短編2
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体が動かない。

体が動かない。

朝であることは遮光カーテンの隙間から洩れる光で分かる。意識はある、目も見えるが目を動かすことはできない。

なぜだ?

今日の朝から夏休みを利用して1か月間アジアの旅に行く予定だ。

体が動かない。

家族と暮らしていれば誰かが来てこの状況が何かわかるかもしれないが一人暮らし。

冷静になり考えた。神経の損傷が原因なのか。それとも夢の中なのか。

体が動かない。

体があるかという感覚もない。マヒしてるような感覚。ハエが飛んでいるのが見えた。顔に止まるがはらうこともできない。

睡魔が襲ってくる。

体が動かない。

遮光カーテンから洩れる光で何日たったかおおよそはわかる。10日間・・・・。

死んでるのか?お腹もすかない、排泄の感覚も無し、この状況だと垂れ流しかもしれない。嗅覚もない。

体が動かない。

目の前に白い糸があり動いた。何かわからない。その糸が目の中に入って消えて行くように見えた。

睡魔が襲ってきた

体が動かない。

帽子をかぶった数人の男、警察官だ。父の顔も見えた。私と目が合うが目を背け手で顔を押さえ泣いている。

睡魔が襲ってきた。

友人たちの顔が見えた。花を私の体の周りに置いたようだ。泣いてる顔ばかり。

やがて板で覆われ真っ暗になった。死んでいるのだろう。でも意識もある目も見える。

体が熱い熱い、体の感覚が戻った、手も動く足も動く。熱い・・・熱い・・・・熱い・・・。

体が動いた・・・・・。

Concrete
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