もうあれから4年が経ったのか・・・
思い出すとゾッとする・・・・
今も理解できない・・・
あれは今から4年前・・大学受験も終わりなんとか志望の大学へ入れた
俺はたまに中古の書籍を買うのを趣味にしてた
今どき本を買うの?と笑われるけれど・・・
古い本は・・・何気なく人に読ませようとする魅力がある(自説だけど)
朝早く例の如し中古本を探しにいつもの本屋へ出かけた
本通りから離れているせいかお客がほとんどいない
色々な中古本が揃っている
値段もそこそこ
金が無いから非常にありがたい
さて、どれにしようかと店の奥へどんどん入っていった
ん?何かしら興味深い題名を見つけた
「2230年からの贈り物」というSF小説みたいな題名の本を見つけた
あらすじもどうやらSFみたいな感じ
少し立ち読みをした
まぁいたって普通のSF小説みたいだ
値段はと・・・はて?値段のシールが貼っていない
貼り忘れたのかな?と思い表の表紙や裏面も見た
値段のシールが貼っていない
え?何で値段のシールが貼ってないんだ?
考えていても仕方ないのでレジへその本を持っていった
すると店主も首を傾げた
こんな本いつ入荷したんだろうと言った
パソコンで入荷情報を調べてもらった
だが
情報が出てこないという
「お客がわざと置いていったのかな?」と店主は言った
「まぁいいや、お客さん、無料であげるよ」と無料でこの本を手に入れた
これが・・・超最悪の日々の始まりとなるとはつゆしらず
大喜びでさっそうとアパートへ帰って本を読もうとページを開けたらCDが転がり落ちた
「え!?CDがおまけなのか、なんかすごい得した気分だぞ」と内心思った
ページ数もそんなに多くないので一気に読み終えようとしたけれど途中で飽きたのとCDが気になったので
パソコンのDVDレコーダーにCDを入れてみた
音がしない
一応ソフト側は認識して再生はしてる
だが、肝心の音が出ていない
壊れたのかな?と思いほかの音楽CDをいれてみた
音は出た
はてさて、このCDは音楽CDじゃないのかな?
普通のデータCDなのかなと思いフォルダをクリックして中身を確かめてみた
テキスト文書らしきものが入っていた
テキスト文書をクリックしてみた
はて?何の言語で書かれてるんだ?
日本語ではない文書だ
英語でもない
文字化け?しているのかと思い
いろいろと設定を変えてみた
全然変化なし
「なんだこりゃ」と思わず大きな声を出してしまった
ただ、最後の方に「2230」と書いてあった
この本の題名と同じなのかな?
このSF小説?みたいな本を最後まで読んだ
はっきりと言って面白くない
なんか素人が書いたみたいな感じ
内容は単に主人公がタイムマシンで過去へ行き色々な事件を目撃してそれをレポートするという
いかにもという内容だった
つまりは日記風だな
あちゃーーつまらんものをもらった
でも1点気になる文章が書いてあった
最後の最終章で主人公が音楽を聴いていて発狂して元の時代へ戻れなくなった、と言う文章が書かれてあった
なんというオチだ
こんな本、はっきりといって値段なんかつけられない
誰だよ、こんなゴミ本を置いていったのは・・・
拾ちまったじゃねーかよ
もう1度ゴミ本のおまけのCDを再生してみた
やはり音は出ない
でも再生はしてるし音が出てるというサインはある。もう?????マークが5つ
でも実際耳からは音は聞こえてこない
夕方からバイトがあるのでバイトの準備をして出かけた
バイトから帰ってきて飯を食い風呂に入り少しTVを見ていた
もうそろそろ寝ようと思いPCを見るとなぜかDVDレコーダーのLEDがチカチカとしていた
え?PCは立ち上げてないぞ、なんでLEDがチカチカと光ってるんだ
ついにDVDレコーダーが壊れたか、と思い
PCの電源を入れた
普通に起動して画面が出た
画面を見て驚いた
DVDレコーダーのアイコンが勝手にショートカットされて表示されていた
え?いつのまに?
コンピュータウィルスなのか?
恐る恐るアイコンをクリックした
普通にフォルダが開いた
中身は例の文字化け?文書ファイルが一つだけ
ほっとした
試しに再生ソフトをたちあげて再生してみた
ええええええええええ
音が聞こえた・・・・
テクノっぽいサウンド
初めて聞く曲調だ
安物のヘッドフォンを使っているのだが
なんか高級ヘッドフォン(買ったことはないけどね)みたいな音の広がりと音が弾んで聞こえてきた
しばらく聞いているとなぜか踊りたくなるような気分になった
というか
いつのまにか踊ってた・・・・
別にダンスなど興味はないし踊ったことはない
でも体が勝手に動いてる
それもなんか自分の体ではない気分になった
まるでプロのダンサーみたいな気分
体が柔軟に踊ってる
有りえない、普段運動はしていないし運動不足だ
こんなに体が柔らかく動けるはずはない
これはなんだ?
と思った瞬間に再生がSTOPした
え?どういうこと?再生のボタンなどクリックしてないぞ
すると再生ソフトが勝手に閉じた
ますます訳が分からない
新手のコンピューターウィルスに感染したのだと思った
しばらく考えていると節々に痛みが出てきた
あかん、完全に筋肉痛になった
うそだろ・・・
体中が痛い
明日もバイトがあるのでそのまま寝た
起きてみても体中が痛い
起きれそうもない
まぁバイトは夕方なのでそのまま布団の中にいようと思い
そのまま寝てしまったらしい
昼頃になぜか目が覚めた
え?体の痛みが治まっている
うそだろ・・・
あれだけ痛かったのに今は全然痛くない
むしろ恍惚感がある
朝飯と昼飯兼用でカップラーメンを食べた
TVを見た
いつもの番組
午後も4時頃を回ったのでそろそろバイトの準備をしようと思い
何気にPCを見た
電源が入ったまま
電源を切らずに寝たのかとおもいモニターのスイッチを入れた
ちょいまち・・・なんでモニターは消えているんだ?
モニターを消した覚えはない
とりあえずPCが立ち上がって画面を見た
え?なぜか動画のファイルがシュートカットされて表示されている
おそるおそるクリック
目の前が暗くなった
えええええ
なんか高層ビルがたくさん映ってる
今どきのビルではない
未来感のあるビル
車が宙に飛んでる
人々の服装も今とは全然違う
SF映画なのかとおもい
動画ファイルの情報を見た
え?動画形式が見たことがない形式だ
それも作成日時が「2230年11月23日」となってる
えええ?
なにこれ
しばらく映像を見てた
ああ・・・ヘッドフォンしないと・・・
え?これって昨日のテクノ調の音楽じゃん
映像とシンクロしてなぜかその映像の中に入ってる感じ
その映像が目の前に広がった
そう自分の部屋じゃない
未来都市のビル群の中にいる
人々の声
空飛ぶ車の音
風がたまにほおを伝わっていく
ええ?これってVRなのか?
専用の眼鏡なしで見れる最新のVRなのかとおもった
でも違う
完全に映像の中にいる
360度完全に見渡せる
空気もなぜかうまい
青く澄んだ青空
21世紀の空気じゃない
そう感じた
しばらく歩いていると
ロボットらしき物体が近づいてきて
するとロボットの画面にいろいろと情報らしき文字や絵や動画が映った
なにかスキャンされている感じだ
それも見たことない文字
え?この文字ってあのテキスト文書の文字と同じだ
しばらくすると画面が真っ赤になり警報が鳴った
ロボットがしゃべりだした
「・・基本情報に登録されていません。市民権のない者は早急にこの都市から離れてください。法律により市民権のない者は強制労働の刑罰になります。猶予時間は1時間です。1時間以内に出て行かない場合は射殺もしくは逮捕されます。・・・・」
わぁーーー
市民権って何だ?
強制労働?射殺?
ここは一体どこだ?
話す言葉は確かに日本語
でも文字は日本語じゃない
ますます訳が分からん
んで、どこへ行けばこの都市から出られるんだよ
とりあえず俺は走り出した
東西南北の方向もわからない・・・
というか太陽はどこだよ?
こんなに明るいのに太陽が見当たらない
とりあえずビル群を背にして走った
しばらく走ると
壁が現れた・・・壁?
へ?
ここって・・・コロニー?
後ろを振り返った・・・・
唖然とした・・・・
ビル群が中央にそびえたちそのまわりが球体のガラス状になってる
まるで昔見たアニメのガンダムのコロニーそっくり
いやコロニーだ
すごい・・・最新の仮想現実なんだろうか?
眼鏡なしでまるでリアルすぎる
触るものが実体として伝わってくる
なんだこりゃ
しばらく考え込んだ・・・
このVRシステムからどうしたら出られるんだ?
するとサイレンらしき音が近づいてきた
見るとパトカーらしき車が近づいてくる
「うわぁーー」
と叫び声を出してしまった
ええ?銃を向けてるぞ
するとレーザーらしきものが自分にむかってきた
太ももに命中
意識を失った・・・
気が付くと自分の部屋
しばらくキョトンとしていた
ふと太ももを見ると穴があいて血がどんどん出ていた
あぎゃーーーー
119番だぁーーー
スマホを手に持ち119番通報
ティッシュで穴を塞いだ
ダメ、全然ダメ・・血がどんどん出ている
10分ほどで救急車のサイレンが聞こえてきた
救急隊員が扉を開けて入ってきた
「大丈夫ですか?○○さんですよね?」と聞いてきた
「はい、そうです」
「どうされました?」
「太ももになぜか穴が開いていたんですよ、そこから血が止まらずにどんどん出てたんで119番通報しました」と答えた
救急隊員は太ももを見た
びっくりした顔になった
「え?この穴はどうしたんですか?」
「わからんです、気づいたらこうなっていました」
「わからないんですか?この穴、なにか鋭い刃物のようなもので刺さないとこんな風にはならないんです」
「わからんです」
救急隊員は消毒液を吹きかけ厚めのガーゼを何枚も重ねて穴を塞いた
「痛みはあるんですか?」と聞かれた
は・・・痛みがない
「痛みは無いんです」
救急隊員はびっくりした顔で
「え?これだけの穴があいてて痛くないんですか?」とさらに聞いてきた
「痛くないんですよ」
出血がひどいので担架に乗せてもらい病院へ向かった
なんとか出血も収まったような感じになりそのまま手術室へ
麻酔を打たれ傷口を貼り合わせて縫合して手術は無事成功
そのまま入院となった
手術を担当した医者が様子を見に来た
担当医は私にいろいろと質問してきた
「この穴はどう見てもレーザー光のものなんです。それも強力なレーザー光です
どこかで手術とかしてたんですか?」と聞いてきた
「いえ、手術などしていないし穴をあけるほどレーザー光も浴びていません」と言うと
「おかしいですね、普通の医療用メスでもこんなきれいに円を描いて穴をあけることは難しんですよ」
「え?そうなんですか?」
「はい、レーザー光としか思えません」
まさか・・・VRの世界で警官に撃たれたなどとは言えない
でも・・・現実的に穴は開いてる
血もたくさん出た
でも痛みがない
どう説明したらいいんだよ
「でもこの穴、どうしたらこんなきれいな円をしてるんだろ」と主治医は首を傾げた
主治医は何かブツブツいいながら病室から出て行った
今日の疲れが出たのかぐっすりと寝れた
翌朝
看護士が巡回に来た
「○○さん、巡回です、気分はどうですか?」と聞いてきた
「はい、気分は悪くはないです」と答えた
「では、昨日の傷を見ますのでズボンおろしますね」
「はい」と答えた
「でわ、見ますね、え?ええええーーー傷はどこ?あれ?」と看護士はびっくりした声をあげた
「ええ?あれ?傷どこ?治ったのかな?」と聞くと
「いえいえ、あの位の穴になると1か月は治らないはずです、でも傷跡がないんですよね」と看護士は傷があったあたりを触っている
「傷跡がまるでないないんで普通はありえない」と不思議そうに太ももを見ながら私に言ってきた
「ないですね、おかしいです」と答えた
「ちょっと担当医を連れてきますね」といいながら病室から出て行った
しばらくすると担当医が来た
「○○さん、太ももを見せてください」と言ってきたので見せた
「ええ??たしかに傷がない、あれだけの大きさなら1か月は無理だ」と驚いた表情で私に言ってきた
「痛みとかはないんですか?」と聞いてきたので
「昨日から痛みは無かったです」と言うと
「ですよね、そう言ってましたよね、ですが、あれだけの穴が開いてて痛みがないということはどういうことなんだろう」と首を横に何度か振りながら考え込んでしまった
・・・??やばい雰囲気だな
このまま入院してるとモルモットにされそうな予感がする
「もう、治ったんでこのまま退院しますね」と言うと
「あ!まぁ・・・治ったんですから入院する必要はないのですが・・・」
やばい、的中した
「入院費も馬鹿にならないので退院します」と言うと
私は急いで着替え入院代を払ってそうそうに病院から出た
全然痛くもない
普通に歩ける
傷跡もない
何なんだ・・・・
あれだけ出血してたのに・・・・
途中でコンビニにより昼食のパンとコーヒーを買い急いで家へ帰った
2日の入院で2万円ほど取られた・・・
部屋に戻り部屋の様子を見た
変わっていない
下に視線を向けると血痕が残ってた
やはり出血はしてたんだ
ふとPCをみると例のごとくチカチカとランプが光ったり消えたりしてた
あああ・・・・またか・・・・
PCを起動させいつものごとく例のCDの中身を見た・・・
また一つ動画ファイルが増えてた
「げ!増えてる・・・このCDはいったい何なんだよ」と声をあげながら
クリックしてしまった
「あ!、しまった・・・押しっちゃっったよ・・・あちゃ・・・」
まわりが一瞬暗くなりまた明るくなった
高い山にいるようだ
近くで子供たちの声がする
声の方へ歩いていくと子供たちが騒いでた
何を話しているか全然わからない
子供たちの服装は未来感のある服装の子とどこかで見たような民族衣装を着てる子と分かれてた
だが顔は同じ民族のようだ
どうも中南米のような雰囲気
子供たちの顔は少し褐色系だ
ふと山の方から下を見た
わぁーーー、摩天楼だ
中央付近に高いビルが建っていた
そのビルを中心に色々な建物が整然と建てられていた
車は宙に浮きビルの中へ出たり入ったりしてた
下を見ると道路全体に歩行者が歩いている
未来感のある服装だ
ロボットらしきものが見えた
喧騒が少し聞こえてきた
もう驚くばかりである
21世紀の前半に生きてる者としてこの世界はあまりにも違いすぎる
とにかく空気がうまい
あのどよんだ排気ガスの匂いや化学物質で汚れている空とは全然違う
空が澄みきっている
あの宙に浮く車の動力源は何だろう
核融合?それとも反物質なのか?
全然わからない
もしあのテキストに書いてあった年代ならここは23世紀なのか
たった200年でこうも変わるものなのか
ふと振り向くと子供たちが自分に気づいたのか近寄ってきた
何を話しているのかさっぱりわからない
その中の一人の子が私の手を握って走り出した
たしかに触られている感触だ
そして500m走ったところで円形の競技場みたいな建物があった
その建物の中へどんどん入っていった
階段をのぼりそこからすぐに出て空いてる席へその子と一緒に座った
他の子供たちも後から走ってきて各々空いてる席に座った
どこかで見たような建物だ
そっか、中南米の遺跡で見たような気がする
または古代ローマの遺跡かも
円形闘技場みたいな感じ
よく見るとほぼ満席状態だ
数万人はいそうだ
一体何がはじまるんだ
まさかサーカスなのかな?
またはトラと人間の戦いなのかな?
すると中央の台の上に筋肉隆々の男が現れた
そして大きな声でなにかしゃべりだした
さっぱり何を話しているのかわからない
そして、話し終えると
少女みたいの女の子が2人の男に支えられて台の上に現れた
中央の台の上の真ん中あたりに石でできた台があり
そこの上に寝かされた
そして、また、あの筋肉隆々の男が話し出した
少女は何の抵抗もしていないようだ
遠くなのではっきりと顔の表情はわからない
すると
図体のでかい男が現れた
手にはナイフらしきものを持っていた
そして
一気に少女の心臓あたりを刺した
刺した瞬間に会場にいた群衆のどよめきがまるで地震のような振動で響いてきた
・・・おい・・・・これって生贄の儀式・・・・
23世紀だよな・・・・古代の時代じゃないよな・・・
山の下は摩天楼が広がっていて車が宙に浮いている未来だよな
山の上は古代の時代なのか?
また群衆のどよめきが響いてきた
少女の心臓を手に持ちその図体のでかい男は意気揚々と話し出した
空高くに心臓を上げてなにやら話している
また群衆のどよめきが響き歓喜の声が響き渡った・・・
なんでこった・・・23世紀でも生贄の儀式をするのか・・・
21世紀の世界では生贄の儀式は残っているが動物を使っている
時代が逆行してる
ふとみると台のあたりに人が4人ほどいる
少女の死体を荷車に乗せどこかへ運び出したようだ
うえぇ・・・気分が悪くなった・・・
ゲロを吐きそうになった
隣の子がなにやら自分に指さして怒り顔で何か話しかけてきた
その声を聴いて周りの子たちが集まりだした
みんな、怒り顔
え?なんで?
そして子供たちが自分に石をぶつけてきた
おぉおおーー痛てぇーーー
顔や体に石が当たる
そして後ろから殴られたような感じがした瞬間意識を失った・・・
「痛てぇーーーーー」と叫んでベッドから転げ落ちた
え?えええ
キョロキョロと周りを見渡した
自分の部屋だ
何が起こった?と自問自答した
ふとおでこを触った
血が指についた
慌てて風呂場へ行き鏡を見た。
顔中が腫れていた
血がにじみ出ている
後ろのあたりをさわると膨れていた
夢?じゃなかったのか?
顔中が痛い
寝ぼけてベッドから落ちてもこんな風にはならない
部屋に戻り椅子に座りながら考えた
ふと時計を見るともう夜中の2時を回っていた
しばらくボォーと夢?のことを考えていた
このCDみたいなものはリアルARシステムなのか?
ヘッドフォンをするだけで仮想空間へいけるのか?
一体どんな仕組みなのか?
などなど
訳の分からないことばかり
連れ仲間でPCオタクがいる
あいつに連絡しよう
ただ、あいつの趣味は・・・ちと・・な
しかし、こういうことはあいつしかわからないと思う
眠れないまま朝を迎えた
朝食を取りあいつに電話した
なかなか出ない
というかこんな早くに起きてるとは思えない
こりゃ直接あいつの家へ行こう
2時間ほどの距離だが仕方ない
朝9時頃に家を出てとにかくあいつの家へ行かなければ、という変な衝動に駆られて
11時半ごろに着いた
ノックした
出ない・・・
仕方ない
「警察だーーここを開けろ、xx、開けろ」と叫びドアを激しく叩いた
すると
中から走ってくる音がした
オタクがあわててドアを開けた
俺の顔を見て唖然としていた
「おまえ、何の冗談だ・・・帰れ」と怒り顔になった
「悪いなぁ・・・なかなか出てこないから・・・」と謝罪した
オタクの家へ入れてもらい今までの経緯を話した
オタクもはじめは冗談半分だろ、と言う顔だったが
俺の腫れた顔を見て段々と真剣になってきた
オタクに例のCDらしきものを見せた
「これだな、どれどれ・・・」といいながらCDをあちこち見まわした
「うーーん、なんだろうな・・・普通のCDじゃないぞ、これ」と少し興奮気味に話し出した
「これ・・・もしかしたら・・・・」といいながら虫眼鏡でCDの裏を見た
「おい、このCDはやはり普通のCDじゃない・・・普通は裏は鏡みたいに反射してるだろ
ところがこいつは反射していない」
といいながらお前も見てみろというのでCDの裏を見た
「これは・・・回路がぎっしり・・・まるでPC内部みたいだ」というと
オタクが
「まさにそのとおりだよ、このCDの中身はまさにPCだよ・・・おそらく今のPCの中身をこのCDの中にマイクロチップの技術で収まってるんだよ、これはすごいぞ・・・」といいながら
CDをオタクのPCにセットしだした
すると勝手にCDドライブが動き出しLEDがチカチカと光りだした
「おおおおーーーなんだこれ・・・自動再生仕様なのか・・・
どれどれ中身はどうなってるんだ」
といいながらフォルダの中身を見た
フォルダの中身は昨日より増えていた
「お?はて?この種類のファイルは知らんぞ・・・クリックしてみるか」といいながらファイルをクリックしてしまった
「おい!!!クリックするなよ!!」
遅すぎた・・・・・
一瞬目の前が暗くなった
そして・・・・
遠くて銃声や怒声や砲撃の音がしていた
何処かの戦場みたいだ
オタクがキョトンとしていた
「おい、オタク、大丈夫か?」と言うと
「????ここはどこだ?俺の部屋はどこにある???」と状況を全然把握していない
「オタクの部屋じゃないよ、リアル仮想現実の世界だよ」と言うと
「へ?はぁ?仮想現実だって?うそだろ?」と言ったとたんに
流れ弾が近くに落ちた
爆音と煙であたりが真っ白けになった
「ぎゃーーー、ここはどこだよ?なんなんだよ」とパニックになった
「だから、リアル仮想現実の世界だよ」と言うと
「リアル?だって・・・ちょいまち・・・ありゃ・・・どこの国の戦車だ」
戦車が一台こちらへ向かってきた
よく見ると・・・SSのマークが・・・・
「ゲェーーーナチス親衛隊のマークだぞ・・・おい、ここは映画のセットだよな?」と
まだ理解していないようだ
「いや・・・映画のセットじゃないよ、今さっき言った通り・・仮想現実の世界だよ」と言うと
顔が真っ青になった
「え?映画じゃない・・・おいおいやばいぞ・・・捕まったら大変だぁーー逃げるぞーー」と
この場から駆け足でその場を離れ・・・その場から逃げた・・・
戦車は後を追うように追いかけてきた
オタクと俺は必死に逃げた
しかし・・・どんどん近づいてくる・・・見つかったのか?
砲台の上から兵士が頭を出して何か話してる
ドイツ語?らしき言葉だ
戦車の機銃から威嚇射撃された
もう駄目だ・・・
2人とも走るのをあきらめた
砲台の上にいる兵士が降りてきた
俺とオタクの顔を見て・・びっくりした顔になった
すぐにその兵士は無線でどこかと連絡している
司令部とかに連絡しているのか
オタクはもう顔色に生気がなく「殺される」と小さな声で何度も言っていた
俺は「大丈夫だ、しっかりしろ」とオタクに言った
しばらくするとジープに乗った兵士が数人やってきた
その中の兵士が日本語で「君らは日本人か?」と聞いてきた
「日本人だ」と答えると
「そっか・・・なんでこの前線にいるんだ?兵士なのか?」と聞いてきた
「いや、兵士ではない・・・いつのまにかここにいた」と言うと
その兵士は怪訝な顔になり
「いつのまにかいたとはどういうことだ?」と聞き返してきた
「それは・・・説明しにくい」と言うと
「あやしいな・・・おい、とりあえず司令部へ行こうか」と言うと
オタクが
「殺される~~」と大きな声を出した
すると
「殺しはしない・・・同盟国の日本人に対して理由もなく殺しはしない、説明をしてほしいだけだ」と言うと
オタクが
「ナチスなんか信用できるもんか・・・お前も知ってるだろ・・・ナチスの残虐な行為をしていたことをな」と俺に話しかけてきた
たしかに歴史で習ったから知っている
「おまえたち、いったい何者だ?」と聞いてきた
「いや・・・別に・・・単なる旅行してるだけだ・・・」と言うと
「それにしても・・その格好は何だ?」と
オタクの格好はパジャマ
俺は平成時代の服装
どうみても旅行している格好ではない
そうこうしているうちに上空に戦闘機?爆撃機?が1機こちらへむかってきた
ナチスの兵士たちが慌ててジープに乗りあっという間に走り出した
戦車も早々に退散した
上空の飛行機からなにか落ちてきた・・・
爆弾だ
近くに落ち炸裂した
すごい爆音と爆風でオタクと俺は吹っ飛んだ
そして、気絶した
オタクはベッドから転げ落ちた
俺はなぜか廊下で気絶していた
オタクが目を覚ましてキョロキョロしている
「おい、どうなってるんだよ?」と俺に話しかけてきた
「だから、リアル仮想現実だったんだよ
おまえがファイルをクリックしたろ、それがリアル仮想現実のファイルなんだよ」
オタクはいまひとつ理解していない顔をしていた
「リアル?・・・う~~ん・・・それにしては少しおかしい・・・」
「え?なにがおかしい?」
「仮想現実?単なる夢?もしくは幻影のような気がする・・・」
「いや・・・俺は現にそのリアル仮想現実でケガをしたぞ」
「それそれ・・あのな・・・そのあとに傷?はきれいに治ってるだろ?それもすごい速さで・・・」
「そうだよ、1日ほどでケガは治った」
「おまえ、それ本当に現実の世界の病院だったのか?」
「え?現実のって・・・」
「救急隊員は本物だろう・・そのあとだよ・・恐らく気絶していてその間に夢を見てたんじゃないのか?」
「いや・・・それはないとおもう」
「家に着くまで夢遊病患者みたいなウワウワした感覚で家についたんじゃないのかな。だから痛みもないわけだ、おそらく脳の処理が追い付かず夢なのか現実なのかよくわからない状態で病院を出てきたんだろう」
「うぅ・・・・・話の筋は確かに通ってる・・・あれだけの傷を負って痛みがないということ自体おかしいと思ってた」
「たしかにナチスの幻影をおまえと一緒に見てたのは確かだ、だけどな・・おれはそのナチスが幻影だとわかったよ、当時の服装と幻影の服装が微妙に違ってた、このCDは仮想現実を作ってるんではなく単に幻影を脳に作ってるだけだ、いわゆる電脳麻薬だよ」
「電脳麻薬?なんだそれ」
「要はある周波数をこのCDは作り出して脳を混乱させるんだよ、人工的に麻薬作用を作り出してる。
これ・・・このCDは21世紀のものじゃないな」
「・・・アップルかグーグルが極秘に作り出したものかと思ってた。その試作品を誰かが本の中に入れたのかと思ってたけど・・・たしかにこの薄い円盤のなかに回路を入れ込むなど無理だろうな」
「そうだよ、こんな薄いのに回路が所狭しと入れ込むなど今の技術では無理だな
それにこのファイルの文字は何語だよ?世界のどこの国の言葉ではないと思うぞ
でも基本的な技術は21世紀から受け継がれてることは間違いない
じゃなければCDの再生などできないからな」
「23世紀の技術なのかな・・・そっか・・・・このCD・・・・どうしようか・・・・」
「それ・・元の本の中にしまって・・・本屋へ黙って戻せ・・・」
「だな・・・そうしよう・・・明日実行するわ」
オタクは疲れた顔をしていた
なんか疲労感がすごい
オタクにバイバイしてオタクの家を出た
人工的に脳内で麻薬を作り出す技術
23世紀の世界ではこれが普通なのかな
でも・・・どうして23世紀のCDがあの古本屋にあったんだろ
タイムマシンの技術もできてるんだろうか
とあれこれ考えながら家に帰った
とにかく疲労感がすごかった
家に着いたとたんにすごい眠気に襲われた
電脳麻薬の禁断症状なのかな
おれは廊下でいびきをたてて寝てしまったらしい
なんか深い眠りについてたみたい
夢を見なかった
小鳥のさえずりがしてきた
朝のようだ
廊下で寝てた
まわりをキョロキョロと見た
別に変っていないように見えた
お腹もすいていた
台所へむかった
ふとTVをつけた
目が点になった・・・
いや恐怖で体が動けなくなってた
TVの番組の内容で恐怖になったのではない
番組の月日と時間のテロップで体がかたまった
そう、あの朝の日付なのだ
いやそんなことはないはずだ
あーだこーだで1か月ほど過ごしたはず
でもTVのテロップはあの朝の日付なのだ
夢でも見てるのだろうか?
CD?そうだCDは・・・・
本は?
え?・・・・ない
CDも本もない・・・
そんな馬鹿な・・・
あ!血痕・・・ない・・・・
そんな・・・・
じゃあ・・・あれ全部・・・夢?
うそだろ・・・
リアルすぎるぞ
俺は急いで例のいつもの本屋へ向かった・・・
裏の路地を・・・・え?・・・・住宅街・・・
道を間違えた?
スマホで位置を確認した、合ってる・・・
ここにあの古本屋があったはずだ
ない・・・雑木林が茂っているだけ・・・・
どういうことだ・・・
中学生から通ってた古本屋だぞ
するとなんだ・・・あると思ってた古本屋は存在していなかった・・・
でも俺はあの古本屋からたくさんの本を買った
現に買った本は家にあった
どういうこと?
あっ!オタク・・・
オタクの携帯へ電話した
繋がらない
「今現在お使いの・・・」と・・・
ええええええええええ
オタクとは小学生からの同級生だぞ
おいここは現実なのか?
まだ夢の続きなのでは?
頭が混乱してきた
訳が分からん
オタクと古本屋は存在してなかった
でも現に本はある
じゃどこで買ったんだろ?
狐に騙された?
まさかね・・・
*****
入院患者が一人緊急搬送されてきた
医者と看護士がある男の異様な状態にパニックになりかけていた
太ももに大きな穴が開いており骨が見えていた
しかし、血がその穴から一滴も出ていないのだ
骨だけが見えていた
男の意識はある
だが瞳孔は見開いたまま
心拍数も高く血圧が200以上になっていた
緊急手術の準備に入った
手術は12時間ほどもかかり太ももの空いた穴をふさぎ血圧を下げるために一番効果のある薬を点滴の中に入れた
結果、心拍数・血圧も下がり安定した
だが肝心な瞳孔が未だに見開いたまま
口元は何か話しているようだが聞き取れない
この症状は麻薬患者と同じ状態だと気づき麻薬の検査をしたが反応は無し
だが脳内ホルモンが異常に高く分泌していた
医者はほぼ理解した
自分の脳内ホルモンが異常に分泌して麻薬の症状と同じ状態なのだ
だがここまで分泌するには相当な何かの刺激がないと出ないはずだ
それにあの太ももに丸く空いた傷は何なのか
まるでレーザーをあてて手術したような感じ
だが今の21世紀であのような新円に近くましてや血が一滴も出血も無しで皮膚にあけることは聞いたことがない
不思議としか言いようがない
翌朝
患者の瞳孔も戻り意識を取り戻したようだ
病室を何度も見回し不思議そうな顔をした
看護士が巡回をしに来た
患者はどうしてここにいるのか理解していないようだ
医者も後から遅れてやってきた
太ももの包帯を外し傷の具合を見ていた
患者もその傷を見て驚いた顔をした
医者はその驚いた顔に気づき話しかけてきた
「○○さん、この太ももに空いた穴、どうしてこうなったのか知ってそうですよね」
俺は
「いや・・・その・・・・説明しにくいというか説明しても恐らくわかってもらえないかと・・・」
「というと?私は医者なので色々な傷を見てきましたけれど今回のケースははじめてです。こんなに大きな穴が空いててもなぜか血が一滴も出ていなかったんですよ」
「え!?血が出てなかった・・・???・・・いや、血は結構出たはず・・・俺の家の床を見ればわかると思うけれど・・・だいぶ出血したんです」
「そうですか・・・・でもね・・・血がもし出ていれば必ず血痕は皮膚のところに残ってるはずなんですよ、でもその血痕がなかったんですよ」
「ええーーー!!!そんな・・・じゃああれは夢ではなくVRでもなく現実に起こってたのか・・・」
「はい?夢?VR?何の話です?」
俺は医者に今まで見てきたこと、体験したこと、すべてを話した
医者は呆れ顔になったまま無言で考え事を始めた
「○○さん、もしかしてなにか麻薬のような薬を飲んだとかしませんでしたか?
ここに運ばれたとき、目の瞳孔は見開き心拍数と血圧が異常だったんですよ
そうまるで麻薬患者のようでしたね」
「え!?麻薬のようなもの・・・いいえ、薬はないです・・・けれど・・・」
俺は医者にCDのことも話した
医者はなにか心当たりがあるような表情に変わった
医者が言うには5年前も俺と同じような症状の患者が運ばれてきたそうだ
いろいろと処置をしたけれど死んでしまったそうだ
原因は脳内ホルモンの異常な分泌量が死因なのではと結論したそうだ
だが今回同様麻薬の反応は一切出ず
だが明らかに麻薬患者と同じ症状の状態だったとのこと
その患者の身元もわからずじまいで無縁仏として丁重に葬ったそうだ
俺はその話を聞いて今回の騒動の発端が分かったような気がした
その無縁仏はタイムトラベラーで未来人だと
恐らく犯罪者だったのではないかと思う
時空警察?に追われていたのかも
その持っていたCDをあの古本屋のあの本の中に隠したということ
そのあとに禁断症状が激しくなりどこかで倒れたんだろう
俺は1週間ほど目を見開いたままこの病室で過ごしたのだそうだ
意識はあるのだが声をかけても反応は無し
まるで植物人間のようだったと
そっか・・・俺は1週間の間にあのような夢?幻影を見ていたのだ
リアルな夢?
夢で太ももに穴があくのか?
じゃあリアルVR?
わけがわからーーーん
1か月ほどで傷もほぼ治りリハビリも行い
何とか無事に退院できた
それとあの古本屋はちゃんとあった(笑
オタクも無事にいた(さらに大笑い
オタクに今までの出来事を話したらポカーーンとした顔で「頭大丈夫?」と言われてしまった
さて肝心の本とCDが見つからない・・・どういうこと?
確かにあの古本屋で入手したことは間違いない
時空警察?が持っていった?
先週に久々に朝早くあの古本屋で行った
でもなぜか足が奥へ奥へと・・・・
「2230年からの贈り物」という本を無意識のうちに手に持っていた
ふと気づいて題名を見て驚いて本を落としてしまった
落とした本からあのCDが出てきた
もう・・・・いい加減にしてくれ・・・・
作者名無しの幽霊
本当に不思議な出来事だった
本文が長くなってしまった
文章を短くまとめようとしたけれど文才が無いので無理
太ももを見るたびにあの出来事を思い出す
夢の中の夢?
でも太ももに穴が空いていた
レーザー銃で撃たれた穴
そう現に穴が空いていた
どう説明したらこんな穴があくのだ?
幻覚で穴があくのか?
あの「2230年からの贈り物」を手に持ちびっくりして本を落とした時にCDが出てきたけれど
普通にこの本のおまけだった・・・
しかし、家にあるはずの本がなんで古本屋にあったのか?
あれこれ考えた
ふとPCを見たが・・・・何も起きない・・・・
皆様も夢を見てさらに夢の中でも夢を見たならばもしかしたら・・・・