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中編4
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異酒屋話ー色疑惑ー

桜は散り、すっかり葉桜へと姿を変えた今日この頃

《春さんおかわり!!》

〔…わたしも!〕

夕飯を食べに来ていた華ちゃんと憂ちゃんは凄い食欲でした。

「わかったわ。でも、どうしたの?凄い食欲ね〜」

《明日お仕事なの!》

「お仕事?」

〔うん。一昨日A小学校で起こった事件を調べるの。〕

【それって、下校後に5年生の女の子が刺殺されたって事件?】

ニュースのチェックをしているのか花火ちゃんが口を開いた。

《うん。》

【でも、容疑者として近所の男性が捕まったって言ってたけど?】

〔うん。だけど、なんか違和感があるから手伝って欲しいって頼まれたの。〕

「誰に?」

《巫雅さん!》

「教育委員会の人?」

《うん!》

-----

巫雅さん

この街の教育委員会に勤める公務員さん。

普段は色々な事務をこなしているが、学校関係で起きた事件や現象についての担当らしい。

〈俺らの間じゃ"黒本"って呼ぶんだけどね、その本には学校で起きた怪奇現象や事件についての報告書が挟んでるんだ。

そんで、こないだの事件もそこに挟まれるんだけど読み返してみたら違和感があってね。〉

〔違和感?〕

〈そう。どんな?って聞かれるとまだ曖昧だから言わないでおくね。先入観持っちゃうといけないし。2人にお願いしたいのは今回の事件で犯人を目撃したって証言した子達を調べて欲しいんだ。〉

《調べる?》

〈そう。些細なことでも何でもいいんだ。噂話でも何でも聞いて来て欲しい。〉

《わかった!》

-----

ごく自然に当たり前に会話に入り込む。

《ねぇ、Aちゃんたちって最近何かあったの?》

"ん〜、なんか最近仲良しグループではいないよね〜"

"喧嘩したって聞いたよ?"

《へぇ〜そうなんだ!ありがとう!》

"うん!またね!…ねぇ、さっきの子友達?"

"え?わたし知らないよ。友達じゃないの?…誰?"

きゃーっという叫び声を背にメモを取る

最近は距離がある。っと

ーーーーー

華ちゃんと憂ちゃんの報告を聞き

〈なるほど。よし。学校に行こうか。〉

《学校?なんで?》

〈前に言ってたでしょ?俺の持ってた違和感を見せようと思ってね。〉

うん?

とどこか不思議な顔を2人はしていた。

〈俺が違和感を感じたのは"青い服"って証言なんだ。〉

〔青い服は青い服でしょ?〕

〈そうなんだけどね。問題は夕暮れ時ってことなんだ。あの日は綺麗な夕日が差していた。〉

《それがどうしたの?》

華ちゃんには教室、優ちゃんには図書室に行くように言った。

携帯でグループ通話をしながら

〈さぁ、2人とも俺を見て〉

グランドにいる俺を2人に見せた。

事件の日と同じく夕日が差していた。

《〔あ!〕》

2人は俺が言いたいことがわかったようだ。

〈その距離で、この夕日。青というのは判別しにくいんだよ。もちろん、あのに見えることもある。けれど、見た子達がいた場所はバラバラだったのに全員が全員青と言ったことはちょっと違和感があった。中には黒と言う子が1人くらいいた方が自然なんだ。〉

《みんなが証言を合わせたってこと?》

〈そういうこと。逮捕された男性には前科もあった。〉

〔証言を合わせて男性を犯人に仕立て上げた可能性がある…?〕

〈うん。真相はわからないけどね。もし、男性が冤罪だったらとんでもないことだ。加えて言えば、事件後のその子たちの様子から判断すれば何かしらの嘘をついている可能性が大きい。〉

考えたくはないけど、最悪のパターンは子供達が被害者の子を…

俺の考えは穴だらけだ。

だけど、最悪のパターンを念頭に置く必要はある。

被害者の魂、家族。そして捕まった男性。

色々なことを考えなきゃいけないからだ。

2人には嫌なことに巻き込んでしまった。

だけど、学校という舞台で生きて行く2人にはこのな事が起こりうるってことを知って欲しかった。

〈協力してくれてありがとうね。このお礼はまたするからね。〉

そう言って2人と別れた。

さて、このことを報告しなければ…

ーーーーー

「そんなことがあったのね。」

〈子供って難しいね!〉

なんてことを言う華ちゃんにクスッとしながらも、今回のことで2人なりに色々考えたこともあったんじゃないかな。

巫雅さんは2人の成長のためにも今回の件を頼んだのかな?なんてのは私の考え過ぎかな?

なんて感じた。

「さぁ、2人とも好きなもの言いなさい!なんでも作ってあげる!」

"容疑者として捕まっていた男性に冤罪の可能性が浮上したと関係者への取材で明らかになりました"

報道が流れたのは数日後の話だった。

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