『ナギナミの別れ』
~生と死の理由~
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日本の基盤となる島を生み出したナギナミの二柱は、それからも続々と神々を生み出していきます。
風の神、土の神と、ビッグダディも裸足で逃げ出すペースで次々に生んでいきました。
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そんな折、ナミが火の神『アマノカグツチ』を出産する際、アマノカグツチの力のあまりの強さに、ナミは焼け死んでしまいました。
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神様に寿命はないけど、死ぬことはあるんです!(威圧)
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そこで、ナギは怒りのあまりにアマノカグツチを十拳剣(とつかのつるぎ)で3つに斬って殺してしまいました。
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最愛の妻で妹のナミを失ったナギは、会いたくて会いたくて震える毎日の中で、死者の国である黄泉の国へ行き、ナミ奪還の決意をします。
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ナギは真っ暗な黄泉平坂(よもつひらさか)を進んで、黄泉の国のナミがいる所を見つけました。
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ナギ「一緒に帰ろう」
ナミ「帰りたいけど、こっちのものを食べちゃったから帰れないの」
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何度も執拗に食い下がるナギに若干イラッとしたかはわかりませんが、ナミはとうとう根負けし、
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「帰れるように頼んでくるから、いい子で待ってて」
と、
「それまで絶対こっち見んなよ!」
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と固く約束させました。
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ナギはワクワクしながら待ちますが、待てど暮らせど一向にナミは現れません。
戻るまで寝て待ってればいいものを、律儀に起きて待っていたナギはシビレを切らせて、とうとう約束を破って見てしまいました。
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ヒドイ火傷でイカついことになっていたナミを見たナギは、夜中にトイレに入ってたら急にお母さんに電気を消された時より驚いて、ビビりながら一目散に逃げました。
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姿を見られた上に、乙女心を著しく傷つけられたナミは、殺意しかない顔でナギに追っ手を差し向けます。
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アグレッシブなリビングデッドの黄泉醜女(よもつしこめ)たちに追いかけられ、恐れおののきながらダッシュで逃げるナギでしたが、
追っ手の醜女はモモを高く上げながら走るインターハイの陸上選手ばりに速く、今にも追いつかれそうです。
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そこで、苦しまぎれにその辺に生えていた山ブドウを投げつけてみると、よほどおなかが空いていたのか、醜女たちはそれに食いつきます。
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ですが、その後ろには他の醜女たちがいましたから、焼け石に水でした。
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今度は、そこら辺に生えていたタケノコを引っこ抜いてぶん投げます。
すると、生のタケノコに醜女が食らいつきました。
生のタケノコなんてアクがスゴそうなのに、醜女は大丈夫なようです。
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それでも、追っ手はまだまだいます。
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ナギは命からがら黄泉平坂を抜けて現世に帰ると、これまた都合よく生えていた桃を見つけ、
渾身のストレートで醜女に向かって投げつけると、醜女たちはアリのように桃に群がり、なんとかピンチを切り抜けました。
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ですが、その後ろから鬼の形相のナミが現れ、ナギは慌てて大岩で出口をふさぎます。
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ナミ「おい、てめぇ!このやろう!!見んなっつっただろうが!こっち来いよ!ぶっ殺してやる!!」
ナギ「ホンマすんません!もう帰ってこなくて大丈夫なんで、とっととお帰りください!!」
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岩越しの口論の末、ナミは怒りと悲しみの入り雑じった声でナギに言います。
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ナミ「これから毎日、お前んトコのヤツを千人ずつ呪い殺してやるからな!!」
ナギ「わかった…じゃあ、エブリディ千五百人ずつ生むわ」
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こうして、現世の命には生と死が起こるようになったそうです。
続く?
作者ろっこめ
早くも第二回を迎えてしまいました。
この話は、割りと有名な話かも知れません。
わたしは、古事記に出てくる神様たちが意外に人間くさいところが好きです。
日本の昔話では、よく『見てはいけない』という制約がかかるものが多いですが、これが元祖なのかも知れませんね♪