ある学校の警備をしている道徳さんの話。
まだ校舎内にいる生徒を下校させるため見回りをしていると、最後に残った教室から数人による話し声がきこえてくる。
扉をノックし、声をかけた。
ぴたりと話し声がやむ。
そして返事はない。
仕方なく扉を開けると女子生徒が四人、怯えたような顔でこちらを見ていた。
すぐに《よかったあ》と胸をなでおろしている様子。
《怪談話をしていて、ちょうど自分たちのもとへ訪れるオバケの話だった》
とのこと。
完全下校時間であることを伝え、帰り支度をさせた。
そのまま玄関口まで同行し、別れる。
挨拶をして小さくなっていく彼女たちは、いつのまにか三人だけになっていたという。
作者退会会員