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大学の同級生、Yから聞いた話である。
以下、Yが語った事である
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〈1日目〉
大学進学の為に引っ越して、半年。
バイトが終わって深夜に帰宅した俺は、部屋でまったりとテレビを見ていた。
夜中の2時過ぎだっただろうか。
『ドン』
shake
壁がドンと叩かれた。
半年にして、初めての経験だ。
テレビの音、うるさかったかな?
俺は首を傾げて、テレビのボリュームを小さくした。
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〈2日目〉
今日もバイトだった。
疲れた!
風呂上がりにビールを飲みながら、テレビを見ていた。
やはり、深夜2時過ぎの事。
『ドン』
shake
『ドン』
shake
今度は2回壁をドンドンされた。
昨日よりテレビの音は小さいのにな。
神経質な人が住んでいるのか?
新しく引っ越して来たのかな?
明日からは、ヘッドホンで音を聞こう。
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〈3日目〉
今日はバイトが休みだった。
だが、レポートの提出が明日だったのを、すっかり忘れていた
慌てて取りかかる。
今日は徹夜だ。。。
最近はめっきり昼夜逆転の生活だな。
朝早くの講義がなくて、助かった。
音楽をお気に入りの高級ヘッドホンで聞きながら、パソコンに向かう。
コーヒーを煎れようと立ち上がる。
時間はやはり、深夜2時過ぎ。
今度は壁ドンではなかった。
『ドン ドン』
shake
shake
玄関のドアが叩かれた。
恐る恐る玄関へ行き、ドアののぞき窓を覗く。
魚眼レンズ越しの歪んだ廊下に、見覚えのない中年男性が立っていた。
もしかして、隣の人?
文句を言いにきたのか?
ただ、深夜だから対応する気になれず、居留守を使う事にした。
しばらくすると、男は居なくなった。
かなりの恐怖体験だった。
神経質というより、病的だ。
続くようならば、不動産屋に相談すべきだろうか。
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〈4日目〉
今日は警戒していた。
これ以上に壁ドンやノックが続くなら、不動産屋に言おう!
証拠も録音するつもりでいた。
深夜2時過ぎ。
きた!!
『ピンポーン』
sound:16
俺はビクっとした。
気配を殺し、ドアの覗き窓を見る。
すると
そこには有名な出前の店の兄ちゃんがいた。
確か、朝の6時まで頼めたんだっけ?
意外に冷静な自分がいた。
『ちわー。出前です』
兄ちゃんは言った。
俺は頼んだ覚えはないが、とりあえずドアを開けた。
『Yさんですか?ご注文の××です!』
兄ちゃんの言った注文主は確かに自分だ。
これも隣人の嫌がらせか?
ここで揉めても仕方ないので、金を払い商品を受け取る。
一人前で助かった。
小腹もすいていたので、食った。
金は払ったんだから、当然だ。
美味かったから、許してやってもいいか。
領収書は貰ったので、後で隣人に請求しよう。
お腹がいっぱいになったので、寝るとする。
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〈5日目〉
その日の夕方、不動産会社に連絡をした。
時間が遅かったからか、その日は担当が来れないらしい。
翌日来てくれると言うことで、ひとまず安心。
その日は早めに就寝したせいか、隣人からの嫌がらせはなかった。
ただ、寝入りばな、微かに壁を叩く音が聞こえた気がした。
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〈6日目〉
夕方に、不動産屋の担当の人が来た。
隣の部屋へと一緒に行った。
『ピンポーン』
sound:16
インターホンを鳴らすが、応答はなかった。
不動産屋が念のためにドアノブを回すと、開いた。
「Aさん!居ますかー?」
呼び掛けても返事は無い。
ドアを開けた途端とても臭かった為、嫌な予感がした。
自分達で部屋の中は確認せず、不動産屋と相談して、まずは警察に連絡した。
しばらくして、警察官がやってきた。
事情を説明する。
俺たちは外で待機し、警察官が隣人の部屋を調べる事となった。
しばらくして、何人か警察官が追加でやって来た。
一気に騒がしくなった。
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結論から言うと隣人は死んでいた。
どうやら縊死のようだ。
風呂場で亡くなっていたらしい。
死後一週間ほど経過していた。
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〈後日談〉
警察で色々と事情を聞かれた。
勿論、自殺の可能性が高いということで、直ぐに解放された。
亡くなっていた人の身元確認の為、写真を見せられた。
死体ではなく、生前の写真だった。
間違いなく、あの日にドアの前にいた中年男だった。
彼は5年程前から、隣室に住んでいたそうだ。
引っ越してから半年ほどになるが、顔を合わせた事がなかった。
死後一週間ということは、初めて壁ドンされた日には、亡くなっていた事になる。
一体どうやって、死人が嫌がらせをしたのか?
そこは、警察でも問題点となっているらしいが。
そして、不可解な事がもう一つあった。
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〈後日談2〉
隣人は日記を残していたらしい。
亡くなる5日前から、おかしな事が書かれていたそうだ。
以下がその抜粋である。
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(●月●日)
隣から、バタバタと走る音がする。
うるさい。
(●月●日)
隣から、子供の泣き声がする。
最近よく聞く、児童虐待か?
(●月●日)
子供が謝る声がする。
ごめんなさいと、しきりに叫んでいる。
女のヒステリックな叫び声も時々する。
夜中だぞ。
通報すべきか?
(●月●日)
壁に穴がある事に今日、気づいた。
そこから目が覗いていた。
充血した目だ。
ヒステリックに叫んでいた女の目?
気持ち悪いから、穴を塞いだ。
(●月●日)
ずっとみられている
にげられない
おれはしぬんだ
あいつはくるっている
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最後の日記は震える文字で、ページは所々破れていたそうだ。
しかも、ひらがなだけで書かれていたらしい。
俺は
子供の声や、女の声なんて知らない
Aさんは角部屋で、隣は俺だけ。
勿論、俺の部屋の壁に、穴など空いていない。
…一体、何を聞いていたのだろうか。
そして、何を見ていたのだろうか?
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Yはその後すぐに引っ越したたらしい。
そして、そのアパートは特に事故物件との告知もなかったそうだ。
いったいそこで何があったのだろう?
end.
作者あお-3
アパートの騒音トラブルに関するお話です