大学時代とは違うバイト先で聞いた話。
聞いた相手は同じ時間帯で勤務しているおっさん。
その日、おっさんが酒を飲んで帰宅。着替えもせず布団に倒れ込み寝た。
数時間は寝ただろうか、トイレに行きたくて目が覚めた。
体調は最高に悪い。ふらふらと立ち上がると、どこからか微かに声が聞こえる。
誰かが遠くで歌っているようなそんな感じがしたという。
おっさんの部屋は2階にあり、窓を開けて網戸にしていたので外で酔っぱらいが歌っているのか、と思ったらしい。
いつもなら気にもしないが、何故か歌っているやつの顔を見てやろうと思った。
まだ半覚醒のまま窓によってカーテンを開ける。
深夜の町、おっさんの家のすぐ前の街灯の下に何かがいた。
瞼は半分閉じているような状態だったのではっきりとは見えなかった。
それは印象としては白っぽく、細長い人、のように見えた。
何よりそれは体を前後左右に揺らしながら踊っているように見えた。
くねくね、と。
おっさんはそいつは自分を認識していて馬鹿にしているのか(挑発しているのか)と腹が立ちよく見ようと瞼をゴシゴシと擦った。
そして、再び窓の外に目を落とすと、
そいつはいなくなっていた、という。
これを聞いて俺は、ネットで有名なある怖い話を想起した。
おっさんの作りかもしれないが、おっさんはネットに疎いタイプの人間だし、怖い話が好きなわけでもない。
これを見るに、ネットで語られているあの怪異は本当に存在し、おっさんはそれに遭遇してしまったのではないかと思う。そしておっさんが寝ぼけていて本当に良かったと思う。
作者某コンビニ店員