僕が小学生の頃、電池で歩く人形が流行っていた。同級生のてっちゃんがその人形を誕生日プレゼントで買ってもらったと言うので、てっちゃんの家に行き見せてもらった。
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てっちゃん「これ、凄いんだぜ〜。ボタン操作でいろんな動きができるタイプなんだ」
僕「へぇ!見せて見せて。あとでやらせてよ」
てっちゃん「とりあえずお手本見せるよ」
確かにその人形は手をあげたり首を傾げたり回ったりいろんな動きができた。
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てっちゃん「あとさ、これ録音機能もあるんだー」
僕「やってみせてよ」
てっちゃん「じゃあここのボタン押して録音開始!っと」
てっちゃんがボタンを一つ押した。
ガサガサ。「あん!ダメよ。こんなとこで。」
「とか言いながら濡らしてんだろう?気持ちよくしてやるから」
「んっ!ちょっと待って!あっあっ、んーあん!んン!」
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てっちゃん「あ、間違えた。これ再生ボタンだった」
僕「変な声録音されてたね。だれ?」
てっちゃん「なんか聞いたことある声だったなぁ。ま、それよりさ。録音して聴かせてやるからなんか言えよ」
僕「うん、わかった!」
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当時の僕とてっちゃんにはあの日、僕の声より先に録音されていた声の意味はわかりませんでしたが、今の歳になると分かります。てっちゃんと最近会ってあの時のことを話しました。もしあの先に録音された声をてっちゃんのお父さんが聞いていたらと思うと怖くなります。
作者やみぼー