こんにちは。こんばんは。
呪いでも恐怖でもなく不思議な感覚を
YouTubuネーム「吉野貴博」です。
物事には全て最初がありまして、私も二十歳を過ぎるまでは不思議な体験謎な話を経験したのは一度しかなく、それは「旅行の話」をテーマにしたときに話しますが、まぁ零の零感でした。
今回はこの零が二、三になったのはこのときだ、という話をします。
三十年くらい前の話です。
インターネットが普及する前にパソコン通信というものがありました。
ほとんどテキストスタイル、文章のやりとりで、絵を発表する人もいましたが表示に時間がかかり、限られた通信速度では時間がかかって電話代がかかったものでした。
パソコン通信は別の言い方ではBBS掲示板と言う人もいて、商用利用のニフティサーブとかアスキーとか大手企業が提供しているサービスと、個人のお金持ちが機材を取りそろえ開局し、草の根BBSと呼ばれるものがありました。
BBS電話帳てのが本屋で売られるほどだったんですよ。
1990年代に入ってから私は一つの個人運営のところに入会し楽しんでいたのですが、その中に心霊関係に詳しい人がいまして、最初はその人からパワーストーンのことを教えてもらいました。
家の近くに石屋さんがありまして、そこで水晶を買ったらとても具合がいい。そう書きましたら
「相性の良い石と巡り会いましたね。水晶は素直な石ですのでいい力も悪い力も素直に増幅します。具合がいいのはなによりです」
と言った感じです。
そうこうしているうちに、その人が
「悪魔との契約の仕方」を知っているということを知り、「教えて教えて!」としつこくせがんで、教えてもらったんですよ。
みなさんはおまじないって信じたりやったりしますか?
小学生の「恋のおまじない」なんてのは本でみたりしますが、大人になって「なくし物が出てくるおまじない」で、
「こびとさんこびとさん、お願いですから隠した○○を返してください」
と言うと、今までさんざん探していて見つからなかった場所にそれが置かれているのって、ネットのこぼれ話などで見ることがありますが、私は一度やって出てきたことがあります。というか、やって効果が無かったときの失望が怖くて一回しかやっていないというのが実際です。
で悪魔を呼び出す方法なんですが、具体的な方法は難しくて覚えられませんでした。なので実行はしていません。
忘れられないのがその最後、
「今のあなたから見て天井の右後ろの角を見てください。次に右前の角を見てください。そして左前の角を見てください。そして左後ろの角を見ると
私がいます(笑)」
うーむとなりまして、また雑談をしているうちに、その人が仲間と定期的にあって、力で遊んでいるということを言われまして、その場に参加させてもらえることになりました。
夕方遅くに駅に着きましてその人が迎えに来てくれ、一緒にファミリーレストランに行きました。
中には二人待っていて、「はじめまして」と挨拶。
いろいろお話を聞かせてもらったのですが、覚えているのは
「悪魔を呼び出すと、物語では爆発だの硫黄の燃える匂いだのがあって出てくるといわれているけど、このあいだ言った方法だと、そんな劇的な出現はしません。なんとなく(来たかな?)という気配がして、その気配を掴んで呼び寄せないとダメ。
それに失敗すると「こいつはダメな奴だ」と見られて、また儀式をやっても当分は来てくれなくなる」
「命と引き替えに三つの願いを叶えてもらうってのもあるんだけど、それよりも願い事と同じくらい大事なものを渡すのが一般的。名前とか記憶とか大切なものとか」
てのを覚えています。
ちなみにそのお三方、マンガ「ドラゴンボール」の影響を受けたのか解りませんし、霊能力とは言いませんでしたが、その力が何十万!みたいなことを言っていて、私を抜いた三人での会話がハイレベルなんですよ、そのうち一人が何か確認が必要なときに、手のひらで空間に文字を書く、書いているときに指先でも文字を書くという、オカルトの特殊な文字を使う人でした。
紙に書くとしたら手のひらに墨を塗って、指先に筆をくくりつけて書かないといけない、そんな面倒なことはしないからその人も紙に書かれたらどんなふうに見えるのかは知らないと笑っていました。
今でしたら撮影してコンピューターで動画解析してどんな文字を書いているのか調べられるでしょうけど、当時は三十年前ですので、そういう機械を持っている人がいても怪しげなオカルトの究明には使わせてくれなかったでしょう。
他にも私の部屋を霊視してもらったり、私のぬいぐるみに付喪が付いたかもしれないとか言われました。
一番興味深かったのは、二人が「やるか」と対面に座り、両手で印を結び、目を固く固く瞑って集中し、片方が、組んだ印を相手に突きつけると、相手が目を瞑ったままそれを印を結んだ手で受けるんです。そして瞬時に相手に放ち返し、と勝負を始めたんです。
いやーこれは凄いと見とれてしまいました。
いや、私も中学高校大学と普通に通っていますと、下級生や同級生にオカルト好きがいまして、いろいろと教えてくれるんですよ。
覚えているのは九字の印を結ぶことで、マンガですと一動作ずつ描かれてしまうから途中が解らない、こんど映画「孔雀王」が公開されるから、そこでは途中が見られるかもしれないとか、九字の印は終わったら解かなきゃいけないんだけどたいていの人はそれを知らないとか教えてくれる後輩がいまして、
そういうオカルト好きの人が「教える楽しみ」をしているときの顔って、共通するものがあると思うのですよ、
この三人は私の経験したそういう共通点には入っていなくて、私も最初から呑まれてしまっていたんですが、この目を閉じた勝負で完全に信じました。
それに結局、その人たちも私にお金を要求したり、行動を強いたりしませんでしたからね、私みたいなものを騙して何の得もない。
あ、ちなみに後年、現代アート作家さんによく会う機会がありまして、その空中に文字を書く手法って現代アートの作品作りに使っているか聞いてみたんですが、私が聞いた人はみなさん「いやー、初めて聞いた。なるほど、そういう手法もあるのか」と言ってまして、やってる人はいるかも知れませんがそれほど知られた手法でもないみたいです。
ええ、合理的に考えれば、その人たちは無茶苦茶オカルトの知識に詳しくて、自分がそういうことを出来ると思っているだけの人たちだという可能性もあるかもしれません。何かの本にそういうオカルト文字の書き方が書かれていて、一生懸命練習して、流ちょうに手を動かせるようになったのかもしれません。
しかし目を瞑って相手のどこか一点を指し、受ける方も目を瞑ってそこに両手を置き、攻守替えて次の瞬間に相手のどこかを指して相手もそこに受けてまた相手のどこかを指してを卓球並みの早さで続けるのを目の当たりにしますとね、ひえ~てなもんです。
ちなみに現代アート作家の一人が
「いや、その人たちがあなたを騙そうとしたんなら、それこそお金を払わないとダメでしょう!」と感心しておりました。
そのうちにお別れの時間が来まして。
「あなたは白か黒かと言えば間違いなく白です。それであなたの力は、零だったのが、今日私たちに会って、まぁ二、三くらいにはなったでしょうかね」
と言いました。
これはまぁリップサービスかなぁと思いましたけどね、自覚もありませんでしたから、
しかし今になってみると、後にいろいろと不思議な体験をするようになった切っ掛けって、この夜の出来事だと思うのですよ。
しかしこの人たち、予知をする力は持ってなかったようで、後に私も力が百とか千にこそなりませんでしたが、全く別な方向に働いたようなのです。
それを次回、「神様の話」でしたいと思います。
別に信仰に目覚めたとか、どこかの宗教に入ったという話ではありません。低い能力、低能力者として神様と接するようになれた、という話です。
さてさて、今日お話ししたことは三十年くらい前にあったことでして、この三人の名前とか詳しい場所とか、特定する情報は覚えていないのですが、解る人には解るかもしれないことがあります。
駅で待ち合わせてファミリーレストランまで連れて行ってくれた人が、お店に入って一人と顔を合わすなり
「おめーよぉ、なにやらかしてんだよ!」
「えー。あんまりうるさいんで、ぶっ潰してきた」
当時心霊スポットとして有名な、相模外科病院のことだそうです。
作者吉野貴博
YouTubeに体験談と自作朗読を交互にアップしようと初めまして、創作話は「なろう」に投稿したのを読んでおります。体験談は文字をアップするつもりはありませんでしたが、ここに出してみようかなと。
別に怖い話ではないです。
原稿ですので実際の録音とは細部が違うかもしれません。
YouTube音声版 http://bit.ly/2JT0Pdd