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中編3
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ある男子大学生の方から聞いたお話です。

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この方、同じ大学に通う1つ下の彼女さんがいらっしゃるんですが、その彼女さんと今同棲をしているそうなんですね。

ただこの彼女さん、すごい少食らしいんです。

ご飯なんかもお茶碗半分くらいの量しか食べないそうなんですね。

写真を見せてもらったんですけど、確かに線がすらっとしていてすごく綺麗な方なんですよ。

ほんとにガリガリってわけでもなく、細身ですが血色もいいし不健康な印象はないんですね。

でもあまりにも食べないので、流石に恋人の彼も心配したんですよ。

そこで、「いつもぜんぜん食べてないけど大丈夫?」ってある日聞いてみたんですね。

そしたら彼女さん、「うん、私ぜんぜんいらないから」って言うんです。

でも彼女さん、なんだかばつが悪そうな顔してるんですよ。

様子が変だったのでわけを聞いてみると、彼女さんが顔を赤らめて彼の耳に口を近づけてきたそうなんですね。

お2人が同棲していた部屋なので他には誰もいないんですが、よっぽど恥ずかしかったのか彼女さんは彼に耳打ちしたんです。

「私ね、これでも◯◯キロあるの……」

ちょっと彼女さんの体重なので、話してくれた彼も具体的な数字は伏せてたんですが、見た目より20キロ近く重いそうなんですよ。

私も写真を見せてもらったわけですから、失礼ですが勝手に想像してしまったんですがね。

でも信じられないんですよ。

ほんとに芸能人みたいに細いですし、身長もそんなに高いわけではないのでびっくりしましたね。

彼もそれは同じだったようで、流石に冗談だと思ったらしいんですよ。

でも彼女さん、脱衣所から体重計持ってきて彼の目の前で乗って見せたそうなんですね。

そしたら、ほんとにけっこうあるんですよ。

最初はね、体重計が壊れてるんじゃないかと思って自分でも乗ってみたんですが、彼が乗った時は何も異常はないんですよ。

まったく原因がわからなくて、思わず彼女さんに「なんで?」って聞いてしまったらしいんですね。

そうしたら彼女さん、怒るわけでもなくこう言ったそうなんです。

「たぶんねぇ、誰かいるんだよ」

彼、それ聞いて目が点になったんです。

「えっ何?いるってどういうこと?」

いくら同棲をしていたからといっても、彼にはそういった身に覚えはなかったのでますます混乱したそうなんですね。

もしかして別の男でもいるのかと思ったんですが、どうやらそういうわけでもないようなんですね。

「なんかねぇ、誰かが中にいるみたいなんだよね」

そう言って彼女さん、彼の手をとって自分のお腹に当てたそうなんですよ。

ドンッ!

彼は驚いて、思わず手を引っ込めました。

「え?え、何?」

「ね?いるでしょ?」

彼女のお腹の中で何かが動いて、彼の手を蹴飛ばしたそうなんです。

もちろん彼女のお腹にお子さんがいるということはないのですが、その時感じた衝撃は胎児がお腹を蹴るようなものだったそうです。

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私が聞いたのはここまでです。

ちなみに彼、彼女さんの身に起こっている現象についてそれがいつからだとか、何が原因でそうなったのかとか、怖くて何も聞けていないそうなんですよ。

彼は今でもその彼女さんと同棲を続けているそうですが、相変わらず彼女さんは少食なのにも関わらず体重は一切減らないそうです。

ただね、一緒に食事をしていると彼女さんが時々「あっ動いた」って呟くのがどうにも気味が悪くて耐えられないとのことです。

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「これ、病院すかね?それともお寺とか神社に連れて行った方がいいんですかね?」

私にはなんとも。

でもその彼女さん、話を聞く限りその中にいる誰かを慈しんでいるように思えるんですよね。

私の思い過ごしでしょうか。

Concrete
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