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長編16
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玄関にいたのは誰?

今は無き両親が健在していた実家での話です。

私が中学生の時の話になります。

私の家族は父、母、姉、私、妹の5人家族でした。

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 7月の蒸し暑いある日曜日。土曜日の夜更かしのために朝11時ごろに目が覚めた。外は蝉の大合唱。

居間の中は蒸し暑くクーラーの無かった時代、扇風機をフル回転させて眠気が取れずにTVを見ながらボッーと一人留守番をしていました。

 ふと玄関あたりで戸を叩く音が・・・空耳だろうと思い扇風機の風を体中に当てていました。

トントン、トントン、とやはり玄関の方から戸を叩く音が確かに聞こえました。

 私は家族の誰かが帰ってきたのかと思い慌てて玄関のカギを開けに走り出しました。カギを開けて玄関の戸をガラガラと開けて周りを見回したのですが誰もいないのです。確かに玄関の戸を叩く音がしたのにおかしいなと思いもう1度周りを見回しました。玄関の戸から表の門まで少し歩かなければいけません。戸を開ける直前まで戸を叩いていたのですから走ったとしても必ず人影は見えるはずです。・・・・

はっ!人影?・・・・・

よく考えてみると人影は映って無かったです。

おかしいです、玄関の戸はすりガラスで中から外の様子がわかるようになっています。

確かに叩いてて確かにガタガタと動いていました。

でも人影が・・・・無かったのです。

え!・・・・そんなはずはない・・・と戸を閉めてカギをかけました。

幻聴?・・・いや・・・

私は居間にいました。TVを見ていても玄関の叩く音は確かに聞こえていました。

TVの音?いや見ていた時にはそんなシーンではなかったです。

頭を振り振りしながら居間に戻りました。

疲れていたのかな?と思い・・・TVを消して横になりました。

そうこうしているうちに眠ってしまったようです。

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 時間はどの位過ぎたのか・・・

 母が私を揺さぶって起こしてくれました。いつのまにやら家族全員が帰ってきていました。

父は相変わらず無口でお酒を飲んでる最中でした。

母は私を起こしてすぐに台所へ行き夕食の準備をしていました。

姉は妹とべちゃくちゃおしゃべり。

学校の様子を話していました。

私は眠い目をこすりながら居間を見回しました。TVが見たくなりスイッチを入れると日曜日の夕方6:30からはいつものごとく「サザエさん」を見るのが習慣でした。

ちょうどオープニングがおわりCMへ移ってる所でした。

私は昼間の出来事を母に尋ねました。

昼間に誰かが帰ったきたかどうか尋ねたのです。

父母はその時間帯はそれぞれ自分の用事をしていて帰ってきていないと言うことです。

姉は友達の家で遊んでいたの事

妹はお友達と公園で遊んでいたのと事

え!じゃ誰なんだ?玄関の戸をガタガタと叩いたのは?

母「疲れていてねぼけてたんじゃないの?」

母が料理をちゃぶ台へ運んできました。

私「いやTVを見てて確かに玄関の戸を叩く音がしたから慌てて玄関まで行ったんだよ。でもカギを開け戸を開けたら誰もいなかった」

真顔で話した。

母「誰もいなかったの?でも人がいないのに何で戸がガタガタと動いて音がしたのかしらね」

と私の顔をジロジロと疑いの目で見ていました。

私「母ちゃん、そんな目で見るなよな」

母「だっておかしいでしょ?誰もいないのに戸を叩く音がするなんで・・・」と

不思議そうな顔をしてまた台所へ戻って夕食の準備の続きをはじめてしまいました。

すると

父が突然言い放ったのです。

父「サトル、おまえ、昨日、徹夜でTVを見てたろ!疲れてんだよ!」と叫んだのです

私「確かに夜遅くまでTVを見てたよ」と言い返しました。

確かに昨日の夜は深夜番組を見てました。寝たのが朝の4時前後だと思います。

起きたのがもう11時ごろ、先にも書いた通り居間の中は蒸し暑く扇風機をフル回転させてTVを見つつカップラーメンを食べていました。

その時にあの戸を叩く音がしたのです。

そのことを家族の前で話しました。

姉と妹が唖然としてました。

妹が「兄ちゃん、疲れてんだよ」と笑いながら言ってきたので私は「うるせぇー」と言い返しました。

妹は「兄ちゃん、怒った、やはり疲れてたんだよ」と

姉も首を前後に振りながら「サキちゃんの言うとおり、サトシ、お前疲れてんだよ、深夜番組って例のハレンチ番組だろ」と姉は恥ずかしい奴だ、という顔をして妹と笑っていました。

母が「さっさと夕食食べておくれ」と少し怒り気味でした。

父はだんまりと箸でおかずをつっついていました。

母は父に「どうかしらおいしい?」と父に話しかけましたが父は聞いているのか聞いていないのか黙々と食べていました。

母は「お父さん、おいしいの?まずいの?」とまた話しかけましたが父はダンマリのまま食事をしていました。

父の性格は普段から口数が少なく話をするときは本当にタマにでしたね

そういう父を見て母は「お父さん、少しはしゃべらないとボケるわよ」と皮肉たっぶりに言うのが癖でしたね。

たしかに晩年父はボケましたけれどね

母も疲れから寝たきりが多くなりましたし・・・

食事も終わり・・・なぜかすごい眠気が襲ってきたのです。

自分の部屋へ急いで戻り布団の中へ潜り込んでそのまま寝てしまったようです。

どの位の時間がたったのでしょうか・・・

居間あたりから家族の話声がしてきました。

ガチャガチャとお皿や茶わんの音がしていました。

あぁ・・・母ちゃん・・・皿洗いをしてるんだな、と・・・・

すると突然、大きな声で母が「サトシ、いつまで寝てるの?夕食の時間だよ」と大きな声で私を呼んだのです。

・・・・・

えぇ?夕食の時間・・・今さっき食べたばかりだぞ・・・・

そうこうしているうちに妹が部屋に来て「兄ちゃん、母ちゃんが早く来いと言ってるよ」と話しかけてきたので「はぁ?夕食なら今さっき食べたよ」と妹に言ったのです。

妹は はぁ? という顔をしたので「だからさっき食べたよ」と

妹は「兄ちゃん、頭ダイジョウブ? 寝ぼけてる?」と

私は「そっちこそ、今さっき食べてたじゃん」と言い返しましたが

妹はさらに「兄ちゃん、ずーーと部屋にいたじゃん」

私は「いや、さっき食べて眠くなったから寝てたんだよ」と言うと

妹は「はぁ?私は食べてないよ、今母ちゃんが夕食の準備してるし兄ちゃんまさか一人で食べたの?」と

私は「へ?夕食の準備してる?」と妹は「そうだよ、母ちゃんが準備してるよ、今」

・・・・・

はぁ・・・今さっき食べたぞ俺・・・・

今日はどうなってるんだ・・・・

今何時だ?へええ?机の上に置いてある時計を見た。夕方6:30分前・・・・

俺は夢でも見てたのか・・・・

たしかに食べたはず・・・・

お腹は空いていない・・・・

どういうことだ?

とりあえず俺は居間に行った

相変わらず父はダンマリ

母は料理の真っ最中

姉と妹はおしゃべり

・・・・・

はぁ?これって夢?の中で見たのと一緒だぞ・・・

家族の行動がイチイチわかる・・・・

食事も終わり・・・

家族の前で昼間の出来事を話そうとした途端に・・・

なぜか母や父や姉妹はさっさと自分の部屋へ戻っていった・・・

はぁ・・・だれも話を聞いてくれない・・・

普段母は必ず食事が終わったらすぐに片づけをする人でしたが

でもその日はさっさと父と一緒に寝室へ行った・・・

父は食事が終わったらTVを見るのが習慣なのに・・・

姉は妹となにやらヒソヒソ声で話してた。

妹は居間から出るときに「兄ちゃん、早く寝なよ、明日学校だよ」と怪訝そうな顔しながら出て行った。

今日はどうなってるんだよ・・自分で言い聞かせていましたね

昼間の出来事といい、夢?の中での出来事が正夢?になったし・・・

俺ってやっぱ疲れてんだな、と

夜も22時ごろになりTVの番組もつまらないものばかりでもうそろそろ寝ようとしたときに

母が居間に来たのです

母が「サトル、今さっきの話、昼間の出来事って・・本当なの」と尋ねてきました。

私は「そうだよ、その話をしようとしたら母ちゃんたちさっさと居間から出て行ったんじゃん」と

母に言いました。

母は「たしかにね・・・でもね・・・私は普段から後片付けをしてから他のことするのが習慣なのに今日に限ってなぜか父ちゃんと一緒に寝室へ行かないといけないという気持ちになったんだよ、サトシ」と母も不思議そうな顔で私に話しかけてきました。

私は「たしかに母ちゃんは後片付けをして他のことをするのが癖だもんな、ましてや今日は父ちゃんと手をつないでうれしそうな顔をして父ちゃんと一緒に寝室へ行くのを見て驚いたよ」と母に言いました。

母は「私もまさか父ちゃんの手をつなぐとは自分自身驚いているのよ。普段、父ちゃんは手をつなごうとすると「恥ずかしいから」と言って手をつなぐのを嫌がるのに今日に限って「母ちゃんと手をつなぐのは何年ぶりだろう」と父ちゃんが言ったのよ、私それを聞いてうれしくなり笑顔になったの」と私に真顔で言ってきたのでした。

ああーあの時の笑顔はそういうことだったのか、と

でも母はさらに「それでね、寝室へ行ったら父ちゃん突然・・・」母は少し照れたように「父ちゃんが・・・私を・・・そのぉ・・・ほっぺにチューしてくれた」と恥ずかしい声で話しかけてきたので「おおお母ちゃんたち若いね」と驚いたような感じで母に言ったのです。

でも・・・母は少し照れた後に・・・真顔で「いつもの父ちゃんじゃない気がしたの・・・その父ちゃんの匂いというか・・・ほら父ちゃんは工場勤めで汗臭いでしょ・・・油の匂いとかして・・・お風呂入ったあとも臭いのよ・・・でも今日の父ちゃんの汗臭い匂いがしなかった・・・むしろ・・・なにか・・線香のような・・・」と首をかしげながら私に言ったのです。

私の家は神棚や仏壇はないから線香など焚かないしましてや線香の匂いなど部屋にはいっさい匂わないはず

母の話を聞いた後にゾクッときましたね

なんだろ・・・この寒気は・・・あの時は7月で夜も蒸し暑かったし・・・

母と少し雑談をしていた時に

姉と妹が居間に慌てて入ってきた。

姉と妹は同じ部屋で寝てる。

姉が「今さっき、母ちゃんが寝室を出て行った後にお父ちゃんも出ていったような気がしたんだけど

お父ちゃんいないよね?」と母に尋ねました。

母は「え?お父ちゃんは寝てたはずだけど・・・」と言うと

姉は「ええ?でもお母ちゃんが出て行ったあとにお父ちゃんの声がして襖をあけて出ていく足音がしたよ」と

妹も姉と同様に足音を聞いていたようです。

母と私は顔を見合わせて・・・お互いに驚きました。

もし父が出て行ったのなら必ず居間に来るはずです。

そうあのサザエさんのような家と似たような作りでしたから

でも父は居間には来ていません。

現に父は居間にいませんでしたし・・・台所もすぐ隣だし必ず居間からじゃないと台所へは行けれません。

おかしい・・・・

4人で母の寝室へ向かいました。・・・・・いないのです・・・父はいません・・・

ええ?いないよね、と4人で確かめました。

確認のために玄関へも行きました。カギはかかったままです。

おかしい・・・父はどこへ行った?

と・・・・突然・・・玄関の戸がガタガタと震えだし戸を叩く音がしたのです。

姉も妹も母も私も ビクッと体が反応してしまいました。

びっくりして玄関を見たのです・・・・

玄関の外に影が映っています・・・えぇーーーと4人同時に声をあげて驚きました。

その影は・・・・父の影です・・・・

いやちょいまち・・・・カギはかかったまんまなはず・・・いつの間に父は外に出たんだよ、と

4人はびっくりしてお互いの顔を見合わせました。

戸を叩く音がさらに大きくなり外から「おーーいーーー母ちゃんーーー今帰ったぞーーーそこにいるんだろ?」と父の声がしたのです。酔っぱらっている声でしたが確かに父の声でした。

「きゃあぁーーー」と妹が叫んだのです。一同仰天です。

カギがかかっているのになぜ外に父がいるんだ、とみんなそう思ったのです。

また外から声がしました「おぃーーーいつまで、待たせるんだ」と怒りの声がしました。

4人とも恐怖で体が硬直したままです。

とその時に父母の寝室から父らしき声がしてきました・・・・

寝室から「かあちゃん、どこ行った?」と聞こえてきたのです・・・・

姉が恐怖のあまり泣き出しました。

妹は体をガタガタと震えて床に座り込んでしまいました。

母は呆然となり

私は硬直して体が動かなくなりました。

寝室から歩いてくる足音が聞こえてきたのです・・・この歩き方は確かに父の歩き方でした。

父らしき足音が居間あたりに来ると足音が止まり

また「かあちゃんどこいった?」と居間から聞こえてきました。

その足音が居間のあたりまできこえていたので間違いありません。

姉は気絶して倒れてしまいました。

妹は床に座ったままで泣いていました。

そしてまた足音がしてきました、確実に玄関の方へ向かってくる足音でした。

居間から出て廊下に出たような気がしたので私は恐る恐る居間の方向へ顔を向けたのです・・・

暗くて何も見えません・・・居間の明かりは轟轟とあかりがついています・・

渡り廊下も電灯をつけたままです・・・そんなに長い渡り廊下ではないですから必ず人影は見えるはずです。

見えないのです・・・・足音もいつのまにやら聞こえてきません・・・・

私は目を凝らして居間の方向へ向けました・・・見えないのです・・・

するとまた玄関の外から「いるんだろ、父ちゃんだ、あけてくれ」と怒鳴っていました。

もうパニックです・・・

もう私は覚悟を決めて・・・玄関のカギをあけたのです・・・・

いないんです・・・・

そんなはずは・・・・私は目が点になってしまいました。

姉が気絶から目が覚めたのか周りをキョロキョロしていましたね。

妹も少し落ち着いたのか私を見てました。

母はもうパニックです

口をモグモグと何を言っているのが分からない言葉を発していました。

一体どういうことなんだよ?

父がいない?

じゃあ今さっきの声は誰なんだ?

確かに父の声だった

玄関の外からと居間から聞こえた声は同じ声、父の声。

母はなんかずーーと玄関を見つめていて何やらひとりごとを話してる

聞き取れない・・・

私が母を揺さぶって・・・母も我に返ったようで・・キョロキョロとしてる

母が「外に父ちゃんがいた」と言ったのです。

妹と姉と私は「うそぉーーー見えなかったよ」というと母は確かに父ちゃんだったと言い張るばかり

一同・・・もうなにかなにやらさっぱり・・・

私はふと玄関のところにある柱時計の時間を見た・・午前2:15分・・・・

え?1時間あまりも玄関にいたのか・・・

居間から出たのは確か午前12:50分あたりなはずだった

ようやく4人とも少し落ち着いてきた

考えをまとめようとしたけど無理だった

4人とも確かに父の声を聴いた。幻聴じゃない

母は玄関の外に父が立っていた、と言う

だけど私や姉や妹は見ていない。

考えをまとめ終えようとしたときに突然電話のベルが鳴った

一同びっくり仰天

母が咄嗟に電話に出た

警察からの電話だった・・・

母は相手と何やら話してた。

母の顔が段々と蒼白になっていくのがわかった

母が受話器を下ろすと・・・突然泣き出した・・・・

姉が母に電話は誰から?と尋ねても泣いてるばかりだった

妹も母に抱きついて泣いた。

母は少し落ち着いて泣くのをやめてから

「父ちゃん、夕方に居酒屋で酒を飲んで酔っぱらって家に帰る途中にドブに落ちたんだと。

通りかかった人が119番してくれて救急車で運ばれたんだって

もう泥酔でお医者さんが名前を聞いても何を話しているのか聞き取れなくて

結局警察官を呼んで同じことを尋ねても何を話しているかさっぱりだったらしいのよ

それで一応緊急措置として入院させたの事

酔いがさめたので名前と電話番号を聞いてやっと今さっき電話が出来た、と言ってたのよ」と

・・・・・

んんんん

ええええーーーー

入院って・・・

夕食を食べてたのはいったい誰なんだ?

寝室と外から聞こえたのは誰なんだよ?

4人とも震えが止まりませんでしたね

居間に戻っても一睡もできなかったんですよ

外が段々と明るくなっていくうちになんとか落ち着きを戻しましたけれどね

念のために寝室を確認しましたよ

もちろん父はいませんでした。

午前8時ごろにはなんとか落ち着いて母ちゃんはとりあえず病院へ行ったようです

私たちは学校へ行きましたよ。

夕方になり家へ帰ると父と母がおしゃべりしてましたね。

母が私を見ると「おかえり」とあいさつしてくれました

父は・・・やっぱりダンマリ

そうこうしているちに姉と妹も帰ってきました。

姉と妹は父を見て疑いの目を向けていましたね。

姉が父に「本当にお父ちゃんなの?」と父に話しかけましたけれど

父はダンマリ

妹も父に「お姉ちゃんが尋ねてるんだから答えてよ、父ちゃん」と言うと

しぶしぶ話をし始めましたよ

父は「昨日のことは本当に迷惑をかけた、すまん」の一言

さらに父は「母ちゃんから昨日の出来事を聞いたよ、俺も話を聞いてびっくりしてる

というのも俺が夢で見たのと同じだったからだよ。たしかに夕食を食べてた夢も見たし

母ちゃんと手をつないだ夢も見た。ましてや居間から母ちゃんを呼んだしなぜか玄関の外からも母ちゃんを呼んだ夢を見たんだよ」と父はボツリボツリと話しをした。

姉と私と妹は話を聞いてびっくり

昨日の出来事とすべて一致してたからだ。

さらに母ちゃんと寝室で何やらしてたのも夢で見てた、と父は話した。

それで私は昼間に玄関を叩く夢を見たのか?と尋ねた・・・

父はそのような夢は見てないとのこと

!?どういうことだ?

じゃああれは俺の夢の中だったということか・・・・

リアルすぎる夢だった

やはり夢だったのかな?と疑問に思いつつ平凡に生活をした

月日がたち両親も亡くなり・・・姉や妹は結婚してそれぞれ嫁ぎ先へ行った。

私はこの家を出ることなく今でも暮らしている。独身だけどね。

お盆の時に姉の家族や妹の家族が集まり

両親の墓参りと夜には思い出話をするのが楽しみだった

子供たちは昼間遊び疲れてすぐに寝てしまうのも毎年のことだった

姉と妹の旦那衆は勝手に酒を飲みだしつまみをたらふく食べて酔っぱらって

私たち姉弟妹たちの昔の思い出話を聞いていたね。

はじめて旦那衆がこの昔の思い出話を聞いててはじめは嘘だろ、という目で聞いてたな

だけど話をどんどんすすめていくうちに旦那衆も真剣に聞いてた

夜も更けて午前2時ごろになったときに話も終わってそろそろ寝ようかというときに

玄関の方でガチャガチャときこえてきた・・・

旦那衆もきこえたみたいで・・・目が点になってた・・・

姉と私と妹は・・もう慣れていた

父と母が帰っていくところだ・・・

孫の顔も見てさぞかし嬉しい一日だったと思う

旦那衆は何か起こったのか理解できてないみたいだ

私が旦那衆に「父と母が帰るところです」というとさらに目が点になってた。

妹の旦那が「え?義理父と義理母がいたんですか?」と

私が「はい、いましたよ、居間で母と父がおしゃべりしてましたよ」と言うと

旦那衆はもうびっくり

姉と妹はクスクスと笑っていましたね

旦那衆に子供たちが目が覚めたら子供たちに聞いてください

「おじいちゃんとおばあちゃんが家にいて遊んでくれたよね?」とね

かならずこう答えると思います

「「うん、じいちゃんとばあちゃん、仲良くお話ししてたよ、おばあちゃんからオヤツもらったよ」といいますよ。」

旦那衆はびっくり仰天していましたね

朝になり旦那衆は子供たちから聞いてさらにびっくりしてたな

もう今は昔、甥っ子や姪っ子はもう大人になりこの家へ来なくなりました。

あの賑やかな生活はもうないです。

ただ、毎年お盆の日だけは母と父が楽しそうに家に帰ってきてくれました。

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長い文章になりきちんと整理しないまま書きましたので色々とおかしな点があると思いますが

私の、いや、家族のいい思い出話です。

不思議な話だと思います

今でもあれは現実に起こったのか夢なのか・・・・年を取るにつれ段々と記憶が薄れてきます。

昭和40年代の貧乏だったけれど満足した日々を暮らしていました。

無口な父、工場勤めで汗と油の匂いがしてましたね

私はそういう父を見て「汚ったねぇおやじだな」と常々思っていました

ですが・・・私も仕事をするようになり・・・年老いた父を見るにつれ「やつれたな」と

たまに父の手を見せてもらいこの手が私たち家族を養ってくれたありがたい手なんだと。

今は絶対に「汚ったねぇおやじだな」とは絶対に言えません思いもしません。

その父、母もこの世を去り・・・母は父が死んだ1か月後に原因不明の死因であの世へ逝ってしまいました。

恐らく父が母を呼び寄せたのだろうと思っています。

母はおしゃべりの方でしたね。でも子供心になんで父と結婚したんだろうと思っていました。

全然性格が違うからです。不意に母に「なんで母ちゃんは父ちゃんと結婚したの?」と聞いたらしいです。姉も傍にいて姉も気になっていたようです。

そしたら母は顔を赤らめて「恥ずかしいから」と話をしてくれなかったですね。

もう2度とあの楽しい日々は帰ってこないんだな、と・・・・・

本当に家族ってありがたい物なんだなと今はつくづく思います。

昭和が終わり平成の今の時代、核家族が当たり前になり「家族」という最小単位の社会が壊れてしまいましたね

そして・・・・あの日の出来事・・・・

夢なのかリアルな出来事だったのか・・・・・

今はもう確かめようがありません。

しかし、お盆の日には父母が家へ帰ってきてくれます。

お盆の朝に玄関の戸をガタガタとそして鍵を開ける音がするからです。

そして、2人の足音がするのです。そして、話声が聞こえたような・・・幻聴ですかね?

でも居間にいると父の汗と油の匂いがどこからともなく匂ってきます。

そして、台所から料理をする音が聞こえるのです・・・

そうあの中学校時代の楽しかった場面がお盆の日に体験できるのです。

そしてお盆を過ぎ16日の午前2時ごろには両親は玄関の戸を開けて

「サトシ、姉ちゃんや妹を頼んだぞ」と元気だったころの父の声が聞こえたような気がしました。

「サトシ、ちゃんと夏休みの宿題全部やってからお友達のところへ行きなさい」と母の声

かあちゃん・・・もう俺は社会人・・・いや・・・もう60代だよ・・・夏休みの宿題は無いんだよ・・と

そう聞こえてきたような気がしました・・・・幻聴なのかな・・・・

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