短編2
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鳥居のマーク

皆さん勿論鳥居とは何かご存知ですよね。

これから話すのは鳥居に関する不思議な話。

ただ、神社の入口でよく見る大きな鳥居ではなく道端に建てられている小さな鳥居の話です。

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私の地元は、周りが山で囲まれた田舎です。

小さい頃の遊びといえば山道で山菜を探してみたり近くにある空き地でキャッチボールしたりしていたものですが

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なぜか道端には200m間隔ほどで50センチくらいの小さい鳥居があるんです。

子供心には不思議でたまりませんでした。

当時地元でもそれなりに偉かった祖父に聞いたところ、それらはゴミ捨て防止として建てられているということでした。

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ちょくちょく街から来た人間がポイ捨てしていくため

「ここは神様の土地です、汚さないでください」

という意味を込めて鳥居を建てていったそうで

実際にその小さな鳥居が設置されてからポイ捨てが減っていったそうです。

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それを聞いた私は当時好んで読んでいたマンガの中に出てきた、鳥居のマークを電柱に描くことにより神様への道しるべにするというものを思い出しまして、もしかしたら同じことをすればゴミも減るんじゃないかと考えました。

後日、私は学校から1本だけ新品のチョークを持ち出して空き地の近くにある電柱へ鳥居マークを描きました。

そこは子供の遊び場ということもありジュースの缶やらお菓子の袋やらが捨てられることが多く、町内会の人達がゴミ拾いに苦労していた事を覚えています。

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近くにある電柱にマークを描き終えると、ちょうど母親が私を迎えに来ました。

その時、私はうっかりチョークをその場に捨ててしまい、そのまま帰ってしまいました。

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その夜、父とお風呂から上がると母親から呼び出されました。

どうしたのかと母親の元へ行くと母は不思議そうな表情で聞いてきました。

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「○○(私)あんたなんでズボンのポケットに土とチョーク入れてるの?」

「え?持ってきてないよ?」

「洗濯するからってポケット見たら出てきたのよ?」

えー?と言いながら出てきた土とチョークを見てみて驚きました。

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それは確かに私が使っていたチョーク。

ほんのちょっと削れたまだ新しい、少し土のついたチョーク。

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次の日、マークを描いた電柱を見にいったのですが

昨日捨てたはずのチョークはやっぱりどこにもありませんでした。

きっと本当にその場所に来た神様が、捨てた私のポケットに戻したんだろうなとなんとなく納得していました。

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ちなみに今もその鳥居マークは、掠れてはいるものの残っており

いつ帰ってもその場所にゴミが捨てられている所は見ていません。

もしかしたら私と同じように、捨てた人の元へ戻されているのかも知れませんけどね。

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