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怖い話に関する短い話 一

短編1
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怖い話に関する短い話 一

拓真さんの勤める小学校では《怖い話》が禁止されている。

九十年代初頭の怪談ブームのさなか、ある教師が授業の空き時間に怪談を披露した。

巧みな話術に生徒は大ウケだったのだが、徐々に様子がおかしくなる。皆、気もそぞろで何かに怯えているのだ。

とうとう、教師も異変に気がつく。

廊下へ繋がる扉の、はめ殺しの小窓から真っ赤な光が漏れていた。

扉をへだてた向こう側が、強烈に発光している。

火事を危惧した教師はあわてて扉を開けた。

赤い光など、どこにもない。普段と何ら変わりのない廊下である。

ただし、同階の教室から出てきていた他の教師と鉢合わせた。一人、二人ではなくほぼ全員がまったく同じタイミングに、廊下の異様さに気付き様子を見に出たのだという。

教師と生徒、両者がパニックに陥り収拾がつかなくなった。

それ以来、学校で怪談を語るのは全面的に禁止とされたそうだ。

学校の七不思議レベルの話かと思いきや、拓真さんは教師が閲覧する就業規則マニュアルに《赤い廊下》事件のあらましと共に

《学校内において教師は怪談及びオカルト関連の事象接触を禁ずる。又、生徒を怪談及びオカルト関連の事象接触から積極的に保護することを義務付ける》

と文面化されているのを確認したという。

もちろん、生徒の口に戸はたてられない。今日も校舎のどこかでは怪談が花開いているはずであるが……

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