皆さんは「神隠し」と言う言葉を知っていますか?
ドラマや映画などで題材になるなど知らない人はまずいないと思う
私は今年で65歳になる。元警官である
私は地元で生まれ育ち就職も地元がいいと決め司法の猛勉強をしどうにか警官になれた、という普通の男である。同級生はこんな田舎は嫌だ、と言い都会へ就職や進学をしていった
たしかに中学生までは本当に田舎で○○村と言う「村」と呼ばれてた
中学生の時に昭和の高度成長期に入りこの村にどんどん人が集まってきた
高校生になったときには村から町へと変わり大学の時には市へと変わっていった
今はこの○○市は10万人ほどになった
この○○市のほぼ中心に〇△山という高さ100m長さが500mほどの山がある
周りは三車線の国道が東西南北に走りダンプやトラックなど昼夜構わず走っている
その〇△山の頂上には神社があり名前が不思議と無いというか誰も知らないという神社が鎮座している
市の郷土歴史研究家でさえもいつだれが建てたのか神社の名前は?と色々と研究していたみたいだが未だにわからないという
もしかしたら戦国時代の物なのかも、という確証もない話が出たほどだ
戦国時代はここらへんは沼や雑木林がしげっており人が住んでいたという記録はないそうである
この事件は今でも不思議でなにかしらの闇があると思っている
もしかしたら・・・事件は一気に解決できたのかも・・という想像なのだが・・・
記憶違いもあるかもしれない
また話が長いのでお暇なときにお読みいただくといいかもしれない
その〇△山にまつわる話なのだが子供が失踪というかこの山から忽然と消える事件が起きていた
そう私が交番勤務をはじめてから半年たった時にその失踪事件が起きたのだ
その交番は山の北側の反対側にあり交番から山がよくみえるのである
北側の山へ入る入り口もよく見えていた
事件はちょうど7月の中旬で少し蒸し暑い日であった
子供たちももうそろそろ夏休み入る前で交番の前を大きな声で走っていく光景がよく見られた
自分もかつてはこの交番の前を走り回っていた小僧である
その当時のおまわりさんはなんとなく怖かった記憶がある
別に悪いことをしたわけではないのだがおまわりさんが交番の前で立っていると下を向いて走っていった記憶がある
その交番勤務をしていた人が私が警官になってから10年後に署長になった人物だった
鬼の刑事課長として恐れられていた
この交番は出世する交番として有名で私も定年退職する前は副署長をさせてもらった
その交番勤務の署長も最終的には県警副本部長まで昇進した
だからこの交番勤務をする若い警官が多く人選に苦労した覚えがある
さて本題からずれてしまったけれどもこの失踪事件なかなか解決には至らず未だに未解決である。
当初は単なる山での遭難というかどこかでケガをして動けなくなっているのではという感じで捜査がはじまった。
こんな狭い山だから1日で見つかるだろうと誰もが思っていた。
警官の人数も20人程度で捜索が始まった、もちろんその中に私もいた
頂上からと地上から挟み撃ち方式でやぶの中や竹林の中などいそうな場所を捜索した
昼頃になると捜査陣もすこし焦りだした。見つからないのである
500m四方の山である。端から端へ歩いても1時間もかからない
しかし、見つからない
昼になったので一旦昼食とし休憩したのちに捜査会議を開いた
どこかでなにか見落としているのでは、と言う意見も出たが
見落とそうにも狭い山である
捜査陣の声が端から端まで聞こえる山である
下と上から挟み撃ちで四方を探したのである
昼からもう1度朝と同じような方式で捜索を開始したのであるが
夕方になっても見つからない
この山にはいない、ということで失踪事件から誘拐事件へと切り替えたのである
ところが犯人からの身代金の電話は一切なく
1週間ほど待っても音沙汰無しであった
いよいよ捜査陣も焦りだし誘拐事件ではなく単に人さらいの感が強まってきた
過去にもこの山では子供がいなくなる事件が起きていて事件の解決は一度も無かったのである
その当時の捜査資料も参考となりいろいろとわかってきたことがあった
その当時の捜査資料の作成者の名前を見て私は愕然とした
あの交番勤務をしていた鬼の刑事課長なのである
もちろんその当時は巡査としてこの交番勤務をしていたようである
入って間もないころである
当時はまだ村であの山の四方に国道は無く単にあぜ道が山の周りをぐるりと取り囲んでいたころである
やはり当時も単なるケガでどこかにいるのではということで捜査が始まったようである
ところがやはり見つからなかったと記されていた
最終的には人さらいの事件としておよそ1年間ほど捜査本部を置いたようであるが
事件は未解決のまま捜査本部は解散している
捜査資料を読んでいくうちにこの鬼刑事課長の観察力の鋭さに気づいた
一人一人の行動が細かく書いてあったのだ
村人の名前を一人一人何時に何をしていたのかと細かく書いてあった
ふと私は思った、犯人はこの村人の中にいたのでは?とだからこそこの刑事課長は村人一人一人の行動を観察していたのだと
ふと見ると私の親父の名前があった。あぁーー親父も捜査に参加していたんだ。
親父もこの市(村)の生まれである。鬼の刑事課長とは先輩後輩の仲だと後から知った
刑事課長もここの生まれである
どんどん読んでいくうちにいろいろと不思議なことが書かれていた
結果的には犯人は村人の中にはいない、と言うこと
そのいなくなった子供の両親がなぜか1か月ほど経ったときに行方不明になったということ
これもあわせてこの捜査陣で両親の行方も捜査したようだが行方不明のままで未解決になっていること
その両親とはこの村の権力者で村長であったとのこと
その村長の権限は強く当時の署長さえ頭が上がらなかったようだ
あ、ああーーそういうことか、と思い出した
子供の時、親父が酔うとなぜか村長の悪口を口走ってた
「村長の日ごろの行いが悪いからこどもがいなくなったのさ、ざまぁーーみろ」とかなんとか
酔っぱらいのたわ言かと聞いていた
母が眉間にシワをよせて「おとうさん、子供の前でそんなこと言うもんじゃない、正気なの?」と母と喧嘩していた
さて、夜も更けてきたのと昼の捜査の疲れが出たのか急に眠気がしてきたので
そうそうに布団へ入り眠ってしまった
夢を見た
神社がぼんやりと見えてて子供と大人が神社の門をくぐり境内の中へすぅーと消えていった
しばらくすると大人だけが出てきて子供がいない
境内から「おとうちゃーーん」と泣き叫ぶ子供の声がしている
しかし、その大人は聞こえていないのか門からどんどん離れていく
境内からもまだ泣き叫んでていて「おとうちゃん、こわいよ、たすけてーー」と叫んでいる
「○○様にたべられるぅよ~~~」と聞こえた、そのように聞こえたのだ
○○様って何だ?
神社の御神体の名前なのか?
考えているうちに目が覚めた
一体何なんだ今さっきの夢は・・・・今回の事件と関係あるのかな?と
思いつつ署へと出かけた
朝から捜査陣の罵声や怒声で捜査本部は荒れていた
事件からもう1か月ほどたっているのに成果が出ていないのだ
しびれをきらした県警本部の人間たちが捜査陣に対して怒声を浴びせていた
なにしろ何も手かがりがないのだ
単に子供が蒸発しただけだった
タレコミもどれもこれも確証はなく裏が取れていなかった
県警本部からひとり捜査に加わわることになった
そうあの鬼刑事課長であった
当時の鬼刑事課長は県警に出向という感じで県警に勤務していた
この事件を知ってすぐに捜査に協力をしたいと要請をしていたのだそうだ
捜査陣一同、緊張のあまり誰もしゃべらなくなった
そうここの捜査陣はもともとこの鬼刑事課長の下で働いていたものばかりである
その厳しい捜査の仕方や取り調べは署内でも賛否両論の話題でもちきりになっていたとのこと
私はまだ新米だったのでこの人の真の恐ろしさがわからずその場の雰囲気が理解できなかった
捜査陣を一新して鬼刑事課長を捜査本部長として捜査のやり直しをはじめたのだ
まずは聞き取りからはじまった
現場を見ている人間がいたかも、という捜査の初歩的なことからはじまった
1週間が過ぎても有力な情報は無く
捜査の人間たちに疲労と焦りが出始めていた
捜査会議をしてもう1度山狩りをすることになった
捜査陣では数が足りないので町の人からも捜査に参加してもらった
もちろん、酔っぱらいの私の親父も参加していた
朝からの山狩りをしても何も見つからず
参加していた町の人たちも落胆していた
昼から捜査陣だけで山狩りをした
やはり何もない
夕方になり酔っぱらいの私の親父が突然「おまえら~~。t@lk;:」と何をしゃべっているのか
ろれつが回らないのになにか話し出した
「おまえら、ちゃんとくまなくすきまなく探したのかぁ~~、俺が捜査本部長だったときはなぁ~~」としゃべりはじめて私は顔が真っ赤かになった
鬼刑事課長も先輩である親父では強い態度に出れず私に向かって目で合図してきた「おまえのおやじなんとかしろ」みたいな
すると「おまえら、一度も神社の祠当たり探してねーだろ」と捜査陣は目が点になった
そうだ、祠当たりは確かに探していない
早々に捜査陣は動き出した
もう陽は暮れていた
ライトをつけて神社と祠当たりを探し回った
藪の中や竹林の中
でも何も出てこない
もう夜も8時ごろ過ぎたので一旦捜査を打ち切って次の日の朝から祠当たりの捜査をすることになった
親父がまだテントの中にいた
手に焼酎を持ってキョトンとしてる
私は親父を連れて家へ帰った
家へ着くなり
おやじが「今日何かのイベントでもあったのか?」と聞いてきた
「あはぁ~~?酔っぱらい、何も覚えていないのか?今日はもう1度山狩りをしたじゃねーか」と言うと
「え?山狩り?そんなことしてたのか?」と驚いた顔で聞いてきた
え?はぁ?この酔っぱらいは1日中何をしていたのか、覚えていないのか
と呆れた顔で「おやじ、飲みすぎだろ、まぁいいや、早く寝てくれ」と言うと
「飲みすぎ?いつも適正な量で飲んでるぞ」とほざいてきた
母が来て「お父さん、○○の初の大仕事なんだから邪魔はしてはダメダメ」と言うとおやじが「うっせーや」といいながら母と一緒に居間へ行った
しばらくすると電話が鳴った
鬼刑事課長からだ
「先輩、まだ起きてるか?いまからお前の家へ行くから」と一方的に切った
私は母に捜査本部長が家に来るよ、と言うと
母は「え?いまから、こりゃ大変、そうそうに料理を作らなきゃ、お父さん、○○ちゃんくるってよ」と言うと親父は「なにぃ~~あいつが来るだと~~よっしゃーー俺が相手になってやるーー」と
盛り上がってた
○○ちゃん、って・・・・私は覚えがないのだが私が小さいころによく家へ遊びに来ていて遊んでもらってたと後から母から言われた
じゃぁあの交番のおまわりとは知り合いだったのかぁ
30分ほどして本部長が来た
私は敬礼をすると「よせ、今は勤務中じゃない、○○ちゃん」とちゃん付けて呼ばれた
○○ちゃん・・!?と言う状態だった
新米の私にちゃん付けって・・・・
馬鹿にされたと思ってた
だが上記のように後から母に言われて納得したけれど
おやじが「おおお、きやがったな、泣き虫小僧」と言うと本部長は「先輩、それは言わない約束でしょ」と丁寧な言葉で返してきた
私は唖然としてた
あの鬼刑事課長が丁寧な言葉で話した、初めて見た
幼少の時に本部長はおやじによくいじめられていたらしい
あだ名が「泣き虫小僧」とか
しばらくたわいのない話をしていた
すると本部長が「先輩、昔の例の事件覚えていますか?」と親父に聞いてきた
「あぁ、例の村長の息子がいなくなったアレだろ、おまえがまだ新米の時の事件、よく覚えている」と言うと
「さすが先輩、記憶力は抜群だ」と聞こえてきた
??はぁ?記憶力抜群だとぉ~~今日の出来事も覚えていないのに
「今回の件も前回の件も何となくつながってるように思うんですが」
「たしかにな、似てるよな、子供の年齢も同じだし、確かあの日は・・・
あぁぁ・・・おい、泣き虫、いなくなった日にちも同じだぞ」
「は!たしかに!偶然?にしては話がうますぎる、でもあの事件はもう30年程前ですよ
まさか犯人が同じとは思えませんが・・・」
「わしも同じ人間だとは思えない・・・人間?本当に人さらいだったのか?
これは俗にいう「神隠し」じゃねーのか、泣き虫」
「神隠し!?・・・・先輩、私や○○ちゃんは刑事です。そういう類はちょっと受け入れがたいです」
と本部長は私の顔を見てウィンクした
神隠し・・・・うううう・・・受け入れがたし・・・・
刑事が神隠しを信じては捜査はできない
おやじが「なぁ、泣き虫、前回の件のとき、捜査を開始して半年ほどだったよな、村で変な噂があったろ?、覚えているか?」
「はい、覚えてます、神社あたりから子供の泣き声や叫び声が聞こえた、と言ううわさ話」
「たしか「おとうちゃーーん、たすけてーー」とか「○○様にたべられるぅよ~~~」とか」
「そうそう、それそれ、もしかしたら神社あたりのどこかで閉じ込められていたんじゃないかと今思っった」
「まさか・・・それはないとおもいますけど・・・あの神社のどこに隠れる場所ってありました?
「・・・ないんだよな。でも・・・祠・・・あれって中を見た奴はいるのかな?」
「はぁ!いないと思いますよ、ほら、先輩、私らがガキの時に先輩が悪ふざけでこの祠の中を見ようぜ、と4~5人ほど集まった時があったでしょ、」と本部長が話した途端に居間の電気が消えた
電気が消えた?なんでだ?・・・・
おやじと本部長もびっくりした顔
私はブレーカーが落ちたと思いブレーカーのある電気盤へあわてて向かった
おかしい・・・ブレーカーは落ちていない
電球が切れたのかな・・・
と居間へ戻るときにどこからでもなく生暖かい風が頬を伝わった
その時に「たすけて」と聞こえた
私は「え?」と思い周囲を見渡した
誰もいない
居間の方に目を向けると電気が点いてる・・・
おっ!電気が点いてる・・・
!??へ?ブレーカーは正常・・・でも消えた、なぜ?
居間へ戻ると・・・
「ほら、先輩がこの祠の中身を見たいか?~~と悪ふざけ気分で祠を開けようとしたら
警察署長がなぜかいたでしょ?」
「そうそう、あれにはびっくりした、後ろから「こらぁーークソガキ、何をしてるんだ」とえらい剣幕で近寄ってきて俺を突き飛ばしたんだよな」
「おれ、飛ばされて尻もち着いたよな、んで、突き飛ばした奴を見ようとしたらもういなかったんだよな、みんなから「あれ?署長はどこ?」ってパニックになってた」
「そう、あれ、先輩、おかしいとおもいませんか?なんで署長が昼間から神社にいたのか?確かあの当時の署長の○○は堅物で署から無断で出ることはない人物でしたよね」
「そう、みんなが署長はどこ?と騒いでいるからマジで署長が来て突き飛ばしたんだと思ってた、でも突き飛ばされてしりもちがついたときにもう署長の姿が見えなくなってた」
「・・・泣き虫、あの当時の署長と村長って仲が悪かったよな・・・」
「ええ、有名でしたからね」
「おい、泣き虫、ちょいまち、あの当時になんで署長、と言ってたんだ?
誰も署長の顔なんで知らないはずだろ?」
「え?あっ、たしかに、そうですよね、知らない」
「んんん・・・・どういうことだ?」
そうこうしているうちに夜も更けてきて本部長もまだ捜査があるということで帰っていった
私はおやじたちの話を聞いて少しぞっとした
夢で見たものと同じなのだ
祠・・・どうやらこの捜査のカギは祠なのかも、と
と考えているうちに段々と眠気が襲ってきた
目が覚めるともう10時を回っていた
あわてて歯を磨き署へ向かった
本部長がひとり留守をしていた
本部長に一語と謝罪をした
本部長曰く「昨日は夜遅くに押しかけて迷惑をかけた、すまん、だがやはり先輩に会って確信したよ、祠だよ、昨日も話をしたろ、先輩が悪ふざけで祠を開けようとしたら当時の署長がいて先輩を突き飛ばしたんだよ。でもなんで署長とわかったのか不思議だった。私が署へはじめて出勤したときに署長にあいさつをしようと署長室へ入って歴代の署長の肖像画を見て驚いた。当時の署長の顔と同じだった
それで当時の署長にこの肖像画の先代の署長はどういう人なのか聞いたんだよ、やはり噂通りで堅物でものことに対して厳しい人だったようだ。当時の署長も新人の時に相当叱られたらしい。でも例の事件以降署長の態度がどんどんおかしくなり最後は自主退職したそうだ。何かにおわないかな?」と聞いてきた
「たしかに、おかしいですね、タイミング的に合いすぎてます、まさか・・・署長が一枚かんでいたとか・・・まさかね」と本部長に返事をした
「いま、捜査は祠を中心に行ってるから行ってこい」と言われ私はあわてて山へ向かった
到着早々・・捜査陣たちがざわめいていた
なんと子供の死体が出てきたのだ
主任があわてて走ってきて
「おい、新人、遅刻遅刻・・・今までなにしてた、ああ・・そうそうこどもの白骨死体が出てきたぞ」と息をハァハァいいながら話してきた
私は急いで現場にむかった
子供の死体は白い布に包まれてて私はつつみをほどいて中身を見た
「え!・・・半年でこんな状態になるのか・・・」と初めて見た死体だから驚いて声をあげてしまった
検視官が「おい!貴様、なにしてる、勝手に触るなよ」と怒り心頭だった
わたしはびっくりして後ずさりした
「貴様、新人だな、死体を見るのは初めてか?」ときかれて
「はい、初めてです」と答えると「そうか、はじめてか」と言うと
「貴様、そこの交番勤務だよな、なにか不審者を見たことはないのか?」と聞いてきた
「いえ、見てません」と答えると「役に立たん奴だな」と嫌味を言われてしまった
「おい、検視官、そういじめるな」と私の後ろから声がした、本部長だった
検視官はさっと敬礼をして「いえ、いじめてはありません単に聞いてみただけです」と直立不動のまま答えた
「検視官、あとで調査報告をしてくれ」と言うと検視官をその場において
私は本部長と共に祠へ向かった
「祠から死体が出てきたのですか?」と聞くと「そうだよ、それも不思議なことなんだが・・」と
首をかしげながら
「なんと祠の中になぜか地下室があってな、その地下室から出てきたんだよ」と本部長は怪訝そうに言ってきた
「え!、地下室があったのですか」とびっくりした顔で言うと
「そうなんだよ、わしもはじめてしったよ、地下室があるなんで聞いたことは一度も無い」
「おやじは知っていたのかな?」と聞くと
「先輩も恐らく知らないはずだよ」と答えた
祠の地下室を見るとたしかに狭いが部屋になっていた
よくみるとお札やらろうそくなど置いてあった
うしろから声がした
「なんでこった・・・・祠をあけるとは・・・天変地異がおきるぞ」と怒鳴ってきた
長老だ
本年100歳を越えてる
本部長も長老の顔見て罰そうにしてた
「おまえ、まさか、○○の子せがれか」と本部長に聞いてきた
「はい、私は○○のせがれです」というと
「おまえら馬鹿クソガキには困ったもんだ、おまえと○○(私のおやじ)と○○の3人組は村で一番の悪ガキだ、大きくなってもいたずらばかりしてるのかい」とえらい剣幕で話しかけてきた
「いえいえ、ちがいますよ、捜査のためです」というと「なに~~おまえついに警察の御用になったのか、親が泣くぞ」と真顔で本部長の顔を見ていた
「いえいえ、私は御用になったんじゃないんです」とうろたえていた
はじめてみた本部長がうろたえてる姿、笑える
本部長は改めて長老に警察手帳と身分を明かした
長老はしばらく信じられない顔をしてた
一体親父と本部長とあと一人はなんのいたずらをしてたんだろうか、気になる
「お~~やっとるやっとる、おおお疲れさん」と能天気な声がしてきた
タイミングが悪い
親父だ
「おおおーーー泣き虫、はかとっとるかーーーいったろ、祠を見ろと、図星だろ」と
焼酎を片手に飲みながら近寄ってきた
本部長が「おいおい、タイミングが悪いよな」と小声で私に話しかけてきた
「はい、たしかに、長老がいるのに、うちの馬鹿オヤジ」
「およ、よぼよぼのじいさんも捜査にくわわってるのか、ついにここの警察も焼きがまわったな」と長老の肩を叩いた
やっちまったな、おやじ
本部長もあちゃーーという顔してた
長老がふりかえって親父の顔が一瞬のうちに固まった
「○○のじじぃ・・・なんでここにいるんだ・・・」と
長老の一喝
「こらーーー○○(おやじの下の名前)ーーーおまえは誰に口をきいてるんだぁーー」と
すごい剣幕で叫んで親父が尻もち着いた
「おまえは昔から悪いことばかりしおってーーーそこにいる○○の子せがれ、こっちへ来い」と
もう怒り心頭
30分間の説教
おやじも本部長もヘロヘロ
見ててまるで本当に悪ガキの姿
昔もこんな風に叱られていたのかな
長老が若い警官になにかしゃべってた
その若い警官が真っ青な顔をしてパトカーでどこかへ行ってしまった
しばらくすると署長が慌ててきた
長老に直謝り
おやじと本部長と署長の3人が直立不動で長老の説教
まさか・・・もう一人の悪ガキって・・・署長!?
まわりの捜査陣もあっけにとられて捜査は中断成り行きを見てた
署長と本部長が何か言い訳ばかりしてた
親父は下を向いたまんま
もうまるで小学生のガキだ
「おまえらはいつまでたっても悪ガキだぁーーー
親が見たら泣くぞ、特に○○の子せがれ(署長)よ
母親が体弱いのに毎日夜遅くまで働いているのに
おまえは宿題もせず遊び惚けてこの前おかあちゃんが嘆いていたぞ
○○の子せがれ(おやじ)よ、おまえはいつ学校に行くんだーーー
おまえが学校に行くのを見たことないぞ、
○○の子せがれ(本部長)おまえは未だにオネショしてると聞いたぞ
おかあちゃんが泣いてたぞ」などと声をおおきくして説教してた
まわりの捜査陣からクスクスと笑い声がしてた
おやじよ・・・学校に行ってなかったのかよ
あれだけ宿題しろ、学校に行かないとろくな人間にならんぞ、とほざいてたな
長老曰く「おまえら・・・この祠を開けてしまったな・・・これからこの村にいろいろな災いが起きるぞーーーなんでことしてくれたーーー」とどえらい剣幕で怒鳴り散らしてた
ガキ3人組は下を向いたまんま
すると遠くから「申し訳ありません、うちのジイさんがお邪魔してます~~」と若い男が謝罪しながら来た
どうやら長老の親族らしい
孫に腕をつかまれて連れていかれた
ガキ3人組やっと解放された
署長は下を向いたまんまパトカーで署へ帰っていった
本部長とおやじはぶつぶつと文句を垂れていた
本部長が我に返って
「捜査の再開だ、きちんと調べろ」と大きな声で命令した
私は親父に「祠に地下室があるのを知ってたのか」と聞くと
「いや、俺ははじめてしった、泣き虫はどうだ?」と
「いや、先輩、僕も知りませんでした」と答えた
どうやら親父世代になると知らないらしい
しばらくすると検視官が検視の結果を本部長に報告をしに来た
検視官いわく「不思議です・・・今回の事件の子供じゃないんです、歯型が全然違います。」と報告した
「なに?歯型が違う?どういうことだ?」と検視官に詰め寄ると
「どうやら今回の事件の子供ではないことは確かです」
「じゃぁこの死体は誰なのだ?」とさらに詰め寄った
「わかりません」と検視官も困惑した顔で答えた
おやじが「ほよぉーーーもしかして・・・村長の子供?
まさかねぇ・・・・」と飲みながら話に割り込んできた
「おやじ、捜査の会議に割り込むなよ、あっちへ行けよ」と
言うと
「ケチ、おれのせがれのセリフじゃないぞ、俺はお前の親だぞ」と酔っぱらい口調で言って来た
「先輩、ありがとうございます、あとで話を聞きますから一旦はお家へ帰ってください」と本部長が言うと
「ケチ、だれもかれも俺を無視して・・・面白くない・・・帰る」と
焼酎片手にフラフラと歩きながら帰っていった
まんまガキだ
まさか親をゲンコツで叩くわけにはいかないし
困ったもんだ
検視官も初めて見る風景に唖然としてた
鬼の刑事課長と対等に話し合えるこの親父は何者だ、という顔をしてた
夕方になり捜査は一旦休止として明日に備えるために早めに打ち切った
検視官と本部長が夜8時ごろに家に来た
検視官は私の顔を見て「あれ、昼間の新人?何でここにいるのか?」と聞いてきた
本部長が検視官に説明した
検視官はすべて理解して「なるほどね」と私にささやいた
母が手料理をふんばって御馳走がずらりと並んだ
検視官はあまりにも料理が多いので「これはすごい」と感心していた
検視官曰く「居酒屋でこんなにたくさんの料理は出ませんよ、ありがとうございます」といいながら勝手に食べだした
本部長があわてて「ゴホン」と咳をうながすと検視官がアッと我に返って箸を置いた
おやじが上座に座り「よぉ、泣き虫、捜査の進展はどうか?」とまるで署長気分で本部長に尋ねた
「先輩、捜査の進展はストップしたまんまです。明日、祠の地下室を徹底的に調べます。それと例の子供の死体の件も一向にわからずじまいです。半年であんな風に白骨化するとは思えません。
今日は検視官も来てくれたんで色々と話が聞けると思います」
と本部長はおやじに返事した
おやじが検視官に「検視官、例の子供は今回の事件の子供じゃないんだよな?」と聞くと
検視官は少しムッとした顔で「そうです、今回の子供ではないです、歯型が全然違います、
それとあの白骨化は半年ではなりえません、おやじさん」というと
おやじはムッとして「検視官、言葉使いに気を付けよ」と言うと
検視官は「はい?」と検視官は意味が分からずキョトンとしてた
当たり前である上司でもないおやじに言われたのだから
本部長が検視官に調子を合わせるように言うとやっと理解したようで
「これは失礼しました、署長」と言うと親父の顔がニンマリ
私は恥ずかしくなり下を向いた
おやじは機嫌がよくなってさらに焼酎を飲みだした
検視官も食事に専念してた
「おい、泣き虫、あしたは泣き虫があのくそじじぃ、もとい長老に会って色々と過去の話を聞いてこい、地下室の件も忘れずにな、それとせがれを連れてけ、何かと役に立つと思うぞ」と言うと
「先輩、私も明日長老に会って色々と聞きたいことがあるので○○ちゃんを借りますね」と言うと
私に合図をしてきた
検視官はそのやりとりをきいてて少し吹き出しそうになってた
「検視官は引き続き死体の解剖と何か事件の重要な手かがりがあるかもしれないので明日は県警から応援を頼もう」と言うと
「はい?県警から応援ですか?へ?」という不思議そうな顔をしてた
おやじはスーとたって電話口に「おい、○○(署長の下の名前)、明日、県警本部から一人優秀な検視官をよこすように頼め、いいな、忘れるなよ、今すぐ頼め」と言いガシャンと切った
悪ガキ3人組のネットワークはすごい
検視官は唖然とした顔
悪ガキ3人組を知らないから無理もない
しばらくすると電話が鳴った
私が出ると署長からだった
「署長、申し訳ないです、うちのおやじのわがまま、許してください」と言うと
「○○ちゃん、あいつには逆らうと後が怖いから、一応県警本部に連絡したから
明日9時頃に到着すると言ってた、あいつにそう言ってておくれ、捜査のためならわしも協力する、そうそう、本部長がお邪魔してるよな、いじめられてなければいいが、まぁ・・・じゃあお休み」と丁寧な言葉で話かけてきた
「おやじ、署長から明日9時頃着くってよ」と言うと
「そぉか、よおぉし、あいつも役にたつな」と自慢げな顔をしておかずを食べた
検視官はさらにポカンとした顔をしてた
検視官が「おまえのおやじさんは何者だ?」と聞いてきた
「まんま、県警本部長です」と言うと
さらに不思議そうな顔をした
本部長がクスクスと笑ってた
おそるべしガキ大将
おやじの喧嘩の強さは隣村まで有名だったようで
さすが百姓で鍛えられた体
丈夫い
一度署長とガチ喧嘩したそうでコテンコテンにやられて署長も親父の手下になってしまった
悪ガキ3人組の誕生だ
当時の悪評は相当なもので親連中からさんざん言われてたらしい
おやじのおやじ(じいさま)が警察へ呼びつけられるのが日常茶飯事で当時の署長も親父の名前と顔をよく知っててたまに説教もしたらしい(じいさまからよく聞かされた)
だけど今じゃこの悪ガキ3人組の2人が法を守る番人になるとはだれも思わなかっただろう
夜も更けてきてそろそろお開きの時間
検視官と本部長が帰った後に
おやじが「明日、長老の家に行くときにこれだけは守れ「挨拶だけはしろ」、いいな、あそこは代々庄屋の家柄、わしら小作人にとっては親も同然、それとあの家には不思議なうわさ話もある、いずれ話そう」と言うとフラフラと寝室へ行ってしまった
母が「あの長老の家へ行くのかい?粗相のないようにね
長老様にはちゃんと挨拶するんだよ、それと勝手に部屋をうろちょろと見ないこと、いいね、
指定された部屋からは絶対に出ちゃだめだよ、むかし、おとうちゃんが子供のころ長老様に呼び出されて色々と問題を引き起こしたからね、母ちゃんもお父ちゃんの素行の悪さは知ってたけどあの時はさすがにおかあちゃんも引いたわ」と母は心配そうに話しかけてきた
母と父は幼馴染
つまり母は悪ガキ3人組をよく知ってる
母の親は父との結婚には猛反対だったらしい
いくら親同士が知っててもさすがにかわいい娘を素行の悪いおやじにやりたくはない
当たり前だ
母の実家に行くとおやじはなかなか家に入りたがらなかった
やっと意味が分かったときには納得した
母は別に親父を嫌ってはいなかった
むしろお兄ちゃん的な存在
母はよく父の後ろについて遊んでたらしい
知らない人から兄妹と思われてたらしい
そのあとに本部長も加わり3兄妹弟的な存在であったみたい
完全に本部長は手下なのだ
さて明日は長老の家へ行く
早めに寝よう
すこし酔いもあり午前1時ごろに目がふと覚めた
誰かに名前を呼ばれた気がした
体を起こし部屋を見回した
誰もいない
酔ってるのかな、とおもい用を出しにトイレへ向かう途中に
居間の明かりが点いていた
ヒソヒソと話声がする
おやじと母が話しているのかと思い
しばらく聞き耳を立てた
しかし、話の内容がすこし違和感があった
よく聞こえないが「誰を・・・あの子でもいいのぉ・・・村長の息子を生贄がいい・・・○○様も大喜びじゃで・・」と聞きずらかったか聞こえた
私はとっさに警察官魂が沸き起こり父と母に何の話をしているか確認しなければと思い居間へ行った
・・・・・
誰もいない・・・・
明かりがついてるだけだった
え?じゃあ誰の声だったのか・・・・
すると寝室からおやじが出てきた・・・
「おまえうるさいぞ、何してるんだ?」と聞いてきた
「え?おやじ、今起きたのか?じゃあ、だれが居間で話してたんだ?」と
不思議な顔をしてると
「なに?おまえが居間でしゃべってるのかと思ってた、一人でなにをしゃべってた?」と聞かれ
「いや、今さっき起きてきて居間の明かりが点いていたからおやじとおふくろが話してると思ってた
、違うのか・・・」
「おまえ、その話の内容を聞いたのか?」
「聞き取りにくかったけど聞こえた、「村長の息子を生贄がいい」とか聞こえた」
「なに?村長の息子だと!!そっかぁ・・・なるほどなぁ」と言いつつ
「おまえは長老の家へ行くんだろ、もう早く寝ろ」と言うとさっさと寝室へ戻っていった
一体何なんだ!?
ふぅーーとため息をもらして
自分の部屋へ戻ろうと居間の明かりを消すのを忘れてた
居間へ行くと消えていた
え!?消えてる?親父が消したのか?
居間へ行くこの廊下は必ず人が通らないと居間へは行けれない
おやじはあれから一度も出てきてはいない
なんだこりゃ
ふいに眠気がきた
考えるのは後にして自分の部屋へ戻った
そのまま眠りについた
「○○ちゃん起きろ」と呼ばれて目が覚めた
本部長が部屋にいた
時計を見たらもう8時過ぎ
急いで居間へ行き本部長も同席で朝食をした
本部長の顔がいつもと違い何気に緊張している
そりゃそうだろ
悪ガキ3人組にとって長老は天敵
先日の説教をくらったのだから
母が本部長に「くれぐれも粗相のないように、○○を頼みましたよ、○○ちゃん」
「任せておいてください、姉さん、○○ちゃんは兄さんと違って優秀ですから大丈夫です」と言うと
私に向かって合図をした
朝9:00過ぎに家を出て長老の家へ向かった
長老の家へ着いた
車から降りて長老の家を見た
とにかくでかい
広い屋敷
さすが村一番の金持ちだったことはある
門の前で掃除をしている男性がいた
その男性に長老に会いに来たという旨を話したらアポイントは取っているのか?と聞いてきたが
取ってはいないというとその男性は「お帰り下さい」と言われてしまった
仕方なしに本部長は身分を明かし事件の概要の話をしたいという旨を話すと顔色が変わり慌てて
家の中へ入ってしまった
しばらくするとこの家の長たる男性が出てきて「長老は今、部屋の奥にいます、案内をします」と
私たちを奥の部屋まで案内してくれた
段々と本部長の顔が緊張してきたみたいで顔色が悪い
私は長老がいる部屋の前で本部長を残し私一人だけが部屋に入った
広い部屋である
16畳はゆうにある
その奥の真ん中に椅子に座って長老がこちらをみていた
私は丁寧に挨拶をした
「君は○○の子せがれだな、顔の輪郭がよく似ている。目元は母親に似ているな
前日は見苦しい場面をみせてしまい申し訳なかった。だが、あの祠の扉を開けることは村の掟で御法度なのだよ、だからついつい興奮してしまった。まさかあの悪ガキ3人組が扉を開けるとは思わなかった。それに警察官になっているとは思いもしなかった」
と淡々と丁寧な言葉で話し出した
前日のような態度ではなく紳士的な柔らかい口調で話を始めたのだからこちらは拍子抜けになった
だが、100歳にしてはやけに眼力がすごい
何かを見透かされている気分になる
「長老、あの祠はいったい何なのですか?それにあの神社の名前もわかりません、どこにも書いていないのです。郷土の歴史研究家も知らない、と言っていました。何か御存知ですよね?」と尋ねると
「ふぅーーー・・・あの祠の由来は・・・私の父からの話だと江戸時代の時にこの村では大変な飢饉が襲い村人が飢餓でたくさん死んだそうだ。生き残った村人は山の神様が怒っているのだと思い祠をたて神社を祀ったのだそうだ。
一時は飢饉の規模も収まり神さまの怒りも鎮めたと思っていたようだ、だが、3年後に再び飢饉が襲い村人の3分の1が死んでしまった。もうこれでは年貢米も収めることはできず廃村の危機に陥ったようなのだよ。
ところが、その当時の村長が生贄があれば山の神様もきっと鎮まるはず、だと言い出したのだ。村人はそれを聞いて冷や汗が出て内心「村長は狂ったか・・・誰が生贄になるんだ」と村人全員が思ったそうだ。
村長と庄屋と寺の住職は誰が生贄になるのがいいか勝手に決めたそうだ。小作人の喜兵衛の娘がいいと決まりさっそく村長がその決定を喜兵衛の元へ知らせに行った。当然、喜兵衛は怒り心頭、村長を鉈で殺してしまった・・・当然、村の三役である村長を殺したのだから喜兵衛一家は離散。
喜兵衛の妻は村人の色事に使われ発狂して自殺した。娘は庄屋と住職が味見をして生贄にした。確かに生贄の効果はあったようだ。それ以降この村に災厄は一切無くなった・・・
だが・・・時は明治の時代、江戸時代が終わり明治新政府のもと、この村では何の産物もない貧乏な村。
年貢米を納めなくて喜んでいたが産業のない村では現実的にお金を生み出すものが無かった
土地も元々やせていてそんなに多く米がとれる土地ではない
そこで私の先々代が事業を起こしたのだ
絹産業をな・・・当時は政府の保護の元、儲かったようだ
蚕のえさとなる桑を畑で育て絹糸を紡ぎ国内や海外へ売り出したのだ
はじめはうまくいっていた
だが・・・またもや天候異常が起きて桑畑が全滅
もはや絹糸だけでは無理がある
新しい産業を作らないと・・・でももはや資金が底をついていた
もう産業はやめて土地を貸すことにしたのだよ
それが大当たりして今のこの屋敷の基礎になった
だけどな・・・その土地代はほかのところよりも3倍ほど高く土地代を払えないものを容赦なく追い立てて村人から恨まれるようになった
当然、払えないのなら娘や妻を身売りするしかなかった
これが昭和初期まで続いたのだよ
私の父が代をついてからは父はそういう行為を見ていて心底怒りがあったのだろう
さっさとその事業から手を引いた
まぁそれまで蓄えた資金があるから何もせずに悠々と暮らしていけるのだが
・・・やはり神様や仏様はちゃんと見ておる
私の代になり色々な災いが起きたのだ
詳細はここでは話さないが・・・・
そして、事件は起きた
村長の息子が行方不明になった
最後に目撃されたのがあの山だよ
本部長やおやじさんから聞いてると思うが
結果的に行方知れず
時効になった
そして先日の子供の白骨死体・・・・
あれは間違いなく村長の息子だろう
犯人は・・・・・」と話をし始めた時に
ドカドカと刑事たちが来た
県警本部の刑事たちだ
長老の聞き取り調査を県警本部で行いたいと
本部長に言ってきた
当然、本部長は拒否した
長老の年齢もあり無理がある、と言って拒否をしたのだ
だが、捜査令状と県警本部長の命令により署轄の捜査本部は強制的に解散させられた
当然、鬼課長は県警本部へ行き抗議をした
だが、一介の警部では力不足
鬼課長は謹慎処分となった
結果的に主導権は県警本部が握り署轄は一切手を出せれなくなった
当時の新人である私は県警本部の横暴なやり口に腹を立てていた
当然、鬼課長も怒ってた
もちろん酔っぱらいおやじは怒り心頭だったな
今思えば・・・いろいろな不思議な体験・・・となにかしらの闇が捜査の邪魔をしたのかと
今でも思っている
最後に・・・結果的にこの2つの事件は未解決のまま、時効を迎えてしまった
だからあの神社には名称がないのか・・・あまりにも悲惨すぎる村の過去
私の事件の時の子供は今でも見つかっていない
死んでいるのか・・・
どこかで暮らしてるのか・・・・
分からない
作者名無しの幽霊
この事件は過去と密接につながっており
何かしらのヒントがあったはず
まずあの当時の署長の行動が実に怪しい
村長と長老と署長は絶対に知っている
生贄は村長の息子だとして村長が素直に応じたのか
憶測だがかわいい息子を生贄にするわけがない
恐らく長老の圧力によって泣く泣く応じたのだろう
だから署長がたまに様子を見に来ていたに違いない
そこで偶然にもおやじ連中がいたので物陰にでもいて様子を見ていたのだろう
私の件に関しては生贄ではなく単に不審者が子供をさらった可能性が大である
もし生贄なら必ず死体が出るはずである
この後には子供の失踪事件は発生していない
もう平成の時代も終わる
これで因縁が立ち切れれば幸いである