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中編3
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覗き窓

「覗き窓」と言ってもピンとくる人は少ないでしょう、何となく意味がわかるかもしれませんがある業界ので使われる言葉です。

「覗き窓」とは葬儀業界で使われる言葉です。棺桶の中に入っているご遺体の顔を見るための窓で開け閉めできる小さな扉がついている窓です。

葬儀会社に勤めているKの話です。今でも何がなんだかどうなったのかわからない出来事があるそうです。

通夜が終わると葬儀場内の部屋に棺を移し家族が亡くなった人とご一緒に一晩過ごすのが普通です(地域差もあるでしょうが)。

でもその家族は家が近いから家で泊まり早朝戻ると言い出しました。

Kは「最後の夜は亡くなられた人とご一緒がいいかと思いますが?」と嫌味半分言ったそうです。でもその家族は家へと戻りました。

その夜の泊まり番はK、会館内で一人でご遺体とすごすことになりました。

Kは仕事柄なのか

(人間死ぬ、そんなことは当たり前、幽霊?お金払ってでも見たいわ」という男です。

いつものように館内を見回りして窓、ドア、全ての鍵をかけました。警備会社と契約してるので全て施錠するとランプがつきます。

ランプを確認して受付横の休憩仮眠室に入りました。館内も館外にもモニターカメラがついています。そして4画面分割され16箇所が映り録画されます。

今まで事故事件などあるわけではないので録画など無意味でした。

早朝、その家族が来られ棺が置いてある部屋に向かわれました。

バタバタ・・バタバタ・・バタバタ・・スリッパの音、そして喪主が

「何したんだ?何で?どうなってんだ?」意味がわかりませんが怒鳴ってました。

Kが棺を置いてある部屋に行き、棺の覗き窓と見るとそこには足がありました。顔があるはずなのに足なのです。

ご家族にとっては私が遺体を逆にした?いや棺の蓋を左右逆にしたとしか考えられません。

Kにとっても?????です。

「葬儀終ったら話するからな」そういわれても仕方がありません。

社長に詳細を話しましたが

「Kさんがそんなことする意味もないし・・家族かな・・・家族の誰かが冗談半分にしたのか、棺の蓋を開けて間違えて逆にしたかだな」

そこで活躍したのが録画でした。早送りせず葬儀そして火葬場、中陰と言われる法要までの時間じっくりみました。

Kがご家族と線香や蝋燭の話を棺の前でしている場面、普通はご遺体の入っている棺の前のお線香や蝋燭を絶やさないのです。家族が交代で番をするのです。

覗き窓がKの手で閉められるところが映ってました。同じように覗き窓を見る家族3人、その時点では普通だつたことを意味してます

そのあと家族が家の戻ると言い出したのです。蝋燭と線香を消す家族、その20分後Kが火の元を確かめに部屋に入る姿、棺には触ってません。

あとは朝まで棺と部屋が映ってるだけです。

家族にそれを見せても納得しません。後日弁護士が来ました。

名刺を差し出し

「いや・・・いろいろな案件扱ってきましたが・・・・」と半分笑いながら言いました。

社長とKが詳細に話し、弁護士は家族側の話とすり合わせてるようでした。

証拠となる録画されたCDを渡しました。数日後弁護士が来て

「・・・わかりませんね、・・わからない・・不思議です・・・もう一度聞かせてください」

「家族で棺の中を最後に見た場面あるでしょ?そのとき顔がありましたか?顔が・・・」

「ええ、足があったら腰抜かしますよ、顔でした、間違いないです、それはあちらのご家族も知ってるはずです」

「ええ、ですが・・そのあとあなたは出て行かれ家族だけ、でも家族は棺には触ってません・・・・」

「で、ご家族が帰られ、あなた、Kさんが部屋を覗かれましたね火の元確認で・・・そのあと誰も部屋すらはいってないですね」

「カウントも間違いないですし」カウントとは時間の変遷です。

「わからない・・・ご家族も今では不思議というか気味悪がって・・・実は私もです」

「これ裁判にしても・・・どうにも・・・・ならないです・・・私らの経験では・・・答えがでないかと・・・」

そのまま話が流れました。誰が?・・・・・何のために・・・・わからない・・・・と言っていたKです。

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