この教室からグラウンドを見下ろせば、ちょうど真ん中辺りにぽつんと建つ、一基のお墓が見える。
その黒い墓石はいつも太陽の光を受けてテラテラと鈍い光を放っている。
なんであんな所にお墓が?と進級した当初は周りの友達に話したりもしたけれど、決まってみんなは口を揃えてそんな墓は見えないと否定した。
あれだけハッキリと見えているのにみんなには見えていない?そんな筈はないと思ったけれど、休み時間にグラウンドへ降りてみたら確かにそんなものはなかった。
実際には存在しないが、教室から見れば存在している墓。
でも僕にしか見えていないのにこれ以上人に話したらバカにされるか嘘つき呼ばわりされるのがオチだろうから、僕はこれに関しては一切口をつぐむ事にした。
でもそれから暫くしてふとグラウンドを見たら、墓が三基に増えていた。三つとも同じように黒くて、三角形を形取るようにして並んでいる。
いくら目をこすってみても確かに墓石はそこにある。誰かに話したかったが僕は口をつぐんだ。でも、後になってそれを後悔する事になる。
夏の体育祭でその事故は起きた。
騎馬戦で下にいた同級生が三人も死んだ。揉み合いになって倒れた拍子になぜか三人の首が折れたのだ。
三人が死んだ場所は… あの墓石が建っている場所だった。これが偶然とはとても思えなかったし、死んだ同級生の中には仲の良かった友達もいたから本当に辛かった。
そして今、この教室からは新しく出現した七つの墓石が見えている。
職員室の前に一つ。体育館の木の下に二つ。そして、西門のそばに四つ。墓石は太陽の光を浴びてテラテラと異様な輝きを放っている。
事件?事故?これだけの人数が短期間で死ぬなんて只事ではない。僕は近いうちに起こるかも知れない大惨事に、今日も怯えながらグラウンドを見つめている。
了
作者ロビンⓂ︎
このお話をもちまして、ついに通算二百話目のお披露目となりました…ひひ…
半分以上はふざけたお話でしたが、これからもどうぞお付き合いのほどよろしくお願い致します。