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短編2
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おばあちゃん

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もう何十年も前、僕が小さい頃に経験した実話です。

お化けも霊も出て来ないし、猟奇的な事件も起こりません。

ゾっとしたり、ヒヤっとしたりもしません。

聞いてください。

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小学校の低学年の夏休み、親戚と一緒に街で遊んでいました。

そこは地方都市では栄えていた街で、当時の休日は、歩けないほどの賑わいでした。

お金もない2人は、涼しい場所を探して銀行に入ったり、デパートに入ったり、そんな事でも楽しく遊んでました。

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ある大きな交差点で、着物を着た上品なおばあちゃんを見かけました。

交差点にはとても多くの人が信号待ちをしていました。

おばあちゃんは、ボロボロの紙を見せながら、いろんな人に声を掛けていました。

しかし誰も見向きもしません。

僕たちも、新たな涼しい場所を探してあっちこっちに移動していたので、急いでいました。

青になった途端に「あっちにも銀行あるぞ!」なんて言いながら走って交差点を渡りました。

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数時間経ち、またその交差点に行くと、そのおばあちゃんは、まだ居ました。

何を訪ねているのか…と聞き耳を立てると、人を探している様でした。

「おばあちゃん、誰を探しているの?」

と、僕が聞きました。

誰にも相手にされていなかったおばあちゃんは、とても喜んで話をしてくれました。

「まぁ!僕、探してくれるの?探しているのはね、君たちと同じぐらいの男の子だよ」

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僕たちは言いました。

「それなら判り易いや。探してあげる。どんな服を着ているの?」

「黄色い帽子を被っているから目立つはずよ。白いシャツにベージュの半ズボンよ」

とても古い紙に描かれた、その子の風貌のイラストを見せられました。

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僕と親戚は顔を見合わせて言いました。

「おばあちゃん、僕たち今日は、ずっとここら辺で遊んでるけど、そんな服の子はいなかったよ」

おばあちゃんは言います。

「そんな事ないわ!ここで手を離したのよ!ここで別れたのよ!」

おばあちゃんは「いない」という言葉に、急に荒々しい返しをしてきました。

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僕たちはまた顔を見合わせて下を向きました。

「判ったよ。探してみる。ねぇおばあちゃん、その子と、いつごろ別れたの?」

と聞いた僕たちに、衝撃的な返答が返ってきました。

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「この前の戦争の時に…」

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そのおばあちゃんは、戦争の最中に生き別れた子供を、何十年も何十年も探していたのです。

その頃は僕はまだ子供で、「えっ…。もういないよね」と親戚と話し、探すフリをしてどんどん遠ざかりました。

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でも今、大人になって考えると、とても悲しく、つらい話なんだと思いました。

今でも探しているのかな。それとも天国で逢えているかな…と今でも思い出したりします。

Concrete
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@Y・Y さん
そうですね。その通りだと思います。お母さんが我が子を探していたのでしょう。
自分だけ年を重ねてしまい、でも探している対象は、ずっと小さなままで…。

今は二人で笑っているなら良いなぁと思います。
コメントありがとうございました。

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