【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編6
  • 表示切替
  • 使い方

仁木くん EP3

僕は大学に仁木くんと言う友達がいる。

仁木くんは霊感はあるが、特に霊能力は持っていないと言っている。しかしコミュ力が高く、そんな話が広がっても友人は多くいた。

ある日いつもの様に仁木くんの所に相談が来た。

仁木くんの高校時代の友達である坂井くんだ。

仁木くんは嫌そうな顔をしつつも、好奇心に負けたように「久しぶり。で?今日は何の用?」とトゲトゲしく言った。

仁木くんの過去を考えると仕方がないと僕は思うし。(そんな奴がよく来れたな)と僕も思った。

仁木くんの過去そして僕と仁木くんの出会いはいつか話そう。

坂井くんは、学校前にも関わらず土下座をしてきた。

「頼む!彼女がヤバいんだ!頼む!」と凄い勢いで叫んだ。

仁木くんは話を聞くから場所を移そうと言い、何時もの学食へと向かった。(話を聞く場所か?)と僕は思いつつも、いつも通り着いて行った。

坂井くんは僕には話を聞かれたくない様な素振りを見せたが、それを見た仁木くんは「タキちゃんは俺の相方で助手だから、ホームズにワトソン君はつきものだろ?それに恩人だし、とにかくタキちゃんが同席する事を拒否するなら、今回の話は聞かないね。」と言った。

僕は(信頼されてるのは良いけど、助手ってなんだよ)と思いつつも、困り顔をしながら坂井くんに会釈した。

坂井くんは「実は彼女が呪い(おまじない)をしたらしいんだ。学校の友達に無理やりやらされたらしいんだけど霊障が絶えないんだ!俺も見たけど確かにアレはおかしい!絶対に普通じゃない!」と最初は冷静に話していたが、言い終わる頃には興奮して言っていた。

仁木くんは「うーん。悪いけど、その具体的なお呪いって何?それが先ず分からないと判断出来ない」と言うと坂井くんはスグに紙を出し僕に渡してきた。

仁木くんは「この紙に書いてあるものがそうなの?」と坂井くんに確認をとった。

坂井くんは頷いた。

仁木くんは「うん。なるほど。とりあえず時間がある日に彼女さんを連れてきてくれない?当然可能な限り早い日にね。あと悪いけど、名前とか生年月日教えてくれない?」と真剣な目で言った。

僕は思わず「すげぇ!」と声に出してしまった。

坂井くんは「分かった」と言うと紙にメモを書き、また僕にメモを渡してきた。

坂井くんは明らかに気分を害していたが、僕と仁木くんは、そのまま解散し仁木くんの家に向かった。

僕は仁木くんに「すごいね!呪い(まじない)まで分かるんだ!」と言った。

仁木くんは笑いながら「分かるわけないじゃんw」と言い、そのまま続けた。「アレは呪いじゃなくて降霊術の一種で有名な奴だよ!」と僕に言った。

僕は「あっ!」と声が漏れてしまった。当然だ、この方法はオカルト等をかじってる人間なら多くが知っている方法だからだ。呪いと聞くとピンと来ないが降霊術と聞くと分かる人にはすぐ分かってしまう。

それから仁木くんはPCに向かい作業をし始めた。

僕がテレビを見ながらゲームをしていると、「ラザニア作ってー」と仁木くんからの注文を受けた。

ラザニアができ仁木くんはPCを見ながら、僕はテレビを見ながらラザニアを食べていた。

仁木くんは作業を終えると、「寝る」と言い寝てしまった。まだ21時前だけどなぁと思いつつ僕も、鍵を閉め、自宅へ帰り、いつもより早く23時頃に寝た。

1時間ほどしたら仁木くんに電話で起こされた。

「何やってんだよ!今家の下にいるから!」と言われ、僕は寝ぼけ眼のまま下へ降りていった。

車に乗ると「タキちゃんは相変わらずラブラブだねぇ。」と意味の分からないこと言ってきた。眠かった事もありその件については無視をした。

僕は「明はいつも何も言わないから困るよ。」と苦言を呈した。

「ゴメンゴメン!でもさ!来てくれるって信じてるからさ!」と楽しそうに言った。

いつの間にか仁木くんは坂井くんと約束をしており、ある学校で待ち合わせをしていた。

学校に着くと坂井くんの彼女は夏だと言うのに長袖を着ていた。

まぁ、夜は冷えると思ったのだろう。しかしこのアスファルトだらけの街の夏は夜だって暑い。

仁木くんと坂井くんは過去にこの学校で遊んだ事があるらしい。2階には侵入できるように細工してあるらしい。しかしそれは一部の人間しか知らない。

また2階に登るために実は外の道具入れの裏に脚立が置いてありそれを使い1階の出っ張っている屋根に登り、脚立を引き上げてその屋根からまた脚立で2階へと登る。2階へと登ると坂井くんは手馴れた様子で脚立を引き上げた。

僕ら4人は学校内を散策しながら他愛もない会話をしていた。

そして仁木くんが切り出した。

仁木くんは坂井くんの彼女と二人っきりで話したいと言った。

坂井くんは嫌そうだが渋々了承していた。

坂井くんの彼女と仁木くんが2-3の教室に入って何やら話している。

その間僕と坂井くんは学校の怪談や七不思議について色々と話していた。

そして急に坂井くんの彼女の叫び声が聞こた、そしてそれと同時に坂井くんの彼女は教室から飛び出してきた。

坂井くんの彼女は仁木くんに襲われそうになったと主張している。

仁木くんは頭を掻きながら「お前は俺を知ってるよな?どう思う?」と坂井くんに聞いた。

坂井くんは「彼女を信じるに決まっているだろ!」と怒りそして、仁木くんと坂井くん、そこに彼女が加わり、そして僕も加わって口論をした。

しかし、僕が「まって!」と叫び「揉めるのはいいけど、一旦場所を移そう。通報されたらシャレにならないし、ここにいる全員にメリットが1ミリもない」と続けた。

他の3人も冷静になり脚立を使い降り、そのまま学校をあとにした。

近くの公園で僕らは、また4人で揉めていたが、途中で通報されてきたのか、巡回中だったのかは分からないが警察の方がきた。僕らはお互いモヤモヤした気持ちを抱えながら、公園をあとにした。

仁木くんの家に着くと、いつも通り僕は「今回の答えは何?」と聞いた。

仁木くんは答えを言う前に「いやぁ、ゴメンね。今回はまさかこうなるとは、にしてもなぁ」と僕に言ってきた。

そして仁木くんは「今回の答えは、全てが自作自演。」と続けた。

僕はキョトンとしてしまった。

さらに仁木くんは続ける「先ず彼女の事をSNSで調べたら、まぁ彼女自体に問題があったんだよ。ここで第1問!彼女はなぜ夏なのに長袖だったでしょう!」と。

僕は「冷え性とか?肌の露出嫌ってるとか?」と答える。

仁木くんは笑いながら「冷え性や肌の露出嫌ってる奴があんな短いパンツ履くかよ!長パンツなり、ロングスカートだろ!」とツッコンできた。

そして仁木くんは続けた「正解はリスカの跡を隠すため!」

僕は驚きを隠せなかった。だってなんで仁木くんがそんな事を知っているのかが不思議だったためだ。

仁木くんは「SNSを調べたら、昔のアカウントが出てきてさ。そこで散々リスカの写真をアップしたりしててね。そして今SNSで言っている言動的に彼氏に対して相当依存していることが分かった」と僕の聞きたいことを教えてくれた。

仁木くんは一呼吸置き「それでね、写真こそアップはしてないけど、彼氏に構ってもらうためだけにリスカをしたと仄めかしてるんだよ。でもそれも最近は段々と反応が薄くなってきたみたいなんだよねぇ」と言い

仁木くんは目を見開きながら「ここからは俺の推測。多分彼女は気を引くために降霊術をしたんだと思う。それに対する彼氏の反応が今まで以上だから、色々とエスカレートしたんだと思うんだよ。俺は彼女にその推測を推測と隠して、さも知ってる事実の様に話したんだよ。そしたらアレだよ」と言った。

仁木くんはため息をつきながら、「でもね坂井くんも俺のあの事を知ってる1人だし、いくら彼女が大切とは言え、今回ばかり俺を信じると思ったんだけどなぁ。」と言った。

ある日から、仁木くんは登録しているアドレス以外からはメールを受信出来ないようにしてる。そしてSNSも監視や調べるためのアカウントのため、誰も知らない。家だって多分今の家は僕しか知らないであろう。

そして仁木くんは久しぶりに登録したアドレスを見ながら指先を動かした。

その後の彼らの事はよく分からない。数ヶ月後、大学生のカップルが変死体で見つかったとニュースに出ていた。

また最近では、そのカップルの噂が広まっていた。霊と交信したとか、やばい人達と関わってたとか。他にも今どき珍しくメールが頻繁に使用されており、その受信欄の殆どが「メールを送信出来ませんでした」と言うキャリアからのメールだっという話もあった。

最後の意味の分からない噂を聞いて、僕は彼らでない事を祈っているばかりだ。

Normal
コメント怖い
4
8
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

@小夜子 様、コメントだけでもありがたいのに、怖いを押していただき誠にありがとうございます。

返信
表示
ネタバレ注意
返信

@小夜子 様、お褒めのお言葉誠に光栄に思います。ホラーはまだ書き始めのため、これからも精進させていただきます。

返信
表示
ネタバレ注意
返信