務所がある

そこで俺たちは休憩することになってる

休憩しながら他の部門の奴等と談笑してたときだった

支配人「ちょっと、お前らこれ見てみろよ!」

監視モニターを見てた支配人が俺たちを呼び集めた

監視カメラは各フロアに数台設置してある

支配人が見てたのは3階だ

閉店後なんでライトも最小限しかついてないかなり暗いフロアが映し出されてた

俺たちは息を飲んだ

バイトA「なんかいません?!」

支配人「2分くらい前からいきなり出てきたんだ」

それはフロアの奥、ちょうどガン◯ムの筐体が並んでるところだった

なんて表現したらいいんだろう、光というかモヤモヤというか、色も白のような黄色のような妙な色だった

俺「暗いのにこれだけ妙にハッキリと見えるし、虫かなんかがカメラにくっついたんじゃないですか?」

といった時だった

そいつはゆっくり動き出した

しばらく動いて、カメラの死角に入ったから支配人が3階のカメラをカチャカチャ切り替えた

するとそいつはエレベーター前にいた

エレベーターは事務所の目と鼻の先

A「やべぇ、こっち来てるよ!!!??」

俺「あれ、エレベーターんとこで止まってねぇか?」

そいつはエレベーターの前で動かなくなってた

そしてしばらくして、スーっとエレベーターのかに入っていった

ちなみにエレベーターは来ていない

扉を通り抜けていったんだ

俺たちはビビりながら休憩時間が終わってもなかなか事務所を出られず

支配人までびびって出られなくて

支配人「とにかく、仕事もどろう、今見たのは他の奴には言うな

怖がられて辞めるとか言い出されても困る」

俺たちは無言で頷き恐る恐る事務所を出た

支配人「お前、作業用のライト持ってるだろ?」

支配人が唐突に話しかけてきた

俺「持ってますけど、、、」

支配人「それ持って、フロアのなか調べてきてくれよ」

俺「俺がっすか!?」

支配人の無茶ずりに渋々従い、フロアを見回ったがなにもなかった

普段騒々しいところが無音だとこれまたかなり不気味だった

そのあとは、みんなそのことを忘れることにして仕事に戻った

そして、最後の出来事

それはエレベーターの中で起こった

うちの店にはエレベーターが2台ある

片方には鏡がついてて、ボタンのパネルがドアの横と左右の壁に一つずつの計3つあるタイプ

もう片方には、ドアの横のパネル以外なにもないエレベーター

事が起こったのは鏡のあるほう

俺と親っさんで大きい機材を運ぶのに5階からエレベーターに乗り込んだ

荷物も運び入れ、6階のボタンを押した

ピッ

ボタンを押すとこんな音がなるタイプだったんだが

少し動いたところで

ピッ

7階のボタンが押された

俺「親っさん、押しちゃってますよ」

親っさんはちょうど壁についてるパネルのとこに寄りかかるような感じで立ってたんで誤って押してしまったようだ

親っさん「お、わりぃわりぃ」

しかしおかしかった

6階と7階が押されているのに、6階で止まらないんだ

俺&親っさん「あれ、、、?」

7階についた

一応回りを見渡す

誰もいない

二人とも怖くなり、無言のまま6階を押し直し、閉まるボタンを連打

ドアが閉まった瞬間だった

ピッ

再び7階のボタンが押され、扉が開いた

二人でパニック状態

とにかく閉まるを連打した

ドアが閉まったとき、今度はボタンは押されなかった

その代わりに

ブオォォオオン

みたいな意味のわからない音が響いた

エレベーターはそのまま動き出し6階に到着

荷物担いで二人で飛び出した

あのとき、エレベーターの中には俺たち以外の誰かがいたんだ

そうでなきゃ、おかしい

たしか、結構有名な怪談でこんなのがあったのを思い出した

あれって実際体験すると、信じられないほどに恐い

だってエレベーターの狭い密室のなかに、得たいの知れないものがいるって認識してしまったんだから

親っさんと二人、しばらく呆然として、お互い、なにも言わずに仕事に戻った

なにも言えなかった、オカルト大好きな俺たちですら、あの恐怖は耐えがたいものだった

その何日か後のことだ

親っさんが急性胃腸炎で仕事にこれなくなってしまった

あんなことがあった直後だったから、俺は因縁を感じずにはいられなかった

1週間ほどして親っさんが復活

また俺と組んで仕事して、何日か過ぎたとき

今度はギックリ腰をやっちまった

また1週間ほど休む

今度こそ完全復活!

と意気込んでいた親っさん

今度はお袋さんが病で倒れたという連絡がきた

実家は青森、両親とももう結構な年齢ということもあり、ここを辞めて実家に帰るという

俺「向こうで仕事あるんですか」

親っさん「昔つるんでたやつの伝で、入れてもらえることんなった」

聞くとどうやら、青森のヤクザらしい

しかもコネで若頭の兄弟分として入るからかなりの厚遇らしい

今後介護でも金がかかるしちょうどいいといって

意気揚々と青森に帰っていった

俺と親っさんはプライベートでも仲が良く、青森に行ってからも頻繁に連絡を取り合ってた

それが最近全くなくなってしまった

ここ最近のこともあって凄く心配だ

しかも、親っさんとの最後の会話がずっと引っ掛かってる

親っさん「俺は本当にヤクザになっちまったんだなぁ こんなこともあんだなぁ

どこで間違えちまったのかなぁ

今までいろいろ話せて楽しかった

じゃあな」

それが親っさんの最後の言葉だった

俺は神奈川だし、青森に知り合いもいないから、その後どうなったのかは全くわからない

なにもなければいいんだけど

これが。俺の働いてるところで起きたことの全部

書いてて、明日から仕事行くのが凄く不安になってきたよ

この建物についても少し調べた

うちが入る前は、古い家具屋だったそうだ

それより前の情報はない

あの変電室のコンクリートの壁だけど、取り壊そうとしたこともあるそうだが、粗末な割りにどうやらかなり分厚いらしく、狭くて重機もはいれないからかやるならかなりの時間と金がかかるってんで断念したらしい

ここ最近は目立った怪奇現象はおきてない

でもまたいつ起こるかわからない

夜中の仕事ってのは、いろいろあるもんだ

Concrete
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