『三貴神誕生』
~神の三姉弟~
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黄泉の国から帰ったナギは、体を清めるために禊(みそぎ)という名の入浴をします。
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入浴と言っても、ただの水浴びです。
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すると、ナギの左目からアマテラス、右目からはツクヨミ、鼻からスサノオという三柱の神が生まれました。
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ナギはアマテラスに高天原(たかまがはら=天界)を、ツクヨミには夜の国を、スサノオに海を治めるように命じます。
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それぞれポジションについていましたが、末っ子のスサノオは、ちゃんと海を治めることをしませんでした。
何故かと言うと、「母ちゃんに会いてぇ」という、およそ神様の口から出たとは思えない発言をし、周囲をドン引きさせて、海の統治を解任されたからです。
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「お前生んだん、イザナギってオッサンやで?」と言うツッコミはさておき、居場所を失ったスサノオは、姉のアマテラスの治める高天原に転がり込むことにしました。
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これに驚いたのはアマテラスです。
散々問題を起こして無職になった弟を養うなんて、人間でも御免です。
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素行不良の弟スサノオに、アマテラス的にも高天原を乗っ取られるのではないかと疑心暗鬼になります。
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天界である高天原を守るべく、アマテラスは完全武装で出迎え、
「どっか行け!こっち来んな!」
と言いますが、末っ子のスサノオは持ち前のワガママを発揮し、なかなか出ていこうとしません。
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度を超えたわんぱく小僧とは言え、身内でもあるアマテラスは、スサノオに一つ条件を提示します。
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「まずはお前の剣をよこせ!それを噛み砕いて、私は女神を作る。お前は私の勾玉を噛み砕いて男神を作ってみせろ!出来なかったら大人しく帰れよ!」
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これには戦意がないことを確かめる意図があったそうですが、何でそうなるのかはイマイチ不明です。
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予想に反して、スサノオが噛み砕いた勾玉から男神が作れちゃったので、アマテラスは仕方なく滞在を許可しました。
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ちなみにツクヨミの出番はもうないです。
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高天原での滞在を許されたスサノオは、暇をもて余して好き勝手に暴れます。
田んぼのあぜ道を意味もなく埋めたり、御殿の周りにうんちを撒いたりと、今時の5歳児ですらドン引く所業をイキイキとやってのけます。
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体は大人、頭脳は子供のようなスサノオですが、実姉に統括者のアマテラスがいるため、周りの神々も強く言えません。
モブ神たちの不満は、日に日に募っていきました。
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モブ神たちの苦情をなだめていたアマテラスでしたが、ついにスサノオがとんでもないことをやらかします。
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神への捧げ物の神聖な布を織る機織り場の屋根をぶち破り、そこから皮を剥いだ馬を投げ込んで、中にいた女神たちが大パニックを起こし、一人の女神が死亡してしまったのです。
全く意味がわかりません。
ついに死者まで出した規格外のクレイジーに向けられた不満が臨界点を超えてしまい、ろうそくデモも辞さない構えのモブ神たちに詰め寄られたアマテラスは、とうとう岩戸に引きこもってしまいました。
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太陽神であるアマテラスが引きこもってしまったので、世界は闇に包まれます。
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唐突にやって来た世紀末に神々は困り果て、知恵者と名高いオモイカネという神に相談すると、
「岩戸の前でテンアゲでパーリナイして、気になったアマテラスが顔を出した所を引っ張り出そう!」
という、頭がいいんだか悪いんだかわからない作戦を決行します。
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この時に皇室三種の神器である八咫之鏡(やたのかがみ)と八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)が作られたそうです。
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岩戸の前で宴を開き、榊の木に八尺瓊勾玉を引っかけて雰囲気を出しつつ、アマノウズメという女神のエモくてエロいダンスもオーディエンスを沸きに沸かせました。
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宴もたけなわった所で、外が騒がしいことが気になったアマテラスは、岩戸の外に話しかけます。
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アマテラス「何をそないに盛り上がっとんのよ」
モブ神「それが、アマテラスさんよりスゴい神様が来てくれたンスよ」
アマテラス「う、うせやろ……」
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そう言ってアマテラスが岩戸をちょっと開けて覗くと、そこにすかさず八咫之鏡をかざしました。
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アマテラス「いや、これワシやないかい!」
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茶目っ気がイカついアマテラスが騙されたことを察知し、岩戸を閉める寸前にゴリゴリマッチョ神が岩戸をグッと押さえつけて開けたのを合図に、
みんなでアマテラスを引きずり出し、岩戸を注連縄(しめなわ)でグルグル巻きにして、もう入れないように封印します。
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こうして、世界に光が戻りました。
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アマテラスはオイタが過ぎたスサノオに高天原追放を言い渡し、ピースクラッシャーことスサノオが下界に降りることで高天原に平和が戻りました。
続く?
作者ろっこめ
よくわかる古事記も3回目になりました。
読んでくださっている皆さまも、古事記に何かしらの興味を持っていただけていたら幸いです。
アマテラスもツクヨミもスサノオも名前は知ってるけど、よく知らないという方も多いと思いますが、ツクヨミに関しては本当に記述が少ないので、わたしにもわかりません。
クセが強い姉弟がいるからキャラが薄くなったのか、夜の国に行ったから影がなくなってしまったのか、その辺は謎です。