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中編4
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更にもう一つのヤマノケ

皆さんは伝説の怖話、「ヤマノケ」そして、「もう一つのヤマノケ」をご存知だろうか?

知らない方のために一応コメント欄にでも添付しておきます。

今回お話しすることは、つい先日俺の周りでおこった出来事がこの「ヤマノケシリーズ」に非常に酷似していた事から(嘘)、皆さんにも注意して欲しいという意味で書いてみました。

それでは、最後まで読んで頂けたら幸いです。

1

その日俺は後輩の山村龍と、居酒屋で呑み、美人ママがいると噂のラウンジでボッタクられて、お互い無言のまま帰路についていた。(もちろん飲酒運転)

夜も更けていて、道ゆく人や車もまばら。国道をそれて俺たちの車は暗い山道に差し掛かった。

給料日までまだ10日もあるのにこんな身包みはがされちまって…これからどうやって生きていこう。後輩に払わせるわけにもいかないし、やっぱカッコつけて全額払ったのはマズかったかな?

カッコ悪いけど、龍に一万借りようかしら…などと考えながら龍をチラ見すると、バカみたいに赤い顔をした龍がタバコに火をつけていた。

「おう、てめえ!何やってんだよ?!この車禁煙だぞコラ!」

「あっ!兄貴さーせん!忘れてました!」

慌てた龍が咥えていた火のついたタバコを、あろう事かシートとシートの隙間に落としやがった。

「おい!てめえこんにゃろ!ブッコロされてーか!!」

「さーせん!さーせん!さーせん!」

龍は必死にその隙間へ手をつっこもうとするが、グローブみたいな分厚い拳が狭い空間に入るはずもなく、次第に車内は焦げくさいにおいで充満し始めた。

「こ、ここ!これしかない!」

すると追い込まれた龍は信じられない行動に出た。なんとホルダーにささっていた缶ビールを俺の新車のシートにブチまけたのだ。

とりあえず車を山中の路肩にとめ、土下座する龍の頭をボコボコにしていたら、森の中から女の悲鳴のような声が聞こえた。

「な、なんだよ今の?」

「うう…。これはたぶん鹿ッス。鹿が鳴いたらこんな声だって前にも教えたじゃないですか兄貴」

「あんだとてめえ偉そうに!まだ殴られたいか?ああ?」

「ちょっとまってください静かに!なんか聞こえません?」

耳をすますと確かに暗い森の奥から、ガサ、ガサ、と何かが近づいてくる音がする。しかもまるでぴょんぴょんと飛び跳ねているような音だ。

「鹿か?」

「これはたぶん違います…動きが鹿とも猪とも似ていない…これってもしかして…」

次の瞬間、龍は俺の車を指差して悲鳴をあげた。「うわー!兄貴!なにやってんすか?!か、カラス!前輪でカラス轢いちゃってますやん!」

見ると、確かに黒いカラスが俺の車に踏み潰されている。腹はねじれ、クチバシはもげ、目玉も飛び出していた。

「はやく!はやく逃げないとヤバイすよ兄貴!これはヤマノケッすよ!カラス轢いちゃダメですってバカだなー!何やってんすかアンタ?!!」

俺と龍は急いで車に乗り込み、エンジンがかかった事に安堵した瞬間、フロントガラスに何か巨大なモノがぶつかってきた。

そいつはボンネットに飛びのると、熊みたいな毛むくじゃらな太い腕でガラスを叩いてきた。それはいままで見てきた動物とは明らかに違う、人間でいう胸のあたりに大きな顔がついていた。

そいつはドロドロになったガラスを撫でるようにしながら、車の中を覗きこんできて、大きく口を開けバラバラな歯を見せた。

「おい龍!大丈夫か?!」

後輩の身を案じ隣りを見ると、龍も大きな口を開けて、ぼろぼろと涙を流していた。

俺はしばらく気を失っていたようだ。

数分かもしれないし、もっとかもしれない。一瞬、夢かと期待したが、フロントガラスはドロドロで、ヒビも入っていた。新車なのに。

幸い、近くにあのバケモノの姿はない。

隣りの龍はまだ寝ているようで、夢でも見ているのか何やらぶつぶつ言っている。

耳を近づけると、「ハイレタ、ハイレタ、ハイレタ、ハイレタ」などと、意味不明な言葉を繰り返すばかりだ。

「ちょっと待て!『ハイレタ…』って、何かどっかで聞いた事があるぞ?」次の瞬間俺はハッ!とした。

急いで最近はアクセスしていなかった、日本一のホラー小説サイト「怖話」を立ち上げ、「特選の話」から「ヤマノケ」という話を探しだした。

ヤマノケを読み終わり、ついでにもう一つのヤマノケも読み終わった瞬間、俺はアクセルを目一杯にふみ込んだ。

「寺!寺!寺はどこだ?!龍がやられた!!警察も病院もダメだ!寺!寺に連れてかねーと!!」

5分ほど走ると幹線道路にでたので少し安心した。俺は車を止めて、スマホのホームボタンを長押しした。

「へい、Siri!一番近くのお寺を探して!」

Siri「すみません、聴き取れませんでした」

つづく

Concrete
コメント怖い
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夜行バスさ…失礼!夜行列車様、この度は僕の「実話恐怖体験」に怖ポチ&コメントをベリーベリーマーマレードです。
パンにマーマレードをつけて食べると美味しいですよね?最近発見しました。
はい、えっ?…いえいえ、僕は笑わせにいったつもりはこれっぽっちもありませんよ?至って真面目に…ひひ…
これからもよろしくお願いします!

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