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中編3
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記憶(前編)

成人式で小学生の時はよく遊んでいたKと会った。

僕「よっ。Kよな?」と声をかけた。

K「おー!久しぶり。Nじゃん。」

僕「小中同じで高校別々だったから会うこと少なくなったもんなぁ」

K「そうそう。でもあんまり顔とか変わってないな」

僕「そうかなぁ。まぁ覚えといてくれて良かったわ」

次第に話題はあのときはこんなことがあったとか、この時はこうしてこうなったとかの昔話になった。

K「それでさ。小二のときおれ奇妙な体験したんよな。」

僕「どんなこと?」

K「まだNは同じとこ住んでるんかな?」

僕「住んでる、そっから大学行ってるから」

K「じゃあおれの家から近いしここ寒いから後でNの家行っていい?そこで奇妙な体験の話をしたいから」

僕「いいよ。昔の知り合いにたくさん会えたし人混み嫌いだからおれは先帰って待っとくわ」

K「おれはもう一回りくらい回ってみてからそっちに向かう」

そうして僕はKより先に帰った。およそ1時間後ピンポンが鳴りKが家に来た。僕は自分の部屋へKを連れて行き、二つのコップに緑茶を入れた。

僕「兄が一人暮らし始めてくれたおかげで、この広い部屋使えるようになったんよな」

K「確かに。中学の時に来た部屋と違うもんな。良かったじゃん。」

僕「そう、良かったわ。それでさっきの奇妙な体験ってどんなの?」

僕は奇妙な話や怖い話が好きなのでさっそくKに聞いた。

K「あの頃よくおれら二人で公園に行ってキャッチボールとかしてたじゃん?」

僕「うん、してた。ここから近い公園で」

K「Nは見たか分からないけど。Nの背後にある木に赤いランドセル背負って白色の通学帽子被った女の子がいた。その子はおれの方に背を向ける形で木に向かってずっと立ってた。」

僕「全然気づかんかったな。おれに取り憑いてたとかやめてよ?(笑)」

K「それは無かったけど。その子あんまりじーっとそこに立ってたから変に思ってた。」

僕「その子が幽霊だったとして、それだけなら何ともなくね?」

K「それがその子のことを思い出したきっかけは成人式の会場でNと話したからなんよな」

「他の同級生と話しても全然思い出さんかったのに」

僕「その子を見たときはおれとキャッチボールしてたときだったからじゃない?」

K「そうかも知れん。」

僕「思い出す必要がないなら思い出さなくて良いと思うよ。所詮記憶の中だけにあるだけなら今の自分に関係ないし」

K「これ見て」とKは家の鍵を見せてきた。

僕「家の鍵。それがどうしたん?」

K「Nの家に行くときおれの家が無人になるから家に鍵かけて来たんだけど。鍵を見たときにまた一つ思い出した。」

僕「鍵も思い出すきっかけになったんだな。それで?」

K「うん。おれがその女の子を見た日、ポケットに閉まってたこの鍵を地面に落とした。それをNと帰りながら思い出して公園に取りに戻った。Nは覚えてる?」

僕「あー!あの時か。覚えてる。鍵無くした!とか言って大騒ぎしてたから。おれも探すの手伝ったもん。」

K「そうそう。それで手分けして探してた。たぶんあのときNは別のとこ探してくれてたから知らないと思うけど。「はい!お兄ちゃん。探してるのこれじゃない?」って女の子の声が聞こえた。」

僕「赤いランドセルの子?」

K「そう。ありがとうって言って受け取った」

僕「その子の手が冷たかったとか?」

K「いいや。顔が無かった。服は着てる手も足もある帽子は髪の上に乗っかってた。」

僕「思い出した!Kがうわぁ!とか叫んでた日だ。」

K「そう。その日のこと。」

僕「そっからなんかあったの?」

K「これからあるよ」

続きは後編で話します。

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